「島ネタCHOSA班」2016年02月04日[No.1606]号
お正月に首里城の新春の宴に足を運び、登場した威厳ある「国王」の姿に感銘を受けました。一般からの公募制とのことですが、どんな人が選ばれているのでしょうか? 素顔が気になります!
(那覇市 考えるネコさん)
「琉球国王」の素顔に迫る!?
首里城祭の「国王」といえば、那覇市国際通りで毎年秋に行われる琉球王朝絵巻行列でもお馴染み。新聞で見かける写真では、赤い豪華な衣装に冠、そして何より立派なお髭が印象的です。確かに、普段の姿が気になりますよね。
にこやかな好青年
というわけで、さっそく国王に面会を申し込んだ調査員。快く応じていただけるとのお返事をもらい、少しドキドキしながら首里城へ向かいます。
「お待たせしました」。待ち合わせの部屋に現れたのは︱。スラッと背の高い爽やかな好青年。あ、あのー、お付きの人かなんかですか?
「いえ、私が平成27年度首里城祭で国王を務める伊良波孝仁(たかのり)です」
ええっ? た、大変失礼いたしました。私服姿だと、あの威厳に満ちた国王と同一人物とは思えませんね〜。話しぶりも穏やかで、威厳というよりホッとするような柔和な人柄です。
「国王になる時は、付け髭を付け、メークもしていますから。最近、ようやく付け髭もうまく付けられるようになったんですよ」とにこやかにほほ笑む伊良波さん。しかし、見事に変身するものです!
伊良波さんは服装や髪型も清潔でおしゃれ。見た目も若く青年のように見えますが、働き盛りの34歳。大学卒業後、県外やアメリカでの勤務を経て5年前に帰沖し、現在は、県内のホテルに勤務しています。
仕事の中身は?
首里城祭に欠かせない国王と王妃。平成4(1992)年に首里城が開園した時から、毎年1年交代で務めています。平成8(1996)年から公募制となり、平成27(2015)年度の応募者は国王17人、王妃45人。応募者の中から書類選考で国王・王妃とも各5人の候補者に絞られ、毎年9月中旬に首里城で行われる「中秋の宴」で琉装をまとって審査。8人の有識者からなる審査員により、その年の国王・王妃が決定されるそうです。
国王の応募資格は18歳以上で県内在住であること。加えて身長170㌢以上という条件がありますが、これは国王の衣装を着こなすためなのだとか。
「衣装は意外と重く、5㌔もあるんです。10月に行われる『冊封儀式』という任命式で正式に国王となるのですが、儀式ではしゃがんだり立ったりの動作が多くて…。翌日に筋肉痛になりました(笑)」。国王役をこなすには、体力も必要なんですね。
国王の仕事は、年に5回ある首里城でのイベントに出演すること。そのほか、那覇市長へ表敬訪問したり、各地の祭りや催事に出演したりすることもあるといいます。
「冊封儀式や新春の宴は事前に4、5回のリハーサルがあります。最初の仕事となる冊封儀式では、動きも何も分からない状態でスタートしたのですが、監修の先生や着付けの先生のアドバイスに助けられました」
監修の先生から「冊封儀式に出席する臣下には、王子を国王にするため命をかけて中国に赴いた人もいるし、何より幼い頃から見守ってきた王子が国王になることを皆心から喜んでいるんだよ」と教えられ、国王としての自覚が生まれてきた、と表情を引き締める伊良波さん。
「国王は威厳が大切なので、ゆっくりとした動作を心がけています。しゃべったり、口を開けて笑ったりするのはNG。ただ、国王の中には優しい人もいたと思うので、自分は少しほほ笑むようにしていますよ」
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「ウチナーンチュのルーツである国王を実際に経験して、琉球のチムグクルを学んでみたい」との思いから国王に応募したという伊良波さん。実際に国王になると視野が広がり、琉球王朝に関するテレビや本、新聞報道などを意識して見るようになった、と話してくれました。
次に国王が登場するのは、28日(日)に中城城跡で開催されるイベント「グスクの響き×ちゅらガールズコレクション」。読者の皆さんも、ぜひ足を運んでみてくださいね!!
(写真提供:首里城公園)