「島ネタCHOSA班」2011年10月20日[No.1386]号
毎年、おいやめいの運動会を参観し、子どもたちの活躍に一喜一憂しています。各校のリレー競技を見学して感じたことですが、学校によって直線の長さやコーナーの曲り含め、トラック1周の距離が違うように思えるのですが…。(2011年10月20日掲載)
トラック1周何m?
(那覇市 30代男性)
確かにその話はよく耳にします。本当のところ、どうなんでしょうか。
運動会で「最も盛り上がる」といわれているリレー競技。クラス対抗やきょうだい学級、PTAリレーなど各種目とも手に汗握る熱戦が繰り広げられます。学校によって距離に差があると「体力に差が出てくるのでは」との声があります。
距離は学校で違い
調査員は100m、200mの世界記録保持者ウサイン・ボルト並みの速さ!? で、県内最多の小学校を抱える那覇市教育委員会に急行、その真偽を調べました。
取材に対応していただいたのは同市教育委員会で、学校関連施設を担当している施設課の花城秀和主査。さっそく、調査員の疑問をぶつけてみました。
花城さんはまず、小学校を設置するには学校教育法やその他の法令の規定、省令等で規定されていますと、説明してくれました。が…。
法律に法令、省令…。いきなり難解な言葉、文書が飛び出し、調査員の頭の中は「混乱」。メモを取る手も止まったまま。
調査員の「異変」を察した花城さんは言葉を選び、資料を示してくれた学校建設時の”バイブル“である文部科学省小学校設置基準(2002年3月29日省令)第3章「施設及び設備」によると、校舎面積や運動場面積について基準が設けられています。
そうか運動場、校舎には基準が。ならば、当然トラックにも?
残念ながら、トラックの距離について明確な基準はありません。と調査員の期待を裏切る回答?
基準がない。全国統一ではないのですか。それならどうやって長さなどを決めるのですか。
運動場や校舎面積の基準、要件は基本的に児童数をもとに算出しますと、花城さん。
トラックに関しては学校の建設場所や形状など個々の条件が異なるため、距離を統一することは厳しい。例えば地域によって児童数の増減もかなりあり、それに合わせ、毎回面積などを修正・変更することは難しい。
那覇市内の4小学校で勤務経験のある元教諭の新垣幸さんは学校によって運動場面積が異なるので、赴任時には「広い」、「狭い」という印象を持ちますが、児童数に合わせているので運動会等の行事でも支障はありませんでした。ただ、持久走を行う場合には1周の距離が違うので周回で調整しました。
最大1・6倍
現在、那覇市内には建設中の学校を含め、36の小学校があります。トラックの長さはそれぞれ学校によって違います。最長のA校は200m。B校160m。C校は150mで最も短いD校は1周120mとなっています。
同じ市内の小学校なのにA校とD校で1・6倍の違いがありますね。
学校によって児童数が異なるため、それに合わせて運動場の面積が算出されます。また先程、説明しましたが土地の形状も個々の用地で異なるため、直線距離を優先させるか、また距離をかせぐためにコーナーの勾配をきつめにとるかなど、学校によって対応に違いが出てきます。
それで各小学校でトラックの長さに違いが出てくのですか。
小学校の運動場は直線距離の目安がありますと、花城さん。
直線距離には目安があるのですか?
はい。通常は50mから70mに設定されています。建設中の新設校は直線100mの設定が可能ですが、さまざまな要件から検討した結果、70mとしました。
私が走った小学校はコーナーがきつく、PTAリレーに出場した親ごさん数人が転倒しました。
トラックの形状にもよると思いますが、転倒の原因の多くは運動不足だと思います。現在の年齢と体力を考えず、学生時代のイメージで全力疾走するのは厳禁ですね。入念な準備運動で体をならし、それから競技に参加した方が無難ですね。
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朝夕の日ざしも幾分やわらぎ、運動会には最適なシーズンです。毎週日曜日になると県内各地の小学校では、子どもたちの真剣な競技が繰り広げられています。日ごろ運動不足のお父さんお母さん。「運動会」を参観するだけでなく、競技に参加し楽しい時をすごしてみては。