「島ネタCHOSA班」2024年03月07日[No.2026]号
現代アート好きな知人が「世界一小さな現代美術館」に行き、有意義 な時間を過ごしたそうです。どんなところなのかもっと知りたいです。 ぜひ調べてください。
(浦添市 モマリザ)
糸満に「世界一小さな現代美術館」⁉
美術館の名称は「キャンプ タルガニー アーティスティック ファーム」。調査員も気になっ ていた場所です! さっそく調 査開始です。
国内外の作品を展示
糸満市米須の住宅地にあ る美術館の門を開けると館主 の大田和人さん( 77 )と愛犬 のクロチェ( 18 )が出迎えてく れました。500坪の敷地内 にある木造建築の母屋とコン クリートの展示室、渡り廊下、 芝生の庭園を使ってアートが 展示されています。彫刻家の 丸山映さんや上條文穂さん、 映画監督の高嶺剛さん、京都 在住で米国出身の木版画家の リチャード・スタイナーさん、 アメリカを代表する陶芸家 で、現代陶芸の”クイーン“と も称される県系2世のトシコ・ タカエズさん、県出身の芸術 家・真喜志勉さんなど、約1 50点が並びます。
美術館が開館したのは20 05年。木造建築の母屋は、 叔父から引き継いだ医院の2 階部分を移築したものだそ うです。大学時代に幼なじみ の高嶺剛監督と一緒に映画を 作るなど、もともと映像には 関わりのあった大田さん。那 覇市職員時代、「パレットくも じ」に出向し屋外彫刻展「街 と彫刻展」などに携わるうち に、彫刻などにも造詣が深く なっていったようです。出展作 品などを個人的に買い取った り、作家や美術館関係者と交 流を重ねていったりするうち に、コレクションが増えていき、 ここを美術館にすることにし ました。
反戦の思いを込めた展示室
コンクリート造の展示室は 赤い壁が印象的です。「赤は戦 争犠牲者の血の色。戦争を決 して忘れてはいけない、おろか な戦争は二度とやってはいけ ないという思いを込めた」と 話してくれました。
「居留民・主」である大田 和人さんの名刺には「カジ トゥー・バルトロメオ・タルガ ニー」という名前も併記され ています。熊本出身で小学 5年生から両親の生まれ故 郷の沖縄に家族で引き揚げ てきたという大田さん。「カジ トゥー」は沖縄に来てすぐに できた友だちが「かずと」と 発音できずそう呼んでいたこ とから。「バルトロメオ」はカト リックの修道院で洗礼を受け たときの洗礼名。「タルガニー」 は沖縄芝居の滑稽な登場人 物の名前だそうです。「たま たま地球のここに居留しているから『居留民』」と言う大 田さん。「キャンプ タルガニー」 はタルガニーのキャンプ地なの です。
那覇で暮らす大田さんにと っては隠れ家だといい、気が向 いたら開館しているそう。エア コンや照明なしで作品を見ら れるよう設計者が風通しや 採光の良い造りにしてくれた ため、心地よい空間になってい ます。自然と調和した美術館 で、充実した時を過ごした調 査員。平和であるからこそ芸 術を楽しめることに改めて感 謝しながら帰路についたので した。
キャンプ タルガニー アーティスティック ファーム
糸満市米須304番地
☎090‐5380‐0055(要事前予約)