沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1387]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2011年10月27日[No.1387]号

暑くても焼き芋?

普通焼き芋って冬の食べ物ですよね? 沖縄の人が焼き芋を1年中食べるのはなぜなのでしょう? サンエーでも売っているくらいのなので気になっていました。是非調べてみてください。(2011年10月27日掲載)

暑くても焼き芋?
(那覇市 Y・Sさん)

 そういえばそうですね。沖縄って本土と比べて気温も高いし、冷たいものだったら1年中食べていても不思議ではないけど、ホックホクの焼き芋ですもんね。サンエーでも真夏も販売していますし、やはり季節関係なく食べていることがわかりますね。

 う~ん。なんでだろう。

 沖縄には代表的なお土産に紅芋タルトもありますし、沖縄の人と芋…。何かつながりがあるのだろうか?

 これはもう調べるっきゃない!早速行って調査してまいります!

 沖縄の人に必要不可欠

 

 さて。お昼ご飯をぬいてやってきました。(↑こら)

 今回お話を伺うのはかれこれ20年以上も焼き芋を販売してきたという、たくさんの方々からも推薦をいただいた玉利良男さんです。

 では玉利さん。この焼き芋は二つでいくらですか?(↑パンチ)

 ではなくて、沖縄県民が焼き芋を1年中食べるのには何か理由があるのですか? 基本的に焼き芋は冬の季節に食べるものだと思うのですが、なぜ沖縄では暑い時期でも焼き芋を買うのでしょう?

 「それはですね、昔沖縄には食べ物がほとんど芋しかなかったからだと思います。もちろん芋が好きだというのもあるんでしょうけど、芋が一番食べなれていて、親しみやすいものなんです。当時食べ物はほとんど畑からとっていましたから、芋を育ててゆでたり焼いたりして食べていたのが一般的でしたね」

 ほう~なるほど。いまだにその名残があるということですか?

 「そうですね。名残というより、沖縄の人にとって芋は必要不可欠だったものなので、他の食べ物に比べても思い入れが強いんじゃないでしょうか。戦後まだ米もなく、食べるものに困っていたときに、芋があるおかげでとても助けられたようなんです。沖縄は暑いところなので、土が固くて食べ物が育ちにくい状況でも、芋だけは元気に育ってくれたみたいですよ」

 へぇ~。すごくいいお話ですね。 確かに沖縄は日差しが強いせいもあって土も固いし、当時水や肥料なども今より少ないと思うので、そのような状況のなかで畑から食べ物を育てるってすごく難しかったんだろうなぁ。

 芋は丈夫なんですね。雨にも負けず、風にも負けず、そんな芋に私はなりたい。(↑やかましい)

 芋で餌代も削減

 では、冬の季節の食べ物であるといわれている焼き芋も、1年での売上げの変化もそんなにはないということなんでしょうか?

 「うちの場合ですと、やはり冬の方が買われるお客さんも多いのですが、実際にそんなに大きな差はないですね。ほとんど毎日買いにきてくださる方もいらっしゃいますし。それに、熱々の食べ物っていつ食べても美味しくないですか?」

 確かに!(大声)そうですよね。ただ、ほとんど毎日買いにくる方もいるというのは驚きました。

 沖縄の人は昔『芋に救われた』という、感謝の気持ちや信頼があるのでしょうか。食べなれていて、親しみやすいものとは、そういうことなんですね。

 「はい。自分たちの食料にするだけでなく、動物の餌としても使っていたんですよ。僕が小さい頃は、少し傷んだりして食べられなくなった芋をよく飼育している豚にあげていました。だからとにかくたくさん植えて、育てていましたよ」

 え~まさかの餌代も削減!

 芋ってすごい! なんだか『芋さえあればとりあえず、生きていける』って思えますね。いやぁ、すばらしい!

 「本当に、毎日食べていました。なので、自然と今になっても季節関係なく食べているんだと思いますよ」

 なるほど。

 沖縄と芋にそんな深いつながりがあったなんて…。

 感動していた調査班に玉利さんは出来たての焼き芋を食べさせてくれました。

 熱々でホクホクしていて美味しい。昔の沖縄のことを考えながら食べていると、なんだか心に染みるような美味しさでした。


暑くても焼き芋?
お馴染み★石焼き芋
暑くても焼き芋?
市立病院前で石焼き芋を販売する玉利良男さん
>> [No.1387]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>