「島ネタCHOSA班」2013年10月24日[No.1490]号
うるま市に「おいしそうな公園」が2カ所あると聞きました。それも場所が近いとか。どんな公園なんでしょうか?
(中城村 パクパクさん)
公園に巨大な果物?
おいしそうな公園ですか。うるま市は広いですからねぇ。もう少しヒントを…というわけで同市都市計画部を訪ねました。対応した都市計画課係長の新垣勝さんは、すぐに資料を取り出し、「同市の石川前原区に2つありまして、トイレに由来しているんですよ」と笑顔で話します。
完成当時の写真を見せてもらうと、あっおいしそう! トイレの形がかわいらしいメロンとミカンです。「正式名称はメロンが前原西公園、ミカンがわかば公園といいます。同区の区画整理の際に整備されたんですよ」と続ける新垣さん。公園を造る際に基になる「都市公園法」では、新たな区画整理地の3%を公園や緑地にすることが決まっているそうです。
地域に親しまれ
「区画整理で大切なのは、地元住民が納得して事業が進むことなんです」。そのために地域の人たちが「土地区画組合」をつくり、「どんな公園にしようか」「どんな遊具を置こうか」などを考えていくそうです。さぁ、なぜ果物だったか答えが聞けそうですね。「いやー、実はなぜこの2種類のトイレを造ったのか分からないんですよ」。地元の皆さんの自主性に任せ、資料は残っていないんですね…。
実物を拝見しつつ所在地の石川前原区自治会を訪ねることにしましょう。
しかし方向音痴の調査員、市街地をグルグル回ってもなかなか公園にたどりつけません。ちょうど下校時間、歩いていた小学生たちに聞いてみることに。前原西公園とわかば公園知りませんか? 「メロン公園とミカン公園でしょう」「よく遊びに行くよー」「あっちとこっちー」。伊波小学校の皆さん、ありがとう。
いよいよご対面です。思っていたより、かなり大きなトイレです。1998年に供用開始されたメロン公園は高台に位置し、芝が広がります。トイレの入り口がある断面中央に種も再現されています。一方、2000年に完成したミカン公園は、大きな遊具のあるゆったりした公園です。色はグラデーションで葉っぱにロープが結んであり、ぶら下がれるようになっています。両者とも多少老朽化しているものの、思ったより落書きが少ない気がします。愛称で呼ばれて親しまれているんでしょうね。
かつての特産品
石川前原区公民館で調査員を出迎えた自治会長の豊濱光則さん。「僕はことし4月に就任したばかりで詳しいことが分からないので、先輩を紹介しましょう」
連絡してくれたのは区画整理当時、市の都市計画課にいたという松田久輝さんです。
「公園は、子どもからお年寄りまで利用する人が大勢いるから、まずは安全性が大事。そして次に地域の人たちに親しんでもらい楽しんでもらうことです。さらには、石川前原区の場所が分かるよう、インパクトのあるものを造ろうと思ったんですよ」。子どもたちにも喜ばれているようですね。でも、なぜメロンとミカン? 「バナナとかブドウではトイレにならないさ」。そりゃそうだ。
「実はね、石川前原区周辺では、かつてメロンとミカンを作っていたんですよ」と松田さん。豊濱さんも「そういえば30年ぐらい前だったかな、作っていたね。それが理由だったんですか」と驚きの表情。
「みんなでカタログ見ながら設備を選んでいた時に、そのことが頭に浮かんだんだよ」。今はメロン農家はいなくなり、ミカン農家も少なくなったそうですが、たくさんの人の目に触れる場所にシンボルとして建てられたなんて。当時はそんなに意識していなかったかもしれませんが、結果、石川前原区の足跡が残ったわけですね。感動した調査員。うるま市に限らず、県内各地の公園のユニークなトイレの由来も知りたくなったのでした。