「島ネタCHOSA班」2021年07月08日[No.1887]号
知人が勤務する県内企業で、昨年度、男性社員の育休取得率75㌫を達成したと聞きました。取得した社員の方の感想など聞いてみたいです!
(那覇市 アーリーバードさん)
男性育休取得率75㌫の県内企業!?
男性の育休の取得率が75㌫!?
全国平均では2019年度で取得率7・48㌫。沖縄では地方公務員男性の取得率が19年度に全国3位を記録していますが、それでも12・1㌫。比べてみると、75㌫というのがいかにすごい数値なのか分かりますね。政府は、25年に30㌫まで引き上げる目標を掲げていますが、それをはるかに超えています。
働き方改革の一環
その県内企業は、港湾物流サービスを手掛ける那覇市港町の「沖縄荷役サービス株式会社」。6月に代表取締役社長に就任した阿野一郎さんは「弊社がかねてより進めていた働き方改革の一環として、昨年度に男性の育休取得を会社として奨励しました」と話します。
男性の育休取得の取り組みは以前からされていたのですか?
「いえ、実はこれまで、女性の育休はほぼ100㌫だったのですが、男性はゼロという状態でした」
えっ、そうなんですか。ということは0㌫から一気に75㌫に!?
「はい。昨年度、96人の社員のうち、たまたま8人の男性社員の出産が重なり、そのうちの6人が12〜18日の育休を取得しました」
初めての男性の育休取得に混乱はなかったですか?
「社員に対し、育休を取得する意義や『男のくせに育休なんて』という意識は持たないよう説明し、納得してもらいました。混乱もなくスムーズに実施できたと思います」
会社が主導することで成功したのですね。
妻の大変さ理解
では、実際に育休を取得した社員の方々に感想を聞いてみましょう。
まずは、子どもとの触れ合いが増えたという声。「家事をカバーできたので、助かったと嫁も言ってくれています。子どもとの触れ合いが増えました」(現業部 米盛重久さん)。
次に、育児・家事を自分でやってみて気付きが得られたという意見。「育児が大変だとは聞いていたが、奥さんがどれだけ大変か実感できてよかった」(総務部 平良剛さん)、「家事をこれまでやっていなかったので、やってみると大変なんだなだと分かりました」(現業部 喜舎場翔太さん)。
そのほか、「初めての子どもで、何事も初めての体験でしたが、悩みながらも妻と2人で子どもの世話ができたのでよかったです」(総務部 大城大地さん)、「この子が大きくなった時、お父さんが2週間面倒を見たんだよ、と酒を飲みながら話したい」(営業部 角松誠さん)といった感想もありました。
一方で、育休の取得については不安もあったようです。同社1人目の取得者となった営業部の酒井博登さんは「管理職という立場で休んでいいのか悩みましたが、きっかけになればいいと思い切って取得しました」、総務部の平良さんは「復帰した時に大丈夫かなと心配はありました。でも、事前に同僚に引き継いでいたので問題ありませんでしたよ」と振り返りました。
今回の育休実施で、課題も見えてきたといいます。それは、女性が1〜2年の育休の取得をするのに対し、2週間程度の取得にとどまること。育休中も給料の約6割の給付金が支給されますが、収入減となるのは事実。長期間の収入減は家計に影響を与えるため、男性は長期の育休が取りにくいといいます。今後、政府の給付金等がより充実すればもっと長期で取りやすくなるのでは、と宇江城進常務は話します。
沖縄荷役サービスの例に続き、男性の育休取得に取り組む県内企業が増えることを願う調査員でした!