「島ネタCHOSA班」2017年02月23日[No.1661]号
最近、髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」という活動を知りました。県内でもヘアカットついでに髪を寄付できる美容室があるみたいです。ぜひ、調べてください。
(シャイなラブーフさん)
髪の毛で社会貢献!?
「ヘアドネーション(髪の寄付)」ですか? 寄付といえば、金銭的な支援を想像してしまいますが、髪を寄付するというのは、一体どういうことでしょう。
切った髪がウィッグに
調べてみると、ヘアドネーションは1990年代にアメリカで広まった活動だと判明しました。日本では2009年に大阪のNPO法人「Japan Hair Donation & Charity(JHDAC、ジャーダック)」が活動を開始。病気や事故などで髪の毛を失った18歳以下の子どもたちに人毛で作ったウィッグ(かつら)を無償で提供しています。JHDACにコンタクトを取ってみると、賛同する美容室は県内で14店舗(2017年2月現在)に上り、希望者の髪を切って同団体に郵送しているそうです。
さっそく賛同美容室の中の1店舗に連絡を取ると、「活動を知ってもらえるなら」と快く取材を引き受けてくれました。
訪れたのは、読谷村座喜味のマンションの1室にあるhair room botanika(ヘアルームボタニカ)。オーガニックシャンプーなどをはじめ、植物由来の製品などを使用している隠れ家風の美容室です。
出迎えてくれたオーナーの川名貴士さんによると同店が賛同美容室になったのは、2013年。当時は同店を含めて2店舗だけだったそうなので、県内でも支援の輪は広がりを見せています。
「きっかけはお客さまからヘアドネーションの話を聞いたことでした」という川名さん。これまでに延べ90人の髪をJHDACに送ったそうです。髪を寄付した人は年齢も性別も多種多様。生まれて初めて切るという小学生から60代まで。男性も3、4人いたといいます。
なんと川名さんご自身も昨年の6月に自ら髪を寄付したそうです。ちなみに、同店で寄付した方の最長は90センチだったとのこと。「パンクロックが好きで髪を伸ばしていた男性で、おしりぐらいまであった髪を切りました」
行動もロックでかっこいいです!
31センチ以上が必要
寄付の条件は31センチ以上の長さ。パーマやカラーリングなどの制限はないそうです。中には長さが足りなくて、数カ月後に戻ってくる人もいるといいます。
寄付を決めた理由はさまざまで、親族や自身が闘病経験者だという方、SNSで活動を知って何かできたら思ったという方などが協力をしてきたといいます。
「人工毛のウィッグもありますが、不自然なものが多いのが現実。人毛のウィッグを製作するには10万円以上かかってしまいます。また、子どもの頭は小さく、既製品だとサイズが大き過ぎます」という川名さん。
経済的な負担も大きいのですね。髪の問題で傷ついている子どもは数多くいると思います。こういった活動は希望になりますね。
昨年、県内のウィッグ希望者の採寸や完成後のヘアカットや微調整などを行ったという川名さん。
実際にウィッグをかぶった子どもの写真を見せてもらいました。かわいいロングヘアーの髪型は本当に自然で、ウィッグだとは全く分かりません。オーダーメードなので希望の髪型が手に入れられるのは重要なポイントです。
「活動は広まっていますが、知名度はまだ低いです。これからもブログでの情報発信や美容師仲間への周知活動を継続していきたいです」と川名さんは話してくれました。
1つのウィッグを作るには30人分の髪が必要で、提供を待っている子どもは県内で3人、全国で約130人いるそうです(2017年2月現在)。
髪は切って終わりではなく、寄付することが人の役に立つことを学んだ調査員。県内でももっとこの活動が普及してほしいと願いながら、美容室を後にしました。