沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1998]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2023年08月24日[No.1998]号



 最近、周囲で八重瀬町の森から海まで遊歩道を歩いたという話を聞きます。 何がどうなっているか、詳しく調べてくれませんか?

(はっちゃん・南城市70代)

「ホロホローの森」歩いてみたら…

   また面白い調査依頼が飛び 込んで来ましたね。

  最初にヒントを探るべく向 かったのは、八重瀬町の観光 拠点施設である「南の駅 やえ せ」。ゆっくり館内の情報を見 ていくと、質問にあった場所 は「ホロホローの森」という名 前らしいことが判明。しかも、 南の駅から近そう。

子どもも大人も楽しめる

 探してみると「去年の1月 に、ホロホローの森に家族で 行きましたよ」という人がい たので、話を聞いてみました。

 毎週末のように子どもとト レッキングやキャンプなどに 出かけているという川口真美 さん。「SNSだったかな、誰 かの情報を見てホロホローの 森の存在 を知りま した。名 前は可愛 いけど、 ガッツリ 山歩きしましたね(笑)。最後 は海に出ましたが、1月だっ たので寒くて、すぐに引き返 しました。うちの子ども(桜さ ん)は当時5歳ですが、楽しか ったようで、1回もぐずるこ となく、抱っこも休憩もなく、 元気に往復しましたよ。坂道 がキツイところは、子どもと、 しりとりしたり歌ったり。ウ チの主人も、山道を先導して くれて助かりました」と笑顔。 桜さんも「楽しかった〜」と照 れます。  

草花木に生命が舞う

 もう少し情報を掘り下げる べく、今度は八重瀬町役場に 電話。案内された八重瀬町観 光物産協会に問い合わせてみ ると、「はい。たしかに町内で ホロホローの森のまちあるき をやっていますよ」との回答。  「八重瀬町ガイドの会」事務 局でガイドの嘉数千秋さんに よれば『森から海へ ホロホロ ーの森の植物』というガイド ツアーを実施しているとのこ と。全7コースのガイドツア ーのうち、ホロホローの森は 特に人気だそうで、ツアーの 日程を増やしたと話します。 そんなに人気なコースなら、 余計に見てみたい!

 後日―。嘉数さんの案内で 「南の駅やえせ」から正面に見 えるこんもりとした大きな森 に向かうこと数分。森の入り 口には「探勝歩道 572・6 m」とあります。これが今回の 質問者さんがいう「遊歩道」で すね!

 森では、森の谷の木々の間 から木漏れ日が差し込み、た くさんのチョウが舞います。 目の前には大きなクワズイモ の葉。「この葉は子どもたちに よく『食べられるの?』と聞か れますが、残念ながら食べら れません(笑)。チョウは、太陽 の光が差し込む場所によく集 まります。近くにチョウが好 きな木があるので、いっぱい いますね。今の時期は、色んな ところでオオジョロウグモを 見るかも」。

 いつもは、家にクモがいた らギャーと逃げる調査員。ク モの巣の真ん中を陣取る大き なオオジョロウグモをたくさ ん見かけましたが、そのたび にまじまじと観察。自然の中 で見る生き物は美しく、間近 に飛ぶオオゴマダラにも感動。

 「オオゴマダラは優雅にゆっ くり飛びますよね。でも毒を 持っているので、敵から身を 守って優雅に飛べている側面 があります」

 ホロホローの森の名前の由 来となっている「ヤブニッケ イ(方言名:ホロホロー)」や、 ガジュマルトンネル、国指定 天然記念物の「オカヤドカリ」 と「ムラサキオカヤドカリ」。 ありとあらゆる生命が共存す る姿は神秘的で、葉に集合体 でくっつく「ナナホシキンカ メムシ」と生の「キクラゲ」を 見かけた調査員は大興奮。す っかり森に癒やされ、ゴール 地点の具志頭海岸でめいいっ ぱい息を吸い、元気満点に帰 途についたのでした。



〈取材協力〉
・「八重瀬町ガイドの会」
☎090‐8351‐8870
※台風の影響でガイドツアーは順次再開予定
・「八重瀬町観光拠点施設 南の駅やえせ」
八重瀬町字具志頭659番地 
☎098‐851‐3824

このエントリーをはてなブックマークに追加


「ホロホローの森」歩いてみたら…
ホロホローの森のみどころの一つ、カジュマルトンネル
「ホロホローの森」歩いてみたら…
川口真美さんと桜さん
「ホロホローの森」歩いてみたら…
ホロホローの森の名前の由来 となった木「ヤブニッケイ(方 言名:ホロホロー)」
「ホロホローの森」歩いてみたら…
嘉数千秋さん
「ホロホローの森」歩いてみたら…
ナナホシキンカメムシ
「ホロホローの森」歩いてみたら…
オオゴマダラ
>> [No.1998]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>