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[No.2040]

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「表紙」2024年06月13日[No.2040]号

県産木材を使用した親しみある家具づくり
工房島変木 代表 屋宜政廣さん

家具を通して県産材の魅力を発信

 沖縄市知花にある「工房 島変木(とうへんぼく)」。知花グスクからほど近い、自然 豊かなこの場所で木工作家の屋宜政廣さん(68)が、アカギやリュウキュウマツといっ た県産材を使用した家具・インテリア雑貨を製造している。毎年県内で開催されて いる「沖縄ウッディフェア」の事務局長も務める屋宜さんに、ものづくりのこだわりと県 産材の魅力について取材した。

 「黄色っぽいのがクスノキ、 赤黒いのはアカギ。イジュは うっすらピンク色で艶があり ます」と優しいまなざしで話 すのは、島変木代表の木工 家・屋宜政廣さん。使用する 木材の 95 %を県内在来の樹 種にこだわる。しかし、かつ て県外では「沖縄の木は木 工に向かない」というのが通 説だったという。

 「亜熱帯気候の木は成長 が早いぶん、軟らかいから家 具には使えないって言われて いたんです。だけど琉球列島 固有の木であるリュウキュウ マツは松のなかでもトップク ラスに硬い。また、デイゴにい たっては世界で2番目に軽い んですよ」

アカギのブランド化目指す

 その中でも特に屋宜さん のお気に入りがアカギだ。

 「高級感のある赤黒い色 は、長く使うほど経年変化 で赤みが増してきます。これ ほど赤い木は県外にはない。 また、乾燥すると釘が立た ないくらい硬くなるんです。 『世界の銘木』と呼ばれてい る木はどれも黒っぽかった り、赤茶色をしたりしていま す。アカギはそんな銘木に匹 敵するようなポテンシャルが ある」と胸を張る。

 聞くと、伊勢神宮に奉納 されている神宝の一部にもア カギが使用されているという ので驚きだ。それほどまでに 上質なアカギだが、意外にも 取り扱っている店や木工家 は少ない。理由は加工の難し さにある。主に川辺や湿地 帯に自生するアカギは多く 水分を含んでいるため、生木 を乾燥させる工程でそのほ とんどが割れてしまい、商品 として使えないのだという。 屋宜さんは試行錯誤を重 ね、材を1年半〜2年ほど 水に漬けることで割れを防 止することに成功した。

 「水に漬けた後、自然乾燥 に平均3年かかる。その間、 板を眺めながら何を作ろう か思いを巡らすのが楽しい」 と屋宜さんはほほ笑む。

 現在はアカギのブランド 化に向け、一度に大量のアカ ギを漬けておける池の造成 を計画している。

街路樹を使った家具も

 「木は唯一再生できる素材」 という考えの下、植樹にも力 を入れている屋宜さん。昨年 開催された「沖縄ウッディフェ ア」ではSDGsをテーマに、 県立工芸振興センターやリ サイクルセンターの協力の 下、伐採された街路樹を使 用した家具や小物を制作・ 展示した。

 「毎日どこかで街路樹は 伐採されている。それを板に して売る場所を作っていきた いと思って動きました。展示 することで一般の方にも広く 知れ渡るし『うちの木も切 ろうと思ってるんだけど、木 材にどうですか?』と声がか かり、良いサイクルが生まれ る。限りある資源を無駄に しないように、少しでも木に 興味を持っていただけたら と思います」

 県産材の良さを県内外に 広く発信し続ける屋宜さん の今後の目標は、東京で県 産材を使用した大木工展の 開催だ。

 「親しみのある県産材をみ んなが使ってくれたらうれし いね」と期待する。

 (元澤 一樹)



〈工房 島変木〉
沖縄市知花5‐24‐8
定休日=不定休(要問い合わせ)
☎098‐989‐3103





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工房島変木 代表 屋宜政廣さん
「工房 島変木」代表の木工家・屋宜政廣さん。アカギ を中心とした県産材を使用した家具・インテリア雑貨 を製造、丸みを帯びたフォルムと温かみを感じるデザ インが多くの人を魅了している。手に持っているのは 「自身の原点」だという子ども用のいす。36 年前、息 子さんのために作った代物だ=工房 島変木
写真・村山 望
工房島変木 代表 屋宜政廣さん
1956年、読谷村出身の屋宜政廣さん。 県の工芸指導所で木工を勉強し、88 年に独立
工房島変木 代表 屋宜政廣さん
アカギを使ったカウンタ ーチェア。脚の部分には 「虎杢(とらもく)」と呼 ばれる天然のしま模様 が現れている
工房島変木 代表 屋宜政廣さん
ユニークな形のシーソー、その 名も「たのしーそー」。曲線の美し いフォルムは、置くだけでインテ リアになるようデザインされてい る
工房島変木 代表 屋宜政廣さん
伐採された街路樹で作ったスツ ール。座面はクロヨナ、脚はリュウキ ュウコクタンを使用
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