沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.2051]

  • (金)

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「表紙」2024年08月29日[No.2051]号

還暦でメジャーデビュー メッセージを込め歌い続ける
シンガー・ソングライター ユキヒロさん

どんな時でもライブが原点

 「音楽とトークで楽しませるライブを開催する」というブレない思いと楽曲 が持つ力で、今年6月還暦でメジャーデビューを果たしたユキヒロさん。 「60 歳過ぎても夢を見ながら頑張っている姿が、同世代の励みになり若 い世代に勇気を与えられたら」と、自身の音楽人生について語り始めた。

 歌詞を書く時は、聞き手に 共感してもらえるように心掛 けているというユキヒロさん。 「素晴らしい言葉を並べるだ けでは独り善がり。受け止め た人が共感して初めて、メッ セージが伝わると思っていま す」と話す。1995年に発 表した「HEIWAの鐘」は、 戦争を繰り返すのは罪だと 伝えながら「自分の心の中に ある平和の鐘を響かせていこ う」と呼び掛け、多くの学生 たちが歌う合唱ソングとして も知られている曲だ。

 「東京でシンガー・ソングラ イターとしてライブ活動を始 めたころ、お客さまの中に学 校の先生がいました。『今日か ら明日へ』という僕の曲を気 に入って、合唱コンクールで 歌ってくれたりサビに手話を 付けたりしてくれたんです。 この曲が広まって教育音楽の 大手出版社に問い合わせが 入ったのをきっかけに、高校生 の教科書に掲載されること が決定したんですよ」

 2004年だったという。

 「掲載された教科書の目次 を見たら著名曲の中に自分 の曲もあり、不思議な気持ち でした。自作曲が社会的に認 められ大きな自信になりま したが、今後は自分次第なん だという意識も強まりまし たね」

 好評で他の曲はないかとリ クエストを受け、次に提案し た「HEIWAの鐘」も採用 され 05 年に掲載。地元・沖縄 でもニュースになり大きな反 響を呼んだ。「なんでユキヒロ の曲が教科書に載るの? 文 科省に親戚でもいるんじゃな いの? という声も聞こえてき ましたよ(笑)。僕はお笑いを やっていましたから」

上京し音楽活動に専念

 高1の時に同級生・かでか るさとしさんとフォークソン グを歌うデュオを結成し、「歌 がうまくトークも面白い」と 評判になったユキヒロさん。 「ニーニーズ」というコンビ名で 時の人になった。メディアやイ ベントに引っ張りだこで、沖縄 のトップタレントとして活躍。 その人気と才能に注目した 東京の芸能プロダクションと 活動を広げたいニーニーズの 思惑が一致し、 94 年に2人は 上京。誰もが知る有名番組や お笑いライブに出演するなど 活動した。

 「本土に合わせようという 気持ちはなく沖縄のスタイル のまま舞台に立っていました。 観客も笑ってくれましたが、 作り込んだ漫才やコントをネ タとして完成させるのは難し かったです。事務所にはお世 話になりましたが力不足を 感じ、5年で辞めました。そ の後1年フリーで頑張りまし たが、活動を広げられません でした」とのこと。かでかるさ んは沖縄でのタレント再開を 決めたが、ユキヒロさんは東 京で音楽に絞った活動を決 意。自身のスタイルを確立し、 05 年に拠点を沖縄に移した。

喜んでもらえるのが喜び

 「シンガー・ソングライター のユキヒロです」と宣言して 24 年、大変なこともあったが苦 労とは思わず、すがすがしい 気持ちで曲を作り舞台に 立ってきたという。ロックバン ド「LINDBERG(リンドバー グ)」のCHERRYさんはじめ お世話になってきた音楽仲 間、ファンの応援に感謝の気 持ちを忘れない。ステージ活 動がメインで県内は週1回、 県外は月1回ライブを開催。 学校側に招へいされる「学校コ ンサート」は、全国250校以 上の訪問実績があるそうだ。

 「ライブが一番大切。これか らもずっと続けます。歌って 笑って元気になるのが僕のラ イブ。ぜひ遊びに来てくださ い」とユキヒロさん。

 挑戦を続ける真っすぐな 思いが伝わってくる。楽曲名 を超え「ユキヒロ」という個人 名が、今後より多くの人に知 られることになりそうだ。

(饒波 貴子)



ビクターエンタテインメント・公式サイト

シンガー・ソングライター ユキヒロさん

☆ユキヒロ情報
・LIVE cafe JULY(浦添市西原/☎090-8665-1255)で毎週金曜日にライブを開催。
詳細はお問い合わせください。
・全国ツアー、学校コンサート、修学旅行コンサート随時開催。
詳細はFacebookページ「ユキヒロ ソング」参照。



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シンガー・ソングライター ユキヒロさん
シンガー・ソングライターとして2000 年 から活動を続ける、浦添市出身の「ユキヒロ」 こと仲里幸広さん。県内外でライブを開催し、 代表曲の「HEIWA の鐘」と「今日から明日 へ」は高校生の音楽教科書に掲載されるなど、 全国区で活躍中だ。その2 曲が合唱ソングと して広まったことがきっかけで、今年6 月に 大手音楽レーベル「ビクターエンタテインメ ント」で楽曲配信がスタート。その軌跡を追っ た。=浦添市・LIVE cafe JULY(ライブカ フェ ジュライ)
写真・村山 望
シンガー・ソングライター ユキヒロさん
「還暦記念LIVE」には県内外から多くのファンが駆け付 けた(2023年7月、ライブハウスMOD’S)
シンガー・ソングライター ユキヒロさん
シンガー・ソングライター ユキヒロさん
母校・浦添市立仲西中学校で開催した「学校コンサート」 (2018年ごろ)
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