「表紙」2011年09月08日[No.1380]号
今年結成11年目を迎えた港川小学校ハンドボール部。昨年10年目で初の全国大会出場を果たし、同時期に全国で3位入賞という輝かしい成績を残した。結成から現在までの指導を行っている三輪華江子さんは山口県出身。学生時代からずっとハンドボール一筋という熱い心の持ち主だ。中学、高校、大学と、常にトップレベルで活躍していたプレーヤーだったこともあり、父母からの信頼も厚い。
ハンドへの情熱抑えられず
三輪さんの家族は夫も琉球大学でハンドボールのコーチをしている。長女、長男も港川小学校ハンドボール部のOB、OGであり、現在もハンドボールを続けているハンドボール一家である。体育教師だった三輪さんは沖縄に来てしばらく主婦業に専念していたが、「やっぱりハンドボールがしたい」「ハンドボールがない人生は考えられない」と情熱が抑えきれず、当時長女が通う港川小学校のハンドボール部を立ち上げた。
設立当初は、ハンドボールのルールも知らない、ボールも触ったこともない子どもたちにどう教えたらいいのかと、指導方法にはかなり悩んだという。
「学校にゴールもなければラインもひいてなかった。そこからのスタートだった」と話す強いまなざしには、当時の苦労とそれでも前向きであった意志が感じられる。
”熱い“気持ちは子どもたちにも伝わった。今となっては練習もキャプテンの大城開くんを先頭に進めていて、一人一人が向上心にあふれている。
普段は笑顔が印象的で温かく子どもたちを見守っている。練習がはじまる前に子どもたちのテーピングをしたり、ウォーミングアップ時にはいろんな場面で声を掛けながらコンディションを確認する。他のスポーツに比べケガがおこりやすいハンドボールでは特に大切なことだ。
練習日は月・水・金・日。ハンドボールは1コートで行われるのに対し、平日はほとんどが半分のコートしか使えない。そんな中でどういうメニューをどういった意識で取り組むかが重要になる。部員数は男子12人、女子8人と多くはないが、男女混合で練習を行い、お互いを刺激しあって、とてもいい環境が出来ている。
合言葉は「一緒懸命」
三輪さんの指導法はいたってシンプルだ。
「怒るときは怒るしほめるときはほめる。大事なことは私自身が素直になって真っすぐに接すること」と強調する。
チームは平均身長は低いがスピードと高い技術が持ち味。今年は県大会ベスト4を狙う。今、最も勢いのあるチームだ。
チームの合言葉は「一緒懸命」。みんなで頑張る、一緒に懸命になるという思いから作られた。それは子どもたちだけではなく、父母や協力してくれている人みんなに向けた思いだ。
練習を見学にきていた父母は三輪さんのことを「優しい。心の広い監督」と話す。
父母会などはほとんどないが、普段から父母との会話を絶やさずコミュニケーションを大事にしているので、自然とお互いの信頼関係も出来ている。
「父母のみなさんには凄く助けられています。周りに支えられて私は監督を続けることが出来るんです」と感謝の気持ちを口にした。
「ここまでやってきて、本当にハンドボールが好きなんだなって思う。これからもずっと続けていくんだろうなぁ」と、穏やかな表情で真っすぐ子どもたちを見つめる三輪さん。
港川小学校ハンドボール部の未来を明るく照らす太陽のような存在だ。
普天間光/写真・國吉和夫
港川小学校ハンドボール部
2000年結成。11年目。部員男子12人、女子8人の計20人。練習日は月・水・金・日。2010年6月に全国大会県予選で初優勝。全国では3位に輝いた。
もっと強くなりたい