「島ネタCHOSA班」2012年02月23日[No.1404]号
沖縄では以前から、アヒルを薬膳として食べていたと聞きましたが、どうしてアヒルを食べるようになったのでしょうか?僕はいまだに食べたことないのですが、一体どんな味がするのか、気になります。調査してください。(2012年02月23日掲載)
アヒル薬膳料理!?
(うるま市 み~太郎さん)
…あひる?
調査員も食べたことありませんが、あ、あ、アヒルっておいしいのでしょうか?(↑逃げ腰)
でも中華料理に北京ダックがありますし、そう考えると少し期待できるような。…でも、でもあんなかわいい顔したアヒルちゃんを食べるなんて…うぬぬ。
昔薬膳として食べられていたことは聞いたことがありますが、う~ん。どうなんでしょうね。今でもお店にアヒル料理を出しているところもあるし、普通の家庭料理として食べられていたということはないんだろうか?
考えるほどに謎が深まるアヒルちゃん。早速調査しに行ってきます。
始まりはユイマ~ル精神から?
やってきました。沖縄調理師専門学校。…忘れていた。シェフになるという夢を思いだしたわ~!なんてね。今回お話を伺うのは、沖縄調理師専門学校の校長を務めるほか、沖縄の食文化、琉球料理研究家でもある安次富順子先生です。
安次富先生、沖縄では昔、アヒルを薬膳として食べていたのは本当ですか?また、何に効くものだったのでしょうか?
「そうですね。昔からアヒルは風邪や喘息に効くといわれていました。実は私もかつて喘息持ちで、周りの方から『アヒル汁を食べなさい』と言われ食べさせてもらったことがあります」
へぇ~そうだったんですか。しかしなぜアヒルなんですか?もっと他にも野菜とか、いろんな動物だっていた中でアヒルって…。
「昔は医療や科学よりも、実際に自分がやってみた経験から知識になっていた時代ですからね。誰とはわかりませんが、きっと風邪や喘息がアヒルのお肉を食べることによって良くなった方がいらしたのでしょう。それでみんなにも教えてあげようということで、広まっていったのではないかと考えられます」
なるほど。沖縄らしいというか、ユイマ~ル精神ですね。確かに今はテレビだったり、ネットなどでたくさんの情報が届くけれど、昔はほとんどが口コミでしたもんね。助け合いの心を感じます。
愛され続ける
安次富先生から素敵なお話を聞いて、アヒルに対しての興味が最高潮に達した調査員。実際にアヒル汁を食べてみようじゃないかと、現在沖縄県内では数少ない、アヒル料理を出している大里村仲間の「まんぷく食堂」にやってきました。
席に座り注文を終えると、さっきまでの勢いが薄れ、緊張からそわそわする調査員。頭の中にはアヒルが華麗に池を泳いでいる。
しばらくして運ばれてきたアヒル汁。…おや?これはとてもいい匂い。見た目も普通の鶏肉のようで、想像していたグロテスクなイメージとは程遠い…いや、単純にとても美味しそうである。
食べてみるとかすかに鶏肉との違いはあるものの、ほとんど味は似ている。身体も温まり、ぽかぽかして代謝も上がっていくようだ。
思わず「おいしいですね」と、店員さんに話しかけると、
「皆さんはじめは少し抵抗があるようですが、食べてみるとおいしいおいしいと喜んでくれますよ」と笑顔でこたえてくれた。
詳しくお話を伺うと、年配のお客さんが割合的に多く、そしてやはり寒くなるとよく頼まれるそうだ。今でも風邪の予防として沖縄県民に親しまれているアヒル。皆さんも是非食べてみてはいかがでしょうか。