「表紙」2024年05月02日[No.2034]号
トルコキキョウに夢中 若手花き農家の畑へ
八重瀬町東風平にある花き農家「セカビファーム」。トルコキキョウを中心に、花づく りをするのは代表の金城健太さんと妻の友理恵さんだ。「おきなわ花と食のフェスティ バル2023」では、トルコキキョウの部門で金賞にあたる「九州花き卸売市場連合会長 賞」と続く銀賞、銅賞も受賞している。花が咲き誇る畑の様子と、家族で行う仕事の様 子をリポートする。
セカビファームで栽培され るトルコキキョウは約 30 種類。 今期は2月から出荷が始まっ ている。
ピンクやグリーンのやわら かな色味、贈る人を選ばず人 気なのはホワイト、存在感の あるブルー、ベージュやショコラ などの”くすみカラー“は上品 な雰囲気だ。品種ごとに花の 大きさ、花びらの重なり方、 フリンジ(花びらの細かな刻 み)に特徴があり、違いも愛ら しい。栽培しているビニールハ ウスでは、一輪ずつ眺めていて も飽きがこない。
「今年の花は大きいです。昨 年使っていた出荷用のスリー ブ(袋)に収まらなくて、大き いサイズを用意したんですよ」
代表の金城健太さんが、う れしそうに出来栄えを伝え てくれた。出荷先は県外の市 場(主に関東、関西向け)。母 の日前後は、一日に1200 本を出荷している。
花き農家の道へ
2019年に就農した健 太さん。家は3代続く花き農 家で、父の政則さんも現役で トルコキキョウを育てている。 健太さんは関東のフラワー ショップなどで経験を積んだ 後に、生産者となることを選 んだそうだ。千葉県出身の 妻・友理恵さんもその道をサ ポートすることを決意。結婚 後に沖縄へ引っ越してきた。
2020年に誕生した長 女・弥花(みはな)ちゃんは生 後2カ月で「畑デビュー」して いる。農家の道を選んだから こそできた、健太さんと友理 恵さんの楽しい思い出だ。
この時期一番大変なのは出 荷作業。週に3回、市場の定 める「切花出荷規格」に合わ せ花を選別するが、見極めが 難しいそうだ。就農したばか りの頃は一晩中かかることも あったとか。
現在も出荷日には、朝から 晩まで畑の出荷場にいるとい う健太さんだが「自分はこの 時間好きなんですよね」とほ ほ笑む。一輪一輪を確かめなが ら、次回の栽培方法を考えて いると教えてくれた。
良い花を手にとって
6月ごろまで出荷される トルコキキョウ。店頭で選ぶ際 のポイントはなんだろう。
「茎の太さ、花の大きさを 確かめてみてください。良い花 は茎ががっちりしていて倒れ にくい。新鮮なキャベツみたい に、シャキッとした質感のもの もおすすめです」
友理恵さんが教えてくれ た。セカビファームでは茎や葉 を大きく育てることに気を 使い、土づくりからこだわって る。ぜひ、大きくて立派な花 を手にとってほしい。
セカビファームでは「NF」 や「サセトルコ」と呼ばれる、 国産の優良品種の栽培にも 注力している。トルコキキョウ の中でも一味違う魅力を持っ た品種たち。現在はまだ少量 だが、県内で流通する日も近 いかもしれない。
「イベントなどにも参加し て、花の価値を高めていきた いです」
健太さんが穏やかに展望 を話してくれた。担い手が減 少している農業全体が活性 化してほしい、そんな思いも 持っている。トルコキキョウは ちょっとした贈り物や、自分へ のごほうびにもぴったり。季 節の花で、暮らしに潤いを与 えてみてはいかがだろう。
(津波 典泰)
セカビファーム Instagram: @sekabifarm
写真・norico
①「ボヤージュブルー」
②「アンバーダブルグリーンアップル」
③「NFフリンジマンゴー」
④「ボヤージュチャームピンク」