沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。週刊レキオ



[No.1366]

　プールサイドに響くラテン音楽。インストラクターの動きに合わせて水の中で体を動かす。大きく早く動こうとすればするほど、水の抵抗が邪魔をして汗だくになってしまう。それでも参加者の顔には笑みがこぼれ、曲の最後に「ポーズ！」と声がかかると歓声が上がる。プールサイドに立ち指導する米城梨沙さん（28）が、手ごたえを感じる瞬間だ。

心も体も生き生きと笑顔の輪広げたい

　小学校５年生からバレーボールに打ち込んでいた米城さん。将来も運動に関わる仕事に就きたいと漠然と思っていたという。高校卒業後、スポーツ専門学校に進み、インストラクター学科で学んだ。「那覇ハーリー会場で開催されたOTV杯エアロビクス大会を見たんです。ステージの上で生き生きと踊るジスタスチームの演技を見て、このクラブに入りたいと思いました」。スポーツパレスジスタスのスタッフとなり、実際にレッスンを受ける機会を得て、学校で学んだインストラクターという職業に、改めて興味を持った米城さんは、養成コースを受けて22歳でエアロビクスのインストラクターに、2009年にズンバの認定インストラクターになった。そして今年１月。人気の高いズンバのレッスンを水中で行うアクアズンバという新たな分野に進出することになる。ズンバとは、ラテン系の音楽とダンスを融合させたフィットネスレッスン。スタジオで人気のレッスンがプールに登場したことで、新たなファン層を獲得した。

　「レッスン参加者には音楽が楽しいと評判です。ラテン系の軽快なリズムを聞いていると、自然に体が動くみたいですね。これまでのアクアビクスにはなかった、腰を捻ったり回したりする動きがあって、運動強度が高いのが特徴です。曲によって動きが決まっているので、振り付けを覚えるとより楽しく汗をかけるという声も聞いています。特に、肩だけを激しく動かすシミーという動きは人気があって、フェロモンが出る気がするなんて言う会員さんもいるんですよ（笑）」。

　スタジオレッスンの定番・エアロビクスを水中運動に発展させたアクアビクスのレッスンは通常45分間だが、アクアズンバは30分間。短時間でも運動量が多い。「音楽にあおられて夢中になってしまうようで、私が一生懸命動くと、みなさんの動きもエスカレートしてしまうようです。最近はきつくなりすぎないようにところどころセーブするよう気をつけています」。参加者の笑顔が何よりうれしいと話す米城さん。音楽と振り付けの相乗効果に、浮力や抵抗、水圧に水温といった水中運動独特の作用が加わって、体が引き締まるだけではなく、ストレス解消やリフレッシュ効果を実感する人が多いという。「仕事や家庭で嫌なことがあっても全部忘れて元気になれる、ありがとうと言われると、とてもやりがいを感じて、インストラクターになってよかったと思います。こうした精神的な効果も、運動を日常の習慣にする大きな意味だと思いますから」。将来の目標を聞くと、レッスンを人で溢れさせることという言葉が返ってきた。色々な分野を勉強して、魅力的なレッスンを提供し、スタジオでもプールでもたくさんの人に楽しんで健康になって欲しいという。「自分の親ぐらいの年代の会員さんが、熱心に、生き生きとレッスンを受けている姿を見ると、時々感動して涙が出そうになります」と話す米城さん。運動の素晴らしさを少しでも多くの人に伝えたいという熱意と優しさに溢れたレッスンで、今日も笑顔の輪を広げている。