「島ネタCHOSA班」2019年10月25日[No.1799]号
ユーチューブで「沖縄県民になりたかった人の歌」という、ミュージックビデオ仕立ての動画が話題になっていますね。自分も見てファンになったので、制作者について詳しく教えてください。
(那覇市 MCサキハマさん)
「沖縄県民になりたかった人の歌」って!?
ほう、面白そうな動画ですね。さっそくインターネットで「沖縄県民になりたかった人の歌」と検索し、動画をチェックしてみましょう。
あるあるネタをラップで
沖縄には本当にドングリがあるんですね。
動画は「あー、ウチナーンチュに生まれたかった」と叫ぶ若者の姿からスタート。すると、怪しい男が登場。「寝る前にさんぴん茶をおデコに3回塗るわけよ。それで眠ってごらん」と若者に勧めます。
半信半疑ながらも試してみると、なんと若者は目が覚めたら毛深く! ここから曲がスタート。R&Bの軽快なリズムに乗せて、「あぎじゃびょい! はい!」「毛の量しに多い はーなんねこれ!?」といった歌詞がラップ調で歌われていきます。
歌詞は「鳴るLINEの電話 目に入る名前は平良や比嘉、金城や比嘉、大城や比嘉、宮城や比嘉、新垣や比嘉、玉城や比嘉…」「オバーのカメーカメーは最強過ぎるんだ」など、県民なら誰もがうなずく沖縄あるあるネタ満載。
しかしコミカルな歌詞に対して、ボーカルと曲調は非常にクール。そのギャップが、なんともいえない魅力となっています。
同級生仲間で発信
こちらの動画を制作したのは、「ワシミルク委員会」というグループ。調査員は、ネット経由でコンタクトを取ることに成功しました。
直接お会いできたのは、比嘉吏貴(りき)さんと久髙紘大(こうだい)さんの2人。
「ワシミルク委員会は、中学校の同級生を中心に結成しました」と比嘉さん。きっかけとなったのは、その中の一人、上原BABABAINこと上原光さんの存在。
現在は県外に暮らす上原さんにメールでお話を伺ったところ、上原さんは高校3年から大学時代、SNSで動画の配信を行っていたそう。上原さんが進学した大学は県外。県外で暮らしたことで、沖縄の素晴らしさや独自の文化に気付いたといいます。大学卒業後、一度沖縄に戻ってきた時に、「僕らにしか出来ないスタイルで沖縄を発信していきたい」という思いから同級生たち数人を集め、ワシミルク委員会としての本格的な活動を始め、皆で企画を考えて動画を制作しているのだとか。
数年前にユーチューブのチャンネルを開設し、沖縄ネタの動画をアップロードしてきましたが、最もヒットしたのが「沖縄県民になりたかった人の歌」。曲と歌をMr green teaこと、うぉーりー アンドリュー ルークさん、歌詞を上原さんが担当。「曲は東京、沖縄間でテレビ電話などを通じて作成しました」と上原さんは話します。なんと、曲の制作中はルークさんと上原さんは一度も生身で会わなかったそう。ネット時代ならではのエピソードです。
動画は、メンバーの日程を合わせ、北谷・残波岬・国際通りを舞台に撮影。メンバーは社会人・学生としてそれぞれ忙しく、撮影は「皆が集まるいい場になっている」と久髙さんは笑います。
「動画の反響はかなりありました(笑)」と上原さん。県民からは「沖縄県民という誇りを持って頑張れる気になった」、県外の人からは「沖縄に住みたくなった」というコメントが寄せられたそう。
「動画編集は難しいですが、いろいろな人に見ていただき、『面白かった!』と言われるとやりがいを感じます。仲間たちと活動できていること自体に感謝をしていて、なによりも楽しいという気持ちが大きいですね」(上原さん)
仲間とのつながりを大切にしながら、SNS時代ならではの沖縄の魅力を発信するワシミルク委員会。今後の動画にも期待です!