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[No.1360]

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「島ネタCHOSA班」2011年04月21日[No.1360]号

「きらく」「キラク」「喜楽」という名前の店をよく見かけますが、これには何か意味があるのでしょうか。

「きらく」「キラク」「喜楽」という名前の店をよく見かけますが、これには何か意味があるのでしょうか。(2011年04月21日掲載)

「キラク」「きらく」「喜楽」由来は?
(那覇市、40代女性)

 そういえば、「きらく」という名前の飲食店をよく見たり聞いたりしますね。さっそく調査員、ネットで調べた。全国的にもラーメン屋、中華料理店などが多くありました。NTTが出している沖縄本島版のタウンページにも「きらく」という名前の居酒屋、レストラン、ラーメン屋があった。ひらがな、片仮名、漢字とあったが、字面でイメージも変わってくる。

 親しみやすい

 調査員がまず行ったのは牧志公設市場。観光客でにぎわう市場の2階に行くと、「きらく」と大きく書かれた看板が目に入った。「きらく食堂」だ。店の壁いっぱいに中華料理、沖縄料理のメニューが並ぶ。

 この店は公設市場内で1982年から営業している。それ以前、復帰前後は那覇市久茂地で「喜楽」と漢字で中華料理を専門にしていた。

 久茂地から牧志に移ったときに、店のオーナーの親川元康さん(63歳)の母親がひらがなの「きらく」に替えたという。理由は「ひらがなの方が客になじみやすく、やわらかい」から。店内にも「きらく」と大きく書かれてあって、その字面を見ると店の趣旨通りに客をどこか「ほっ」とさせるものがある。店は朝10時から夜の9時まで。現在6割は観光客だ。

 沖縄の輸入食材の老舗もこの名前の店だった。「キラクおおしろ」(大城正和代表取締役社長)。創業50年、半世紀にわたり輸入品のお菓子を県民、観光客に提供している。片仮名の「キラク」には「舶来品」という今ではあまり使わなくなった言葉のどこかピカピカした響きがある。

 現在「キラクおおしろ」は、平和通り本店と新都心店の2店舗がある。調査員は新都心店に行った。

 商売繁盛の願い込め

 「キラクおおしろ」のある平和通りの本店の場所には同店のほか、「キラク花城」「キラクふとん店」(現在閉店)があった。そこは「キラクふとん店」の創業者が、戦後間もないころ大阪に行き、「きらく」という名前のとても繁盛しているマーケットがあり、沖縄に戻ってきたときにそれにあやかって片仮名の名をつけた。同じ場所に「キラクおおしろ」「キラク花城」「キラクふとん店」があった。

 飲食店が多い中、電話帳で「グループホーム喜楽」(前泊忍管理者)というのを見つけた。

 「グループホーム」は認知症の専門施設で、定員は9人。うるま市安慶名の静かな住宅地の中にある「喜楽」には10人の職員がいる。市町村地域密着事業の一つで、現在県内には約70のグループホームがあるという。

 入居者はなんらかの認知症の症状があり、記憶力が低下している方もいらしゃるが、「こういうことがしたい」という欲求はある。ある日、みんなでテレビを見ていた画面に北中城のひまわり畑が映った。誰かが「見たい」と言ったので、職員が何人かの入居者を連れて見に行った。 こんな話もある。施設では特別に誕生パーティというのはやらないが、利用者の誕生日のときには職員が「何がしたい?」と聞いてみるという。ある入居者は、北谷においしいラーメンのお店があったことを覚えていて、そこに行きたいというので連れていった。店を出たあと、美浜の観覧車がその入居者の目に入った。「乗ってみたい」。そして乗った。星空をバックに観覧車は回り、その入居者もそして一緒に行った職員にも楽しい思い出ができた。

 施設管理者の前泊さんは「その時はとても喜ぶけど、その翌日、前の晩のことを聞くともう忘れているんです」と話す。認知症の症状の一つなのだが、それでも、「喜こんで楽しんで」いるお年寄りたちに、「喜楽」はその名前のような生活を提供している。


「キラク」「きらく」「喜楽」由来は?
輸入食材の老舗「キラクおおしろ」
「キラク」「きらく」「喜楽」由来は?
前泊忍さん


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