「島ネタCHOSA班」2017年10月05日[No.1693]号
友人が子どもの保育園で「魚の格好をしたヒーロー」を目撃したそうです。何者なのか調査をお願いします。魚嫌いの息子に会わせてみたいのです。
(糸満市 大好物はミーバイさん)
三大高級魚、ヒーローに変身!?
質問者の情報を元に調べたところ、どうやら「お魚戦隊デーラカージャー」のことらしい……。ということでその生みの親、マルカ水産・上原一心(かずみ)さんに会ってきました。
那覇の泊漁港「泊いゆまち」内にあるマルカ水産は、上原さんのおばあちゃんが創業した魚屋さん。白身魚と小魚を中心にお値段手頃な庶民的な魚から高級魚まで、たくさんの種類が店頭に並んでいます。
「職業は鮮魚仲買人です。毎朝5時にセリが始まり、仕入れた魚を総菜屋や居酒屋などのお得意さまに配達。その後は店舗で接客しています」と笑顔の上原さん。店先には「お魚戦隊デーラカージャー」のTシャツがぶら下がっていました。さて、本題について突っ込んでみましょう。
魚嫌いな子が食べた!
上原さん、お魚戦隊デーラカージャーってなんですか?
「赤まちレッド、赤仁ブラック、まくぶブルーがメンバーのお魚戦隊です。高価という意味の方言『デーダカー』と戦隊ヒーローの『○○○ジャー』を組み合わせて、言いやすい名前にしました。保育園を訪問したり、イベントの舞台に立ったりしてお魚クイズをしているんですよ」
2015年に誕生したというこのお魚戦隊。子どものころから漫画を描くのが好きだったという上原さんがキャラクターにしようと思い付き、描いていくうちに完成したとのこと。ベースになったのは沖縄の三大高級魚、アカマチ・アカジンミーバイ・マクブです。魚の名前や特徴など知らない人が多いので、親しみを持ってもらうためにキャラクター化したそうです。
上原さんは特製グッズも作っていますが、その中には実物の魚の写真が入ったキャラクター・カードがあり、説明や調理例が書かれていて、魚の知識が薄い調査員も楽しく学ぶことができました。他にもバッグなど実用的なグッズがあり、何と変身用の衣装や着ぐるみもオーダーメードしました。
「自己流で描くイラストなのでプロの方に笑われるかもしれませんが、仕事として魚に関わっている自分なりの立場や視点でキャラクターにしたのです。お魚戦隊が目の前に現れると、子どもたちが喜んでくれますよ。クイズを出すと答えてくれて記念撮影をお願いされます。給食の魚を食べるようになったとお母さんや先生から報告があると、何よりうれしいですね」と上原さん。美しい海が身近にありたくさんの魚が泳いでいる沖縄の環境を意識してほしい、魚に興味を持つ子どもが増えてほしいという願いをこめて活動を続けています。
夢はアニメ化!
料理が得意だという上原さんは、魚料理を紹介するテレビ番組にも出演しているとのこと。
「スーパーで買った切り身を焼くだけでも立派な魚料理です。焼く前に塩とコショウを振り、うまみを閉じ込めるために小麦粉をつけましょう。ポイントはソース。缶詰のホワイトソースにコンソメや調味料を入れて味付けすれば、オリジナルソースの出来上がり。バターを溶かししょうゆとニンニクを加えたら和風ソースになりますし、魚の種類と味を変えるとアレンジできます!」
さすがに説明上手な上原さん。家庭ですぐにできる魚料理を、広めていきたいそうです。
上原さんの夢は、デーラカージャーがもっと有名になり将来的にアニメ作品になること。
「県民のみなさんに島魚を知っていただきたいんです。見て楽しめ食べておいしい魚には不思議な生態もあり、子どもも大人も興味が持てるはず。地域によって好まれる魚が違うことなども、調べると面白いですよ。本職の鮮魚仲買人をしっかり務め、デーラカージャー活動もがんばります!」
今回の調査をきっかけに、魚のことをもっと勉強したいと思った調査員でした。
問い合わせは「マルカ水産」まで
☎098(862)5748