「島ネタCHOSA班」2019年10月31日[No.1800]号
結納品の水引を使った、装飾品があると聞きました。いったいどんなものなのか教えてください。
(宜野湾市 ティファニー)
結納品の水引を装飾品に!?
結納品の水引で装飾品を作るのですか? 見たこともありません。聞くところによると、与那原町の「神谷茶舗」という店で、その装飾サービスをしているとのこと。ん? お茶屋さん? なんだかピンときませんが、調査開始です!
縁起物がかわいそう
神谷茶舗は与那原町与那原の親川通りにありました。ドアを開けると、ガラスケースがあり、中にキラキラしたものが見えます。これはもしや?
「こちらは『水引格子飾り』です」と話すのは社長の神谷和良さん。きれいですね〜。金、銀、赤、黄、緑、ピンクなどカラフルな鶴や亀などの形をした水引が小さな障子のようなものに取り付けられています。なぜ、このような飾りを?
「うちは先代がお茶と乾物の専門店として1985年に創業しました。かつお節やするめ、昆布などの乾物は結納にも使われますよね。それで結納品も扱うようになりました。結納品は、お母さまが物置などにしまい込んでいるケースがよくあります。簡単に捨てられるようなものでもないし、かといって箱に入ったままずっと寝かせているのは縁起物としてはかわいそうだなということで、水引の装飾サービスを始めました」
なるほど、そうだったんですね。このサービスは2005年から始め、現在、月に2〜3件の依頼があるそうです。
「結納を終えた息子さんと一緒に来店したお母さまが、『旦那からもらった水引も一緒に飾りにしてください』と言われたことがあります。三姉妹の水引を1つのケースにまとめて飾りたいとお願いされたこともありますよ」と神谷さん。親子や姉妹でお願いする人もいるんですね。
親子3人の結納記念
調査員は親子3人の水引飾りを作ったという宮里利恵子さんのお宅におじゃましました。
「私の長男が結婚するときに、お嫁さんのお母さんが神谷さんと知り合いだったので、水引飾りのことを聞きました。私は娘2人の結納品を家に置いていたし、私の結納品も実家の私の部屋だった場所に埃をかぶったまま置かれていました。それで神谷さんのところへ私たちの結納品を持ち込んでお願いしたんです」と利恵子さん。その水引がすてきな結納記念品として生まれ変わったんですね! ちなみに利恵子さんの結納品は36年前のもの。こんなに長い間、よく取っておきましたね。
「おじい(夫・重善さん)が置いときなさいと言ったから」と話すのは利恵子さんの母・安里政子さん。利恵子さんは兄が2人いる末っ子で、両親にとっては一人娘。利恵子さんが結婚するまで結納品をじっくり見たこともない重善さんは、きれいだから記念に保管しておきたかったようです。
現在、利恵子さん夫婦と政子さんは新しい家に引っ越し隣同士に住んでいます。実は引っ越しのときに結納品を処分しようかという話もあったそうですが実家には長女が住んでいるので、とりあえずそのまま置いておくことにしたそうです。処分しなくてよかったですね〜。
重善さんは他界し、今年一年忌を迎えるとのこと。重善さんの「置いときなさい」の一言がなかったら「親子3人の水引飾りはなかった」と、利恵子さんと政子さんは感慨深い表情で口をそろえます。
政子さんは利恵子さんの水引飾りを見て「結納のときを思い出すさ〜」と振り返り、利恵子さんも「みんなあのときはパタパタしていたね。父も張り切っていたはずよ」と笑います。
水引飾りは当時のことを思いださせてくれる、家族の宝物になっているようです。