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[No.1468]

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「島ネタCHOSA班」2013年05月23日[No.1468]号

高江洲中にランのカーテン

 うるま市立高江洲中学校の壁いっぱいにツタが広がり、グリーンのカーテンのようです。さらに、そこにランの花が咲いていてすてきです。一体いつから、誰がこんな風にしたのでしょうか? ランの管理は難しいというイメージがありますが、どうなっているの? 調査してください。

(うるま市 あ〜ず〜)

高江洲中にランのカーテン!?

 ランが見事な学校って、ランの鉢でも飾っているのかな? 生徒たちがランを育てているのかもね〜。いろいろ考えながら、うるま市豊原にある高江洲中学校を訪れることに。県道16号を走行していると、緑のツタに覆われ、あちこちに赤紫や白のコチョウランが咲いている外壁を発見。「これだ!」。さっそく車を止めて、近くで観察。高さ3〜4mほど、長さ約100mはあろうかという大きな壁を彩るランのグラデーションにうっとりとするばかりです。
 通りかかった中学生に、さっそく話を聞くと「入学する前からありました…」と困り顔。ならば、先生に聞くしかない—と、同校の門をたたくのでした。

「わったー学校」精神

 同中学校校長の山城博志さんは4月に赴任したばかり。「着任前から環境美化活動が活発と聞いていましたが、実際にランを見てすごいと思いました」と話します。「地域でつくる大樹会というのがあって、そこが整備しているらしいです」と教えてくれました。

 山城さんは同会メンバーにはまだ会っていないといい「6月ごろに総会があるようなので、会えるのが楽しみです」と瞳をキラキラ。一方で「ランの水やりをしないといけないだろうか?」と気にする模様も。その辺も聞くために会長の喜屋武晋さんを訪ねました。

 北中城村に喜屋武さんの自宅を訪問。あれっ、うるま市の中学校なのに北中城在住? 疑問が深まります。本人に聞いてみると「教員をしていて、高江洲中で定年退職を迎えたんです。だから高江洲中は『わったー学校』なんです」とのこと。現在73歳の喜屋武さんは、最後の勤務地だった同中を愛し続け、今でも大樹会として、環境美化活動をしているそうです。

 喜屋武さんによると、壁を覆うツタはオオイタビ。ランを着生させるずっと前、1990年前後に同中の壁が高く大きくて周囲に威圧感を与えることを気にした、当時の校長が植えたそうです。なるほど、そういう歴史があったんですね。「私が赴任した95年には、オオイタビは壁のてっぺんまで届いていませんでした」と喜屋武さん。

 そして創立50年を迎えた98年、記念事業として喜屋武さんはPTAと環境整備を実施。オオイタビの刈り込みも行いました。その後、環境活動を継続することで意気投合し、大樹会を設立。オオイタビにランを着生することになったといいます。

何度も失敗

 苗は、大樹会の会員でラン栽培を行っていた徳田政信さんが提供。最初のころは、コンクリートからの熱やカタツムリの食害で次々と枯れる始末。しかし「一度や二度の失敗であきらめないで」という会員の後押しを受け、ランが根付きやすいように、重機を使いオオイタビの枝切りを重ねたそうです。

 「ランは周囲の水分を吸うから夏以外は特に水やりの必要はありません。でも、枯れる苗もあるので、年1、2回は補植しています。オオイタビの枝が伸び過ぎるとカタツムリが増え、切り過ぎると熱でだめになる。枝を切る量が難しいです」。補植は毎年300鉢にもなるというから驚きです。その活動が評価され、同会は昨年、第1回うるま市景観賞活動部門に輝きました。

 現在、約25人のメンバーが参加。年会費5千円を徴収するため「ボランティアなのに、どうして?」と言う人もいるといいます。喜屋武さんは「自分の子どもが卒業しても、何歳になっても、わったー学校だよ。わったー学校の子どもたちのためなんだよと言うと納得してくれます」と熱く語ってくれました。

 母校への熱い思いに感動した調査員。喜屋武さんは別れ際、自宅の庭にひっそり咲く「サクララン」の花を一房くれました。学校や花を愛し、周囲の人を喜ばせようとする心遣いのある人たちが、あの景観をつくり上げているんだ—。納得する調査員なのでした。


高江洲中にランのカーテン
緑のオオイタビのカーテンに赤や白のコチョウランが鮮やかな高江洲中学校の外壁=うるま市豊原
高江洲中にランのカーテン
山城博志校長
高江洲中にランのカーテン
喜屋武晋さん
高江洲中にランのカーテン???
うるま市景観賞を受賞した大樹会。おそろいの帽子とウインドブレーカーで活動する
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