「島ネタCHOSA班」2018年04月12日[No.1720]号
みなさんご存知の「ブーメラン」ですが、沖縄県内での競技人口がなんと1人だそうです。そしてその1人が私の知り合いです。どこにそんなに夢中になるのか聞きにくいので代わりに聞いてほしいです。
(うるま市・30代女性 うるうるまるまるさん)
県内唯一のブーメラン競技者!?
これはグッときます! 県内唯一という競技者に、己の中で燃えたぎるブーメランへの情熱を熱く語ってもらいましょう!
科学的で奥深い
約束の時刻に待ち合わせ場所である沖縄市の海邦公園に出向くと、すでに「気持ちいい〜!」という声を出してブーメランを投げている方が。この人物こそ、県内唯一のブーメラン競技者の呉屋博典さん。県内にライバルはいないのかと日本ブーメラン協会に問い合わせたところ、自分1人しかいないことに気付いてしまったそうです。
呉屋さんは、普段は沖縄こどもの国に勤務。のめり込むきっかけは、10年前に園の科学プログラムでブーメラン作りをしたこと。ブーメランの幅や長さを1㍉㍍ずつ調整し、何百本と投げてはデータを取る試行錯誤の毎日だったとか。
しかし、県内でライバルもいない唯一の競技者だというのに、そのモチベーションはどこから?
「そうですね、科学的なのに芸術的、クリエイティブで奥深い。こんなに楽しいものはないですよ。50㍍くらい遠くに投げたものがですね、戻って来るんですよ。これはヤバいでしょう(笑)」
その探求心&向上心から、現日本代表の武富治樹選手と本田健嗣選手を訪ねて、教えを乞う熱の入りよう。
「もちろん沖縄では無敵ですよ。というか本当に敵がいないです。敵欲しいです」
来たれ、ライバル!
一口にブーメランと言っても、正確さ・飛距離・キャッチの華麗さ・回数や早さを競うものなど、種目はさまざま。そのため現在、呉屋さんが保有しているブーメランは100枚以上。形状や素材によって軌道やスピードが変わるのだそう。練習の際には、旅行用のボストンバッグに詰めて持ち運びます。
「飛距離を出したい時は翼の先端を重くします。速く戻したい時は、翼が前に傾いている前進翼を使い、ゆっくり戻したい時は後ろに傾いている後退翼にします。さらに、風など当日のコンディションを読みながら、テープでフラップを付けたりゴムを巻いて抵抗力を高めたり、チューニングするんですよね。これがバチーンと思い通りにハマった時はもう気持ち良いです!」
投げ方にもセオリーがあるらしく、正面から向かい風を浴びる位置から右斜め45度に向かって、腕を縦に振り下ろすように投げるとのこと。
調査員も投げさせてもらったのですが、これが意外と難しい。風にあおられてブーメランを紛失してしまいました(ごめんなさい…)。
「大丈夫ですよ、家にブーメランの型があるのでこれくらいなら30分もあればまた作れます」。なんと呉屋さん、型まで持っていました!
「実はまだ大会に出たことないんですよね。この春に初の県外遠征に出ます。デビュー戦となる今年の春季大会には、40歳にしてルーキー・オブ・ザ・イヤー狙っています! 自信のほどですか? いけると思いますよ。だってこっちは10年間この楽しさを忘れられずに投げ続けているんですから」
呉屋さんは、沖縄こどもの国のイベントで年に数回ブーメランのワークショップを開催しているそうなので、読者のみなさんも参加してみてはいかがでしょうか。
「ブーメランは科学を感じることができますし、親子で楽しめますよ。来たれ、ライバル!」
日本ブーメラン協会
http://www.jba-hp.jp/rule.htm