「島ネタCHOSA班」2014年12月11日[No.1548]号
みそと同じく冷蔵庫に必ず入っているアメリカ産の「HOLIDAY MARGARINE(ホリデーマーガリン)」。私の家では、パンに塗るだけでなく、ジューシーに載せて食べるのも定番です。沖縄でそのマーガリンがどれくらい人気なのか気になるので、ぜひ調べてください。
(宜野湾市 シーブン・グァーさん)
「マーガリン」人気の理由!?
沖縄では、一般的にホリデーマーガリンのことを「バター」と呼び、いろいろな料理に使われています。マーガリンをサービスで置いている食堂があると聞きつけ、さっそく調査に行って来ました。
マーガリン、ご飯に載る
県内2カ所の食堂にマーガリンを置いていることが分かった調査員。さっそく那覇市で40年以上営業している三笠食堂を訪ねてみました。
レトロな雰囲気が漂う店内。カウンターの上には、七味唐辛子やしょうゆと並んでスティック型のマーガリンが置かれています。
三笠食堂2代目店長の新川宣一(のぶかず)さんにマーガリンがどのように使われているのか聞いてみました。
「使い方を見せましょう」と言い、カウンターに移動した新川さん。平皿にご飯を盛り、その上にマーガリンを載せて、箸で混ぜ始めました。すると、見る見るうちにマーガリンがご飯の熱で溶けていき、クリーム色のマーガリンライスが出来上がりました。
熱々のご飯にマーガリンの塩気とコクが加わり、バター風味そのもの。これは、食欲が湧きます。
マーガリンの人気度を聞いてみると、「バター(マーガリン)は三笠に欠かせないものです。ないと客に怒られますよ(笑)」と新川さん。メニューには「マーガリンサービス」と書かれていて、店の看板になっているようです。
常連客の中にはマーガリンライスにしょうゆを掛けたり、おかずにチョイ足ししたりする上級者もいるそうです。また、一人でスティック1本の1/3の量を使うつわものもいるのだとか。カロリーが気になります。
マーガリンは観光客にも人気で、同店では、1日に3箱消費されていると新川さんは話します。
いつからマーガリンライスが登場したのか聞いてみると、「私が食堂を引き継いだときにはすでにありましたね。初めてマーガリンライスを食べたのも三笠でした。発祥は定かではありませんが、戦後、米軍から沖縄に入って来たマーガリンを先代がおいしいからと置いたのか、客から要望があったのでは」と首をひねります。
一時は消えかけた?
マーガリンについてさらに知りたい! と思った調査員。販売元の「湧川商会」(浦添市)を訪れ、特販事業部ゼネラルマネージャの伊志嶺哲冶さんに話を聞きました。
「私もマーガリンライスがいつ頃から食されるようになったのか分かりませんが、駐留軍向けに輸入していたマーガリンが沖縄で広まり、その食べ方が生まれたのではないでしょうか」
さらに話を進めていくと、日本の食品メーカーがホリデーマーガリンを国内製造していたことや、一時製造休止になり、店から姿を消した事実も判明。
しかし、マーガリンのファンは多く、湧川商会はリクエストに応えるため製造元のアメリカまで行き、材料を改善し、輸入の再開にこぎつけたそうです。それがなかったら「HOLIDAY MARGARINE」は沖縄の食卓から永遠に姿を消していたのかもしれません。
「本場アメリカではどれくらいポピュラーなのでしょうか」と質問すると、「アメリカでは販売していません。沖縄だけのために昔から変わらない製法とレシピで作っているんですよ」と意外な答えが返ってきました。
次々に明らかになる事実!衝撃で目が回りそうになりました。
国内メーカーのマーガリンが登場する中、同商品は、年間約45万個販売されているそうで、今も昔もダントツの人気ぶりです。
アメリカの影響が色濃い沖縄の食文化。パンにマーガリンを載せたときになかなか溶けない、あの硬さも昔から変わらないものだと知ると、それも県民から長く愛される理由の一つだと思えた調査員でした。