「島ネタCHOSA班」2023年08月31日[No.1999]号
読谷村に「沖縄草玩具館」という個人で運営しているクラフト館があると聞 きました。草で編んだ玩具などがたくさん展示してあり、作り方も教えてくれる そうです。ぜひ調べてください。
(浦添市 ガング・コング)
見て楽しむ「沖縄草玩具館」!?
以前草玩具作りを楽しんだ ことがある調査員としては、 マニアックなトピックに興味 津々です。さっそく調査を開 始しましょう!
もらうのは時間だけ
読谷村比謝矼にある沖縄草 玩具館に着くと、館長の新崎 宏さんが迎えてくれました。 一見普通の一軒家ですが、中 に入ると玄関から草玩具であ ふれかえっています。
置いてあるのは、アダンや 麦わら、ソテツなどで作られ た草玩具や装飾品など。新崎 さん自身が製作したものの他、 国内外から収集した作品が展 示されています。ヘビやバッ タ、カマキリ、ムカデ、旗頭、 ススキのほうき、かんざし、麦 わら帽に使用する麦わらを編 んだ「麦稈真田(ばっかんさな だ)」などがあり、繊細に作ら れている玩具に見入ってしま います。
「見て見て」と目を輝かせて 玩具のことや、地域の風習な どを解説してくれる新崎さん。 草玩具愛がひしひしと伝わっ てきます。新崎さんは、世界中 の草編みを勉強して技術を習 得したそうです。県内各地に 出向き特色ある沖縄の編み方 を習ったり、中国や日本各地 で作り手たちと交流を続けて きたりしました。
同館は2009年にオープ ン。高校の教師だった新崎さ んが退職後に開館した私設の クラフト館で、リニューアル を重ねて今に至るそうです。 ここは博物館ではないという 新崎さん。「見て作って遊ぶ場 所で、頂くのは時間だけ」と話 します。遊ぶものに価値は付 けたくないという思いから、 来館者に対しては入館料、受 講料、材料費はなしで運 営しています。
作って遊ぶ体験も
新崎さんは作り方など を記録に残すため『手遊 び 草編み玩具』(第1 巻 〜3巻)、同シリーズ別巻 の『草ひも』を自費出版。 第5回自費出版文化賞で は、地域文化部門賞を受 賞しました。現在は第4 巻を執筆中で「生活の知 恵である『ジンブン』を 沖縄から他県にどんどん 紹介したい」と願います。
新崎さんは普及活動に も積極的に取り組んでい ます。公民館や老人福祉 センターなどで、さまざまな 世代の人たちに草玩具の楽し さを「全力投球」で教えていま す。東日本大震災で被災した 岩手県内の小学校を訪れ、ワ ークショップを開催したこと も。草編み玩具を作ってゲー ム遊びを行い「大フィーバー」 だったそうです。
一通り展示を見て回った後 は、作って遊ぶ時間です。「草 の遊びは季節を待つ喜びがあ る」という新崎さん。使う材料 となる県産の植物は季節によ り変わります。今回はアダン 葉でアダン笛を作って楽しん だり、カジマヤー(風車)作 りをして回せるようにする仕 組みを学んだり、魚を空で泳 がしてみたり、時間の許す限 り遊んだ調査員。沖縄の伝統 の玩具作りを通して昔の風習 にも触れることができまし た。皆さんも、たっぷり時間 をつくって草編み玩具の世界 を体感しに行ってみてはいか がでしょう。
沖縄草玩具館
読谷村比謝矼78
☎ 090‐9788‐1831
入館無料※来館の際は要予約