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[No.2035]

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「表紙」2024年05月09日[No.2035]号

島野菜の魅力を発信
テトネーゼキッチン 手登根 節子さん

島野菜に特化した野菜ソムリエとして

 4 月から始まった本紙の新企画「テトネーゼキッチンの島野菜ごはん」で島野菜を使った レシピを紹介している手登根節子さん。これまでに学んできた知識を生かし、島野菜を手軽 に取り入れる方法を伝授している。実は料理の講師を始めて7年ほどだという手登根さん。 沖縄の健康長寿県復活を取り戻したいと、島野菜の魅力を発信している。

 島野菜をテーマにした料理 教室や講座、レシピ監修など 多方面で活躍中の手登根節 子さん。料理の仕事に就いた のは約7年前、 63 歳の時だっ たという。転機は応募した パートの仕事に不採用になっ た時だ。義父母の介護を終え た後、「人と交わって何かをし たい」とパートに応募したもの の、年齢の壁に突き当たった。

 落ち込んでいた時、ラジオ で耳にしたのが、野菜や果物 の魅力を社会に伝える「野菜 ソムリエ」の資格の紹介だっ た。もともとPTAやボラン ティアなどで食に関しての活 動も経験していた手登根さ ん。「もしかしたら、私にもで きるかもしれない」と、悔しさ をバネに猛勉強を開始。20 16年に初級に、その後1年 もたたずに中級に合格した。

悔しさ糧に資格取得

 「学ぶことが楽しくなって しまって」とほほ笑む手登根 さん。「野菜ソムリエプロ」「沖 縄食材スペシャリスト」「ロー フードマイスター1級」「楽ロ ビ島野菜マイスター認定講 師」など、さまざまな資格を 取得した。料理教室の他、島 野菜に関する講演会、ホテル の朝食のレシピ監修など、仕 事の依頼も相次いだ。

 

 19 年には、全国の野菜ソム リエの中から1年間の活動を 審査する「野菜ソムリエア ワード」で審査員特別賞を受 賞。コロナ禍で対面の教室が 難しくなると、苦手だったパ ソコンやスマホでオンライン講 座の開催にも挑戦した。

 「人生いつからでもスタート できる」という手登根さん。野 菜ソムリエになってから忙し くも充実した日々を送る。子 どもたちからは「生き生きし て毎日楽しそう」と言われた という。

 食材の効能について学ぶ中 で「島野菜に特化した野菜ソ ムリエになろう」と決意した。 改めて気付いたのは島野菜の 力。「先人の知恵や食文化は 理にかなっている」と実感し た。子どもの頃、実家や近所 ではあたいぐゎー(家庭菜園) で島野菜を育てていた。熱を 出したときは母親がフーチ バーを煎じて薬代わりに飲ま せてくれた。今は「(島野菜 を)どう料理したらいいか分 からない」という人も多く、 スーパーなどでの取り扱いも 減っている。「絶やさないため にも知らない人たちに伝えて いきたい」と意気込む。

食生活で健康長寿に

 力を入れて取り組んでいる ことは、島野菜のおいしい食べ 方と野菜を多く取るための 重ね煮の提案。島野菜にはえ ぐみがあり、苦いという特徴 がある。「これが病気や老化 を予防する抗酸化物質の 『ファイトケミカル』。生薬や民 間薬の中に入っていることも 多く、日常の食事がまさに医 食同源なんです」と話す。重 ね煮のうまみや発酵調味料 の甘みなどを取り入れたレシ ピは幅広い年齢層に好評だ。 「今まで野菜を口にしなかっ た子どもが食べるようになっ た」など、参加者からの反応 がやりがいにつながっている。

 沖縄の伝統的な食文化を 絶やさないためにも、島野菜 を普及させたいという手登根 さん。おいしく体に取り入れ るためにどんな工夫ができる か知恵を絞る。願うのは沖縄 の健康長寿県復活。「一度きり の人生。好きなことで、社会 貢献もしつつ楽しみながら過 ごしたい」と笑顔を見せた。

(坂本永通子)



テトネーゼキッチン 手登根 節子さん

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テトネーゼキッチン 手登根 節子さん
うるま市の農水産品直売所「うるマルシェ」 の野菜売り場で島野菜を手に持つ手登根節 子さん。同所のキッチンスタジオで「簡単レ シピの島野菜料理」の料理教室を毎月開催し ている。東京や沖縄での銀行勤務経験もある =うるま市前原の「うるマルシェ」
写真・・村山 望
テトネーゼキッチン 手登根 節子さん
島野菜などの料理教室を定期的に開催している
テトネーゼキッチン 手登根 節子さん
教室で作った島野菜を使った料理。新しいレシピの 開発も行っている
テトネーゼキッチン 手登根 節子さん
県内で活躍する野菜ソムリエたちと。左から3人目が 手登根さん(2面写真は全て提供)
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