「島ネタCHOSA班」2016年01月07日[No.1602]号
糸満市にある「ロンドン杜公園」はネット上の地図で見ると、「4号ロンドン杜公園」となっていますが、1〜3号の公園は見つかりません。公園名はロンドンとかかわりがあるのでしょうか
(糸満市 寝正月さん)
「ロンドン杜公園」由来は
実は8年前にもレキオは、この謎のひもときに調査員を派遣していました。「ロンドン杜公園」に4号があるとは、いまだ知らず。8年ぶりに再調査開始です。
行政上の名称!
まずは糸満市役所都市計画課を訪ねました。同課の公園街路係・主幹兼係長の赤嶺貢さん、副主査の上原千尋さん、教育委員会生涯学習課・主幹兼文化振興係長の加島由美子さんが対応してくれました。
ロンドン杜公園とはどんな公園なのですか?
「平成7年度から16年度までに実施された都市計画公園事業で、正式名称は4号ロンドン杜公園です。約8・3ヘクタールもある緑地面積の広い公園ですよ」と、上原千尋さん。
1〜3号公園はどこにあるのでしょうか?
「4号公園とは、400〜10ヘクタールの規模をいう行政上の名称です」。ということは、ロンドン杜公園の1号〜3号はそもそも存在しないわけすね。1つの事実が判明して思わずすっきり感を味わった調査員。
ドンドンガマがロンドンに
続いて本題に迫ります! ズバリ、4号ロンドン杜公園はイギリスのロンドンと関わりがあるのかと尋ねました。
「それは全く違うと思いますね」と、あらら、あっさり否定して下さったのは、加島由美子さん。「ロンドン杜公園」という名称の背景には、ある伝説のラブロマンスの舞台となった洞窟(ガマ)の存在がキーワードだといいます。ロンドンとラブロマンス、なんて壮大なストーリーでしょう。さっそく、そのラブストーリーをひもといてみましょう。
昔々、高嶺村真栄里(現糸満市真栄里)を見下ろす北部の丘にドンドンガマと呼ばれるガマがあったそうな。そこによそから漂着した男が住み着いて、漁が巧みなことから村人は彼を「海やからー」と名付けました。そのうち、村一番の美女が「海やからー」に恋したそうな。そのロマンスを育んだ場所がドンドンガマだったのです。村の青年たちは嫉妬から「海やからー」を亡き者にしようと企むのですが、ことごとく失敗。それならばと、2人への面当てにはやり歌で恋路をバラしたのだとか。今に伝わるその俗謡の1節に、「誰がし名付きたが、ドンロンぬガマや 真栄里美童ぬ 忍び所」とあるのです。
ちなみに、「海やからー」に恋した娘とは、現在の仲間門中宗家で、ラジオパーソナリティー・玉城美香さんのお母さんの実家だということも判明!
さて、ここでやっと、「ドンロン」にたどり着きました。この「ロンドン」説について、「糸満市史」では次のように記述されています。
「ロンドンガマ」なのか、「ドンドンガマ」なのか、実際の歌では呼称に差異が生じている。糸満では地域によって、だ行とら行を混同する傾向にあるそうで、はやしやすいのは「ロンドン」よりも「ドンロン」だったのだろうと解釈しています。
加島さんによれば、いつごろ「ドンドンガマ」が「ロンドンガマ」に変化したのか定かではなく、「ゴロが似ていて、いつの間にか変化したのでしょう」とのこと。
ドンドンガマに向かおうとするも、「ハブが出るし、その軽装ではやめたほうがいいですよ」と市立図書館長さんにたしなめられ断念。ドンドン、ドンロン、ロンドンと口ずさみながら図書館向かいに広がる「ロンドン杜公園」へ向かった調査員でした。
写真提供:糸満市立中央図書館