「島ネタCHOSA班」2019年08月29日[No.1791]号
那覇市内にて鉄道マニアの一種である「乗り鉄」の方がトークショーをするそうです。鉄道とはあまり縁が無い沖縄。どんな内容が話されるのでしょう。県内にも鉄道マニアの人っているのでしょうか。その様子を調査してみてください。
(那覇市 世界の車窓から眺めたい)
沖縄在住の「乗り鉄」!?
「乗り鉄」ですか。日本各地を旅して、電車に乗ることそのものを楽しむタイプの鉄道マニアですね。依頼者さんも言う通り、沖縄ではあまり聞き慣れない趣味です。乗り鉄の人、ぜひ会ってみたい!
少し調べてみると、8月12日に那覇市牧志のブラジル料理店Punga Ponga(プンガポンガ)にてそれらしきイベントが開催されるという情報を得ました。イベント名はずばり『乗り鉄魂』。なんだか濃い内容が語られそうな雰囲気です。
全国完全乗車の強者
イベント当日、調査員はわくわくしながら会場を訪れました。この日のプレゼンターは乗り鉄歴40年以上になるという佐藤尚樹さん。2012年に日本全国の全路線・全区間をくまなく乗車するという、「完全乗車」の偉業を達成した人物です。達成した路線にはJR (旧・国鉄)の運営する鉄道はもちろん、各地にある私鉄、ローカル鉄道、地下鉄、路面電車、モノレールも含みます。
加えて、佐藤さんの全国完全乗車の最後の路線となったのは、沖縄都市モノレールの「ゆいレール」。記録達成の日には、那覇空港駅から首里駅の全区間を乗り切った佐藤さんを沖縄都市モノレール社の関係者らが出迎えてお祝い。この様子は、新聞やテレビでも報道されました。
記録達成を機に、佐藤さんは当時住んでいた大阪から沖縄に移住。全国完全乗車から現在に至る約7年間も、新しい路線の開設・延伸などの情報を得れば各地へ赴き、乗車することで記録を「防衛」し続けています。この頃は、今秋に予定されるゆいレールの延伸に向け、記録防衛の準備をしているとのこと(笑)。
沖縄に鉄道博物館を
この日のイベントは、鉄道に詳しくない人、普段親しむ機会の少ない沖縄の人々にもその魅力を発信しようというもの。
佐藤さんが全国で撮影した電車の写真や購入した駅弁のパッケージなどを見ながらにぎやかにプログラムが進行します。会場には、鉄道の魅力を知ってみたくて来たというお客さんが多かったようですが、少数ながら県内在住の鉄道マニアとおぼしき方も。
浦添市から参加したという男性は、自らがこれまでに乗車した各地の路線を記録しているノートを持参。「学生時代や旅行の時に乗った記録をまとめています」と楽しげに話します。佐藤さんの話にも補足を加え、イベントを盛り上げていました。電車や線路、運行の仕組みなどに関しては専門的な知識も多く飛び交いましたが、佐藤さん含め鉄道マニアの皆さんが丁寧にそして生き生きとした表情で説明してくれたので、調査員はじめ一般の来場者も興味を持って参加することができました。
ところで、佐藤さんが沖縄に移住した理由は何だったのでしょう。鉄道のために全国を渡り歩く生活には、沖縄は不便な立地だと思うのですが…。最後に尋ねてみると「将来は沖縄で鉄道博物館を開きたいと思っています!」との答えが返ってきました。
中学生時代に鉄道の魅力にのめり込み、乗り鉄として40年以上活動してきた佐藤さん。これまでに集めてきた豊富な資料と、自身が得た専門的知識を紹介できる博物館を沖縄で開く計画を構想しているそうです。将来は、県内に全国から鉄道マニアが集まる場所ができるかもしれませんね。