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[No.1505]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2014年02月13日[No.1505]号

えっ、鍋にゴーヤー

 ベトナムでは、ゴーヤーを使った鍋料理があると聞きました。私の感覚からすると、ちょっと意外な気がしますが、おいしいのでしょうか? また、国外には白くて苦いゴーヤーもあるそうですが…?(那覇市 ゴーヤーおじさん)

えっ、鍋にゴーヤー!?

 ゴーヤー=沖縄というイメージがあまりに強くて、ベトナムという言葉に驚いた調査員。国外でも食べられているのですね。しかも鍋料理とは…。ゴーヤーについてはまだまだ知らないことが多そうです。というわけで、まずは改めてゴーヤーのキホンから聞いてみることにしました。

 「ゴーヤーは、熱帯アジアのインド、バングラデシュの原産で、沖縄には中国や東南アジアとの貿易により入ってきたといわれています」と県農業研究センターの谷合直樹さん。なるほど、ゴーヤーは沖縄発祥というわけではなかったのですね!

 また、ゴーヤーには、地域によっていろいろな品種があるそうです。

 「今、県内で育てられているのは、冬は『汐風(しおかぜ)』、夏は『群星(むるぶし)』『夏盛(なつさかり)』という品種。これらは皆、『青中長(あおちゅうなが)』と呼ばれるタイプで、色が緑でイボが丸くなっているのが特徴です」と谷合さんは言います。一方、東南アジア一帯で見られる品種には、ゴーヤーの色、長さ、イボの形などにバリエーションがあるそうで、「白いものや、イボがトゲのようにとがっているものも確かにありますよ」と谷合さん。

 「白いのは苦いとか、逆に苦くないとかいわれるのですが、苦み成分と色素は必ずしもリンクしないことが確認されています」

家庭ごとの味

 アジアを股にかけ、インターナショナルな舞台で華々しく活躍するゴーヤー。アジアンエンタメ界も顔負け(?)ですね。ゴーヤー鍋というエキゾチックな料理があっても不思議ではないように思えてきたところで、県内のベトナム料理屋さんを取材しました。

 「ゴーヤーの鍋ですか? はい、食べますよ」と答えてくれたのは、宜野湾市普天間にあるベトナム・タイ料理のお店「アジアンハウス」店長の近藤順子さん。ベトナムでは、ゴーヤーをサラダにすることが多いそうですが、スープにしたり、鍋にしたりもするそうです。ゴーヤー鍋はいったいどんな感じの料理なのでしょうか?

 「うーん、家庭ごとに入れるものが違うので、説明は難しいですね。例えばそうめんと一緒に食べるとか…。ベトナムの南部か中部かでも異なります」とベトナムのお隣、ラオスで生まれ育った近藤さんはにこやかに説明してくれました。

冬の風邪予防にも

 みそ汁のように家庭ごとの味がある…ということを聞き、ゴーヤー鍋に親近感が湧いてきた調査員。ぜひ実際に味わってみたいと思い取材を重ねたところ、那覇市松尾のベトナム料理店「DAO(ダオ)」のシェフ、ファンシー・フンさんに特別に作ってもらえることに。

 「家のパーティーでよく食べていましたが、作ったのは久しぶりです」と来沖4年目のフンさん。本来は現地でしか手に入らない材料も使うそうですが、今回は沖縄でも手に入るもので調理していただきました。

 ベトナム風の鍋に乗せられた具材を見ると、ちゃんとゴーヤーが並んでいます。ゴーヤーは、ワタをくりぬいて輪切りにし、中にひき肉を詰めています。見た目にもすごくおいしそう!

 豚の骨、鶏肉、牛肉でだしをとったスープに具材を入れ、しばらく煮込んでできあがり。味はというと…。ゴーヤー独特の風味とひき肉が意外にマッチ。煮込むせいか苦みはそれほどではなく、心地よい舌触りも魅力。野菜としての風味がより際立つ印象です。

 最後はベトナムの麺、フォーを入れてシメ。おいしゅうございました。

 今回はベトナム出身のシェフに作ってもらいましたが、おうちでは、いつもの水たきにゴーヤーを加えてみるくらいの感覚でもゴーヤー鍋が楽しめそうです。
 レモン以上のビタミンCが含まれるといわれるゴーヤー。加えて鍋だと体も温めてくれますから、冬の風邪予防にもピッタリですね。皆さんもぜひ一度お試しください。



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えっ、鍋にゴーヤー
ゴーヤーの品種の数々。確かに白いゴーヤーも(写真提供‥谷合直樹さん)
えっ、鍋にゴーヤー
これがうわさのゴーヤー鍋!
えっ、鍋にゴーヤー
ファンシー・フンさん
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