「島ネタCHOSA班」2015年05月06日[No.1568]号
那覇空港自動車道を通ると、八重瀬町と南風原町の境目辺りに、番号をふった「東宝ビル」という建物をいくつも目にします。この建物のお城のようなデザインも気になります。ぜひ調べてもらいたいです。
(通りすがりの桃太郎さん)
番号の付いたお城!?
めったに那覇空港自動車道路を通らない調査員は、本当にそんなものがあるのかと半信半疑。まずは車を走らせてみよう。ヨーロッパでもあるまいし、あるわけがないと思った矢先、八重瀬町向け左手に発見。南風原町にお城がありました!
5階建て3世帯住宅
自動車道を降りて、「東宝ビル」の文字を手がかりに付近で尋ねるとマンションと分かり、数社の不動産仲介業者へ問い合わせました。そして交渉の末、管理者の東宝建設代表・大城重弘さんに話を聞くことができました。
このマンションとても目立ちますね〜。
「このデザインだからか、カップルにラブホテルと思われて『入り口どこですか〜』なんて言われることもありますよ。ここは一戸建て住宅ですよ〜って言うんですけどね」
そうですか、この外観ならそう思われても仕方がない、えっ? ここ一戸建てなんですか!?
「ええ、子どもや孫たちと3世帯で同居しているんです。家族仲良く毎日にぎやかで楽しいですよ」
デザインはおろか、これが一戸建てだということにたじろぐ調査員。思わずめまいが…。なんと約400坪の土地に5階建てという大豪邸。
かなりデザインにこだわっていらっしゃいますよね?
「このシンボルとも言える屋上の角錐は、エジプトのピラミッドを意識したものです。外観は全体的にヨーロッパ風にして、僕は城跡が好きなもので一階部分や庭は石を積んだりしていますね。好きなデザインをワンポイントずつ取り入れた満足の仕上がりです」
番号を付けた訳
同社は複数の賃貸アパートを所有しているとのこと。そしてその物件もお城のようなデザインが多いのです。物件が並んでいるエリアは那覇空港自動車道から見るとまるで城下町。
番号をふったのには何か理由があるんですか?
「初めのうちは『東宝マンション』や『メゾン東宝』などと名称を付けていたのですが、物件が増えるに連れて名付けるのが大変になってきた。そんな時に団地に番号がふられているを見て、これは管理の面で役立つんじゃないかと思って取り入れることにしました」
建物に番号をふってからは、同姓の入居者であっても入居棟によって判別できるので管理がしやすくなったとか。「当初は物件の数を周囲に見せびらかしていると思われないかと葛藤がありましたけど、なにより管理がしやすくて」と、説明する大城さんに経営者としての意気を感じます。
創業から足掛け40年、現在東宝ビルは28棟を数えます。ちなみに18棟目から屋上にピラミッドのようなシンボルが登場します。
仕事哲学を学ぶ
ご兄弟や息子さんと建設会社を営む大城さん。この道一筋の大城さんの仕事哲学を聞いてみました。
「まずは自分の仕事を好きにならないといけない。楽しく仕事をすると工夫もするし伸びていく。僕は今でも寝る時間を惜しまないくらい仕事が好きですよ。建物を建てた時の達成感が好きで、また次も頑張ろうって思えます。そして、壁に突き当たっても諦めないこと。逃げたらまた同じ局面が来たとき越えられなくなってしまうからね。自分で解決することが大事です」
やはり、この質問は外せない。「今の若者に言いたいことはありますか?」
「まずは笑われてもいいから、手の届く現実的な目標を設定することを勧めます。その小さな目標を達成し続けると自分に自信がつく。これを繰り返していくと、自分の抱いていた大きな夢がかなうかもしれないですよ」
気になっていたビルの正体を突き止めたら、おまけのように人生に有意義な助言の数々をたくさん賜った調査員。帰宅の途中、自動車道を走る車窓から「宝」の文字が大きく見えたのは気のせいだったかな?