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[No.2044]

  • (金)

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「表紙」2024年07月11日[No.2044]号

『Condition Rainbow』ひげのかっちゃんを写真集で追体験
パートナー・写真家 norico さん

ロックな生き方にとことん寄り添った一冊

 1970 年代から、沖縄のロックシーンで活躍した“ ひげのかっちゃん” こと川満勝弘さん。昨 年4月20 日に亡くなった後も、その歌声と数々の逸話が語り継がれている。2006 年から亡くな るまで、彼の最後の17 年間を共に過ごしたのは、パートナーであり写真家のnorico さんだ。2 人の歩みの記録は、写真集『Condition Rainbow』に収められ、今月発売される。かっちゃん が最後の時間を過ごした部屋で、写真集のサンプルをめくりながら話を聞いた。

 生きたヘビをステージに持ち込む、靴でビールを飲むな ど、強烈なパフォーマンスでそ の名をとどろかせたひげの かっちゃん。『C o n d i t i o n Rainbow』にも、ステージでの 勇姿が紹介されている。その一 方で、日常を切り取ったカッ トも見逃せない。

 「かっちゃんはひげをとかす のがクセでした。100均の 柔らかい櫛(くし)を愛用し ていたんだけど、出かけた時 に忘れると取りに帰ったり、 『100均寄って買わなく ちゃ』となる」

 「(昔やっていた)お店のス テージ脇にはアダンの枝葉を 飾っていました。お花をいけて いるつもりなのか、『そろそろ 枯れてきたから、海に行ってア ダンを取ろうね』。『みんなに 刺さると危ないからチクチク は切ってね』と(笑)」

 noricoさんが伝える かっちゃんはチャーミングだ。 物持ちが良く、字がきれい、そ んな一面もあったという。

遊び心も風景も

 写真集の制作資金は、今年 3〜4月に行ったクラウド ファンディングで調達。全国の ファンや関係者から支援が寄 せられた。目標金額を達成で きたことで、noricoさん の写真を中心に、数々のエピ ソードを紹介する文章、若い 頃のかっちゃんを紹介する資 料(本人の昔のアルバムから) も加え、見応えのある作品に 仕上がっている。ライブDVD のポスター、CM出演した製 品のチラシ、歌詞ノートなど を付録として挟み込み、遊び 心も欠かさない。

 コザの街並み、ドライブで 出かけた海岸など、風景写真 を使うことにもこだわった。 変わりゆく風景の記録とし ても楽しんでほしいそうだ。

らしさ最後まで

 写真集の後半は介護の 日々、看取り、葬儀の記録だ。 しかし明るい雰囲気は一貫し て保たれている。

 「かっちゃんは、金太郎あめ みたいにかっちゃんらしさを 保ったまま、人生を謳歌し たってことを、そのまま伝え ています。介護をしている方、 年を重ねた方、病気の方が見 た時に『まあそうだよね』と リラックスしてほしくて」

 亡くなる2年半前、車椅子 生活になったかっちゃんと海へ 行ったことも教えてくれた。 なんとかっちゃんを抱えて泳 いだという。浜に上がった後、へ とへとのnoricoさんにかっ ちゃんは「明日も来よう!」 と誘ったそうだ。

 「かっちゃんに出会って、撮 ろうと思った時には、絶対本 にしようと決めていました。 本当は生きてる間に出した かったんですが、今になってま とめられたというのは、そうい う巡り合わせだったのかな、っ て気がしています」

 noricoさんはロックな 暮らしと写真集制作を振り 返ってほほ笑んだ。生きるこ とのおもしろさが詰まった一 冊。ぜひ手に取ってみてほし い。 

(津波 典泰)



ひげのかっちゃん写真集
『Condition Rainbow』

写真・テキスト:norico
デザイン:末吉努
編集・構成:川口美保( CONTE MAGAZINE)
価格:9900円(税込)
13日(土)から始まる『ピースフルラ ブ・ロックフェスティバル 2024』の 会場(ミュージックタウン音市場)で 先行発売。15日(月)以降、ジュンク 堂那覇店の他、県内の書店や専用 販売サイトでも購入可能となる
【出版記念トークショー】
日時:8月17日(土) 15時~
場所:ジュンク堂書店 那覇店

パートナー・写真家 norico さん





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パートナー・写真家 norico さん
沖縄のロック界を代表する一人、” ひげのかっちゃん” こと川満勝弘さん。昨年4月、惜しまれつつ他界した彼 の人生が一冊の写真集になった。著者はかっちゃんの パートナーで写真家のnorico さん。かっちゃんと共に 生きて、17 年間シャッターを押し続けた。「はちゃめ ちゃで元気いっぱいだったかっちゃんを知ってる人に も、全然知らない人にも、かっちゃんを追体験してほし い」と話す(沖縄市コザゲート通り)
写真・norico
パートナー・写真家 norico さん
ひげのかっちゃん/川満勝弘(かわみつ・かつひろ) 1944年宮古島生まれ。10歳でコザに移住。64年、バンド「Whispers」に ドラマーとして在籍。71年、バンド「Condition Green」結成、ボー カル/リーダーとして活躍。88年の解散後は音楽活動の他、映画、 CMなどに出演。平成26年度沖縄県文化功労者。ラストステージは 、2022年7月の「ピースフルラブ・ロックフェスティバル」。2023年4 月 20日他界
norico/吉岡紀子(よしおか・のりこ) 1976年神奈川県横浜市生まれ。写真家・福岡耕造さんに師事。フ ォトグラファーとして雑誌・カタログ・広告などで活動。06年7月2 日の早朝、かっちゃんの経営していた店「ジャックナスティー」で、 半裸で寝ていたかっちゃんと出会う。以後東京と沖縄を行き来す る生活に。2022年、コロナ禍の中、入退院を繰り返していたかっち ゃんと少しでも長く過ごすために沖縄移住
パートナー・写真家 norico さん
写真集の中の一枚。かぶっているのはどんぶり (写真は全て提供)
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