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[No.1694]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2017年10月12日[No.1694]号

カワウソ発見の教授を直撃

 長崎県・対馬で野生のカワウソが撮影されたと大ニュースになっていました。撮影したのは琉球大学のチームと聞きましたが、なぜ沖縄の大学が発見できたのでしょう。ぜひ調査をお願いします。

(宜野湾市 ココニ・オッターさん)

カワウソ発見の教授を直撃!?

 国内で38年ぶりに確認されたという野生のカワウソのニュース。世間を騒がせていましたね。
 映像を公開したのは琉球大学の伊澤雅子教授率いる理学部生物系動物生態学研究室。ヤマネコの生態調査を行っている国内唯一の研究室です。さっそく伊澤先生の研究室を訪ねました。

偶然重なり奇跡の瞬間

 なぜ沖縄の大学が長崎の対馬でカワウソを撮影することができたのでしょう。

 「もともとツシマヤマネコの調査用に自動撮影カメラを設置していたところ、2月にカワウソが撮影されたのです。対馬で20年調査をしていましたが初めての出来事でした」

 カメラはヤマネコの主な生息地である山林などに常時20〜30台設置しているそう。海岸や川沿いにすむカワウソの生息環境とは異なる場所で、しかも、回収予定日の朝に撮影されたという、奇跡的な映像だったようです。

 日本では絶滅したはずのカワウソの映像を見たときの反応は?

 「予期していなかったのでびっくりしました。カメラの回収に行ったメンバーの中西希さんが画像を送ってきて、2人で『えーっ!?』と驚いていました」

 すぐにカワウソと分かったのですか?

 「付け根の太い尾や平たい頭など、このフォルムはほかの動物ではありえません」と力説する伊澤先生。ところでカワウソとはどんな生き物なのでしょう?

 「イタチ科の哺乳類で、頭の先から尾の先端まで約1メートル、体重は4〜9キロ(ユーラシアカワウソ)あります。魚やカニ、エビを主に捕食し、1日に体重ぐらいの量を食べます」

 かなり食いしん坊ですね! 今回撮影されたのはニホンカワウソなのでしょうか?

 「環境省が現地でふんを採取し、DNA解析した結果、カワウソと断定されましたが、ふんは状態が悪くどの種類かがはっきりしていません。2個体以上いる可能性もあります。1匹は雄ですが、それ以外の性別は不明です」

 ニホンカワウソの生き残りという説以外に、韓国などからユーラシアカワウソが泳いできたか人為的に持ち込まれた可能性も考えられるそうです。韓国から対馬までは50キロ。韓国では30キロ離れた島まで泳いだ事例もあり、海流に乗ることができれば流れ着いたことも否定できないということです。

 また、ニホンカワウソが分類学的にはっきりしていないという事情もあるそうです。「日本では、日本固有種かユーラシア大陸にすむユーラシアカワウソの亜種とされていますが、国際的な機関「国際自然保護連合(IUCN)」はニホンカワウソという種は認めておらず、ユーラシアカワウソと同種としています」

 日本とは見解が違うとは、今後混乱しそうですね。

 「おまけに対馬を含めて九州では1つも標本が残っていません。DNA解析技術が発達する前に絶滅してしまったため、ふんからDNAを抽出しても絶滅前のものとは比較ができません。私たちが期待するのは、対馬で昔のカワウソの毛皮を持っている人が見つかること。そうすればDNAを取ることができます」

環境見直すきっかけに

 もともと明治時代まで日本全土に広く生息していたというニホンカワウソですが、なぜ絶滅してしまったのでしょうか?

 「日本国内では護岸工事などによる生息環境の悪化のほか、毛皮や漢方薬用に乱獲したり、魚などを食べるので漁業の害獣として駆除され激減しました。

 私たちとしては、これを機に河川環境を見直してほしいと思っています。また、絶滅しそうな動物たちは沖縄だけでも数多くいいます。やんばる固有種の『オキナワトゲネズミ』や『ヤンバルテナガコガネ』、石垣島だけに生息するセミ『イシガキニイニイ』なども危機的状況です」

 カワウソが暮らせる環境、そして生態系を守り抜くためにも、私たち一人一人が環境に目を向けて暮らしていくことが大切ですね。自然の大切さを改めて考える貴重な時間を過ごした調査員でした。



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カワウソ発見の教授を直撃
伊澤雅子教授
カワウソ発見の教授を直撃
長崎県対馬で2月に撮影されたカワウソ(提供:琉球大学)
カワウソ発見の教授を直撃
木に固定された調査用のカメラ。設置場所の詳細は環境への影響を考慮して非公表
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