「表紙」2023年09月28日[No.2003]号
猛練習の末に挑んだ初舞台
吉本橙風太鼓(よしもととうかじだいこ)は、よしもとエンタテインメント沖 縄に所属する8人の芸人が新たに旗揚げしたエイサー団体。今年5月に結成し、 8月31日に那覇市ぶんかテンブス館で初公演の舞台に立った。大太鼓6人のう ち、経験者といえるレベルの踊り手は1人だったが、2カ月の猛練習の末、ダイ ナミックな演舞を披露。客席の喝采を浴びた。
「とにかく練習がきつ かった!」。8月末に行わ れた初公演の感想を聞く と、6人の踊り手からいっ せいに声が上がった。
「手にまめができて、バ チが血だらけになった」 (ポっポさん)、「大太鼓を ひっくり返すのが大変で、 もう、指が折れるんじゃな いかと思った」(マエショー さん)
踊り手6人のうち、5 人はほぼ未経験といってい いレベル。「肘を曲げるなと か、膝を上げろとか。関節 の司令塔が全部バグっ ちゃった」とA16(えーい ちろー)さんは苦労を振 り返る。
個性的な面々が集結
結成は5月。「お笑いや りながらみんなでエイ サーができたら、もっと沖 縄を盛り上げられるん じゃないか、という思いでメ ンバーを募りました」と リーダーを務めた剛くん。 その呼びかけに応じて8 人が集まった。団体名 の「橙風」には、よしもとの シンボルカラーである橙 (オレンジ)の旋風を吹かせ たい、との思いを込めた。
「最初は誰がメンバーか 知らなくて。顔合わせを した時、『このメンバーでや るんだ』と。個性的なの で、まとまるのかなって (笑)」(ひがりゅうたさん)
初公演までの練習期間 は2カ月。週に2〜3回、 公演の直前には毎日のよ うに集まり、1回2〜3 時間、厳しい練習に汗を 流した。
地方の玉代勢直さん は、三線は独学。「舞台で やる4曲のうち、2曲は 弾ける曲だったんですが、 りゅうたと合わせたら全 然違ってた。りゅうたの動 画を撮って、夜中に何回も 見た」と練習に励んだ。
「自分が実際にやってみ て、エイサーやっている人た ち全員が尊敬できると思 いましたね」( 島袋忍さ ん)。自ら取り組むこと で、エイサーへのリスペクト が生まれた。
みんなでやるのが楽しい
猛練習の末、8月 31 日 に迎えた初舞台。エイサー をテーマにしたコメディー を全員で演じた後、エイ サーの演舞を披露した。
「客席を見たら、お客さ んがコメディーはちゃんと 笑っているんですよね、手 を叩いて。でも、エイサーに なった瞬間に、笑うんじゃ なくて小刻みに跳ね始め たんですよ。のっているな、 というのがすごく伝わって きましたね」(玉代勢さ ん)、「お客さんも盛り上 がっていて、こっちもみんな 自然にテンションが上がっ ていた感じですね」(新本 奨さん)と、初公演の成功 の様子を語る。
「きつかったというのは あるんですが、真剣にこう やってみんなでエイサーを やるのが楽しいと思いまし たね」というポっポさんの 言葉に、メンバー全員が笑 顔を見せた。 「具体的には決まってい ませんが、年内にあと2回 イベントをやろうと決めて います。お声が掛かればど こにでも出掛けていって、い ろんな人たちの前でやり たいですね」(剛くん)。今 後の活躍に期待が集ま る。
(日平勝也)
写真・村山 望