「島ネタCHOSA班」2015年1月8日[No.1551]号
沖縄の闘牛界で、最近、牛の名前がすごいという話を聞きました。聞けば、「ゴジラ」という名がついた牛もいるとか!? 興味があるので調べてください!
(那覇市 崖っぷち男子さん)
今、牛の名前が面白い!?
おっ、闘牛ですか。いいですね〜。えっ、何がいいって? 今年はひつじ年でしょ。うし年生まれの調査員はなんだか肩身が狭くてねぇ。えっ、そんなことはどうでもいいって?はいはい、さっそく調査開始といきましょう!
パンダに大福!?
と意気込んでみたものの、実は闘牛のことをよく知らない調査員。まずは、過去の新聞の紙面で闘牛の取組表をチェックしました。
すると│。なんともユニークな牛の名前の数々が並んでいるではありませんか! 「風神ボロジノ」なんて名前はいかにも強そうで闘牛らしいですが、「壮士郎パンダ」という名前の牛もいます。牛なのにパンダ!?
次に目に入ったのは、「古堅モータース☆若力」「それいけ台風」「南乃大福」「いらっしゃいキング」│。いずれも一度聞いたら忘れられないインパクト!!
「ファンキーゴジラ」という牛も実際にいました。うーむ、牛の名前って、どうやって付けられるの?
事情を探るべく、闘牛の歴史に詳しいうるま市の史跡観光ガイド、上門惟夫(のぶお)さんを訪ねました。
「牛の名前には、戦前、戦後、現在と時代ごとに傾向がありますね」と上門さん。
戦前は、地名に牛の特徴や得意技をつけた名前が主流。例えば、かつての名牛「東恩納カキヤー」の「カキヤー」は、角を相手の牛にかけ首を曲げる「カケ」という技が得意なことから。また、角がカーブした牛なら「○○トガイー」、開き気味なら「○○ヒラー」、横にまっすぐなら「○○ボーヌー」、毛色に白と黒が混じっていれば「○○パンダ」といった具合に、角の形や見た目の特徴によって名付けられることも。こういったネーミングは今も受け継がれており、現在の取組表でもよく見かけます。
戦後の1960年代には、各地で興行として闘牛が行われるようになり、宣伝のためオーナーや企業の名を冠した牛が登場。うるま市の酒造メーカー、泰石(たいこく)の名が付いた「泰石ボーヌー」をはじめ、「ペプシ号」なんて牛も活躍したようです。この流れも今なお続き、「古堅モータース☆若力」は会社名に由来するとのこと。
ファンキーゴジラ
そして現在、牛の名前はさらに多様に。牛主(オーナー)が変わったら名前を付け替えることが多くなり、牛主が願いをこめて思い思いの名前を付けているという背景もあるようです。
ただ、同じ牛舎(グループ)やオーナーの牛には、一部に同じ名前が付けられるという傾向があり、例えば「それいけ台風」の場合、「それいけ」は牛舎名。同様に、「風神ボロジノ」の「風神」も牛舎名に由来しているとのこと(「ボロジノ」は大東諸島の異名から)。
素人目には自由に思える名前にも、それなりの由来や理由があることも。「南乃大福」の「大福」は和菓子の大福ではなく、北海道の名牛の名前から。南国沖縄の牛ということで、頭に「南乃」をかぶせたとか。「いらっしゃいキング」は、テレビ番組「新婚さんいらっしゃい!」の司会を務める桂文枝さんが名付け親。なるほど、納得です!!
牛の名前と由来を調べ、ユニークな名前の牛に実際に会いたくなった調査員。今帰仁村の村営闘牛場に足を運んでみました。
会ったのは、「ファンキーゴジラ」。牛主の嘉陽正(まさし)さんは、「『ゴジラ』は親牛の名前と自分のあだ名から。『ファンキー』にするか『ウルトラ』にするか迷ったけど、譲り受けた時、バンドのファンキー・モンキー・ベイビーズが解散したのもあってファンキーにしたんだよ」と話します。
「ゴジラ」という名前ではありますが、6歳で体重は800㌔と闘牛にしてはやや小柄で、横に開いた立派な角ときれいな瞳が印象的。「今2連勝してるけど、性格はおとなしいよ」と嘉陽さん。黒い毛並みを丁寧にブラッシングする姿に、あたたかい愛情が感じられました!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇今回の調査で牛の名前を調べて、闘牛に親しみがわいてきました。今年はぜひ闘牛場に行ってみたいと思います!皆さんも、新聞の取組表をチェックして、気になる牛を探してみては?