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[No.1974]

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「表紙」2023年03月09日[No.1974]号

FABRIC SHOP MINAMI オーナー
伊波美津乃さん

体験型の店舗がコンセプト

 沖縄市八重島の「FABRIC SHOP MINAMI(ファブリックショップ ミナミ)」は、ファブリッ ク、すなわち生地の専門店だ。オーナーの伊波美津乃さんいわく、同店は「体験型の店舗がコ ンセプト」。生地を買えるだけでなく、購入した生地を洋服や小物に仕立てられるソーイング クラス(洋裁教室)を開催し、人気を集めている。沖縄の伝統織物を学べる織物工房も併設し ており、自分の手で織った織物から服やバッグなど布製品を自作できるのも特徴だ。

 「ファブリックショップ ミナ ミ」のドアを開けると、色とり どりの生地が目に飛び込んで きた。店内には、カラフルな布 地から作られた洋服やバッグ も並ぶ。これらはすべて、同店 で手作りされたものだという。

 店舗の奥からは、心地よいミ シンの音が聞こえてきた。ソー イングクラスの授業中だと聞 き、のぞいてみると、数人の受 講者が洋裁に取り組んでいた。

 「当店は生地の専門店。販売 やオーダーメードも承っていま すが、『体験型の店舗』であるこ とが特徴。ソーイングクラスを 開催し、完成までサポートして います」とオーナーの伊波さん は話す。

異業種からオーナーに

 「実は前職では、生地とは関 係ない仕事に就いていたんで す」と伊波さん。

 「人と接するのが好き」とい う伊波さんは、専門学校の観光 学課を卒業後、県内のホテルに 就職。その後、大手自動車販売 会社で勤務していたが、結婚が 転機となった。

 夫の祖母・伊波なつえさん (故人)は、復帰直前の1971年から銀天街でミナミの前身で ある「生地の店 美奈美」を営ん でおり、店の後継ぎを探してい た。そこで白羽の矢が立ったの が、伊波さんだった。前職とは 畑違いだったものの、接客は得 意だったため、手伝いを始めた。

 「お客さまが普段選ばれない カラーや柄の生地をお薦めし た事があって、それで服を作ら れたら『こんな色が似合うなん て新鮮』と常連さんに。接客業 の魅力をあらためて感じ、継ぐ きっかけになった」と振り返る。

 しかし、世の中は既製服があ ふれ、生地店には厳しい時 代。「そこで洋裁教室を中心に 生地を展開をしようと思いま した。生地種類の取り扱いも見 直し、作りやすく素材映えし着 心地の良さを感じる上質素材 をそろえるようにしました」

 手伝いを始めて2年後の 13 年前、オーナーに。同じタイミン グで銀天街から同市内美里に 移転した。専門のスタッフを雇 い、洋裁教室を本格的に展開し たところ、若者からシニアまで、 幅広い生徒が集まり、口コミで リピーターも増加。おととしの 5月、現在の八重島で店舗・教 室スペースを大幅に拡大し、リ ニューアルオープンした。

初心者でも美しく仕上がる

 クラスは2種類。「チョイス クラス」では、受講者自身が作 りたいものを決め、担当講師が 型紙を用意する。もう一つ の「フリークラス」では、月替り で用意されたデザインにそって 洋裁を進める。

 チョイスクラスは1回3時 間、月謝制ではなく1回ごと の予約制だ。そのつど2000 円の授業料を支払う形で、受 講しやすいのが特徴。一方、フ リークラスは生地の実費だけ で受講でき、手作りの楽しさを 多くの人に伝えられるよう間 口を広げている。

 「初心者でも簡単に縫え、き れいに見える方法を教えてい ます。短時間で仕上げられるよ う、提案するデザインも工夫し ていますね」。何を作るか、また デザインにもよるが、「今日 作って明日着れる」よう1回の クラスで完成することも多い そうだ。

 「買い物感覚で、気軽に服作 りに来てほしい。作れると服選 体験型の店舗がコンセプト びがもっと楽しくなります」と 伊波さん。受講生が作った洋 服を「どこで買ったの?」と言 われたり、家族から『私にも 作って』と頼まれたりすること もある、と笑う。

 店舗の隣には、義母・伊波順 子さんが主宰し、知花花織な ど伝統織物が学べる織物工 房「ブロッサムクロス琉球」を 併設。観光客を対象に、自分で 織った布を使って、バッグやタ ペストリーを作れる1日コー スも準備中とのこと。

 手作りの楽しさを多くの人 に伝えるファブリックショップ ミナミ。興味のある人はぜひ訪 れてみてほしい。

(日平 勝也)



伊波美津乃さん

沖縄市八重島3-5-1
☎ 098(937)0564
営業時間 月曜~金曜 10~18時 土曜 10~17時
定休日=日曜・祝日

伊波美津乃さん

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伊波美津乃さん
カラフルでビビッドな生地が並ぶ沖縄市八重島の生地専門店「FABRIC SHOP MINAMI(ファブリックショップ ミナミ)」。店内の 洋服やバッグも、生地から手作りされたもの。体験型の店舗として、ソーイングクラスも開催し、手作りをサポートしているのも特徴
写真・村山 望
伊波美津乃さん
ソーイングクラスの風景
伊波美津乃さん
店内の様子
伊波美津乃さん
ブロッサムクロス琉球では沖縄の伝統織物が学 べる。1日でタペストリーを仕上げることも可能
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