「島ネタCHOSA班」2014年09月18日[No.1536]号
宮古島出身の友人から、宮古島市にお客さんがタイムカードを押す不思議な店があるという話を聞きました。とても気になるので、代わりに行って調査してもらえませんか?
(那覇市 アパラギパラギさん・20代男性)
客がタイムカード押す店!?
通常だと従業員が押すタイムカードをお客さんが押す店? 何かノルマやスタンプラリー的なものでもあるのでしょうか? 宮古島、ちょっと遠いけど行きましょう。ついでに飲めば良いのだから!
昼は商店、夜は…
情報を基にたどり着いたのが、宮古島市平良下里の「ぷちまあと」。昼は飲み物や総菜を売っている、一見どこにでもあるような商店のようですが…。カウンターに立っていたマスターの伊波博之さんに話を聞きました。
いつ、どのようなきっかけでこのスタイルになったのでしょうか。
「商店は私の母が約50年続けています。私もそろそろお店を継ごうと、8年前にサラリーマンをやめて店に立ち始めたんです。夜に店番をしていたら来てくれた友人たちが、勝手に夜な夜な店で買ったお酒をそのまま店内で飲み始めて…」
当初2〜3人だった客が、人が人を呼んでどんどん増え、外まであふれてしまったそう。おそるべし宮古パワー。
「それでもうしょうがないから、中央にあった陳列棚を外してテーブルに、レジの机をカウンターにして4年前くらいから居酒屋にしました」
風任せで午後8時から午前4時までは居酒屋として営業しているそうです。
話の最中に、見つけましたタイムカード。入り口横に置かれています。調査員もぜひ押してみたいとお願いしたところ、思わぬ回答が。
「これは30人限定の常連さんしか押せないんですよ〜。条件は週2回以上お店に来てくれることです」
実際には週2回以上来ている常連さんが30人以上いて、タイムカード取得を待っている人がたくさんいるのだとか。
「来店が月6回以下になると脱落です。出張帰りなどで久しぶりに来たお客さんのタイムカードが無い時の残念そうな顔がたまらない(笑)。JリーグのJ1・J2のように少しずつ入れ替わります」
特典はありませんが、自分がいつ来たかを他の常連さんに伝えることができ、何より「常連」と認められるうれしさがあるようです。
宮古島の人間交差点
「ぷちまあと」は注文の方法も独特。というか、注文という概念がありません。お客さん自ら店の飲み物やおつまみを取って自由に飲み食いするスタイル。チャージは無しで、昼間の商店の値段そのままに超リーズナブルな料金で楽しめます。
伊波さんは営業中、何をやっているのでしょうか。
「割り用の水と氷を出したり、お客さんが取った商品をカウントしたりするくらいですかね。でも自分も飲んでるので間違えることはしょっちゅうありますよ」
その個性的なスタイルと営業時間の長さも手伝って、さまざまな職業の人が来店しているようです。
「宮古島に転勤で来た人が口コミで来てくれることはよくありますね」
ここはまさに宮古島の人間交差点のような店。
「毎日楽しいですからほぼ休まないですよ。毎晩、家飲みが開催されているようなものです!」
ノンストレスなすてき空間! 現代社会のユートピア、ぷちまあと。これは宮古島を訪れるたびに行くしかないな。