「島ネタCHOSA班」2024年06月20日[No.2041]号
6月23日は、沖縄県民にとって大切な慰霊の日。今回の島ネタCHOSA班 では、沖縄戦をテーマにした芝居公演「鉄の暴風」を取り上げます。
芝居で伝える沖縄戦、その思いは…
「鉄の暴風」とは、沖縄を 襲った激しい空襲や艦砲射撃 の様子をたとえた言葉。その 言葉をタイトルにした芝居公 演「鉄の暴風」。読谷村「体験 王国むら咲むら」内のククル 奏劇場で、土日に1日2公演 が開催中です。
物語の舞台は読谷村。現代 の高校生・裕樹は、修学旅行 先の沖縄で、沖縄戦が始まる 直前にタイムスリップ。女学生 のハルに助けられ、ハルの母親、 近くに住む兄弟と家族のよう な温かい絆を結びますが、や がて米軍の艦砲射撃が始ま り、裕樹らはチビチリガマへ避 難。そこで痛ましい出来事が …というストーリー。
戦争に向き合う
公演の企画・運営・制作 を手掛けるのは、イベント企 画OZ(オズ)代表の鈴木浩 介さん。
「僕は沖縄出身ですが、親 の転勤で学生の時に県外へ。 沖縄にいずれ戻りたいという 思いと、沖縄のために何かし たいという思いが重なって、芝 居で戦争を伝えていくことが できれば、と思ったのが最初 のきっかけですね」
コロナ禍中の2020年に 公演を企画。市役所などを 回って提案を行う中で、むら 咲むら内の劇場を紹介され、 コロナ禍が明けた昨年の5月 〜7月に第1回、今年の5月 から第2回を開始。そのほか、 不定期で国頭村内の小学校、 東京公演も実施。
登場人物は6人で、配役は 11 人のキャストから日替わり で決められます。キャストには プロの役者もいれば、社会人 も。調査員が観劇した回では、 ガレッジセールの川田広樹さん も舞台に立っていました。
「鈴木さんからオファーがあ って参加しました。今までは 目を背けていたんですが、大 人になってあらためて沖縄の 歴史を知りたくて」と川田さ ん。「劇の内容は、実際にチビ チリガマで起こったことなの で、演じていてへこみますね。 でも終わった時にご年配の方 が『ありがとう』と言ってくだ さるんですよ」
演出と役者を兼任するご とーあきらさんは、名古屋出 身。「この3カ月間、沖 縄に住んで、現地の方 のお話を聞いたり、戦 跡を巡ったりしました。 実際に見ないと表現で きないので」と真剣な思 いを話します。
出演者の思い
他の出演者も、それぞれの 胸中を語ります。
「今の平和な生活が当たり 前のように思えるけど、当た り前じゃないんだよ、というこ とを少しでも受け取ってもら えたら」(山内千草さん)
「芝居がきっかけでチビチリ ガマにも行き、犠牲者のお名 前や年齢を見たら、一人一人の 顔が浮かんできました」(大城 しゅりさん)
「ひいおじいちゃんが戦争 中、こういう中で過ごしたん だな、と」(福原兼寿さん)
「演じてみて初めて、戦争を 体験したおじいやおばあの気 持ちが分かり、新聞の体験者 の記事も読むようになりまし た」(眞榮城玄弥さん)
「この芝居には、すごく苦 しいことだけじゃなく、家族 の温かさやちょっとしたお笑 いもあります。若い人にもぜ ひ見てほしいですね」(髙良知帆さん)
今回の公演は7月7日ま で。読者の皆さんも、ぜひ足 を運んでみてください。
鉄の暴風
場所=体験王国むら咲むらククル奏劇場
曜日・時間=7月7日までの土曜・日曜、11:00・14:00の1日2回公演
料金=大人1800円、中高生1500円、小学生1200円、小学生未満無料。
※別途、むら咲むら入場料がかかります