「島ネタCHOSA班」2023年11月02日[No.2008]号
沖縄市に「諸見民芸館」という私設の博物館があることを最近知りました。 50年以上の歴史があり、かなりの展示数を誇るそうです。どんな収蔵品があ るのか興味があります。ぜひ調べてください。
(那覇市 オッサン・ホーク)
民具で沖縄の暮らし伝える私設博物館!?
そんな歴史のある博物館 があるとは驚きです。さっそ く調査を開始しましょう。
収集数は5万点以上
沖縄市諸見里の住宅街に ある諸見民芸館に到着する と、館長の伊禮信吉さんが出 迎えてくれました。まずは中 を見せてもらうことに。入り 口の扉を開けると、別世界が 広がります。床面積180平 方㍍の3階建ての建物全体 を使い、古陶器、民具、貨幣、 農具、生活雑貨、古銭、戦争 遺品、琉球漆器、玩具、看板 など、かつて使われていた 品々がテーマごとに展示さ れています。収蔵数を聞くと 「倉庫にあるものも含めて約 5万点あり、 80 ㌫は沖縄関係 が占めています」と伊禮さん。 研究者や学生が訪れるという のも納得です。
民芸館が開館したのは19 71年。銭湯経営や土木作業 用の機材を所有する実業家だ った伊禮さんの父・憲一さん (故人)が私財を投じて造り ました。民具に関心があった 憲一さんは、実家にあったもの から集め始め、親戚や知人か らも譲り受けるなどして収集 してきたといいます。 10 年ほ どでコレクションは約150 0点に膨れ上がり、博物館を 建設することに。焼き物など の破片が埋め込まれた壁や赤 い瓦屋根の建物は開館当時か なり目立っていたといいます。
生活用具を後世に
父親の死後、 88 年に館長を 継いだ伊禮さんは「父は時代 が変化していく中、民具がな くなってしまうのではないか という危機感があり、どうに か残したいという気持ちがあ ったようです」と振り返りま す。開館当時 23 歳だった伊禮 さんも父親と同じく民具が好 きで、後世に伝えたいという 思いを抱いていました。開館 後は収集活動に励んだとい います。「民芸館の建物が大 き過ぎて1500点ではま だ物足りない感じだったの で、弟と県内の各地に行きま した。最初は北部を中心に何 年かかけていろんな集落を 訪ねて、昔の民具を譲っても らい、ある程度集めた後は離 島も全部回りました」。さら にコレクションは増え、 20 年 程で館内を埋め尽くすまで になっていったそうです。
同館では「琉球・沖縄の古 地図展」「金工品関係コレク ション展」「電信・電話の変 遷史展」などの企画展も開催 し、未公開品も展示してきま した。2013年には750 点の焼き物の写真を紹介し た「琉球の古陶集」も発刊。 文化財級の古陶器などもあ り、県内の博物館などにコレ クションの貸し出しも数多 く行ってきたそうです。 沖縄の貴重な資料の多さ に圧倒された調査員。「 50 年 集めてきて、他の博物館にな いものもたくさんあるので、 そこが見せ場ですね。民俗の 歴史を知りたくて、本物の資 料を見たいなら、ある程度の ものはあるはず」と伊禮さん は話します。普段なかなか見 ることのできない沖縄の歴 史文化が詰まった民芸館。貴 重な先人の暮らしを垣間見 ることができる空間にタイ ムスリップしてみませんか。
諸見民芸館
沖縄市諸見里3-11-10
TEL 090-9789-9289
開館時間:10時~17時
休館日:月曜
入館料:大人300円、中・高校生200円、小学生100円
※不在の場合もあるため、来館の際は事前連絡を