「表紙」2011年11月24日[No.1391]号
なぎなた歴30年以上、現在いくつものクラブで指導を努める笠原松美さんは、これまでに国際なぎなた親善大会に2度個人優勝、また全国新春なぎなた大会でも個人優勝を獲得するなど、輝かしい成績を残している。なぎなたを通して、子どもたちと心から楽しんで成長していくことに日々幸せを感じている。
競技楽しみ人間性磨く
稽古は週2回与那原東小学校で行われる。2時間という限られた時間のなかで、笠原さんはこのチームに何が必要か、レベルアップにつながる内容を明確にして臨んでいる。
普段走りまわってにぎやかな子どもたちだが、一礼して稽古が始まると目つきが変わり、緊張感のある雰囲気に包まれ活気であふれている。
「遊ぶときは思いっきり遊んで、頑張るときは一生懸命頑張る。メリハリが大事なんです。ただなぎなたが上手いだけでは、結果はついてこないですし、人間性というか、気持ちが一番だと思うんです」と、強くなる秘訣を語る。
笠原さんは熊本県出身。なぎなたに出合ったのは26歳の頃、銃剣術の稽古を行っているとき、なぎなたを指導している先生に頼まれ銃剣術の基本動作を教えていた。そのころ、徐々になぎなたへの興味を持ち始めていた笠原さんは先生にお願いし、指導を受けるようになった。
「当時はなぎなたを男性が行っていることなど全く知りませんでした。ただ稽古をしたくなったということで、なぎなたを始めたんです」と、照れくさそうに話す。
沖縄にきたきっかけは、なぎなたの研修会に参加した際に、県の先生が笠原さんの稽古をみて声をかけてくれたのだという。
当時沖縄ではなぎなたをする人が少なく、指導者がほとんどいなかった。しかし県の教育委員会は国体に向け普及に力を入れようと考えていた中、笠原さんに白羽の矢が立ったのだ。その後、県内の各高校に指導にまわり、沖縄県のなぎなたを強くしたいという一心で毎日稽古に励んだ。
「今では、沖縄に指導者も増えてきたので、今後は子どもたちとなぎなたを楽しみながら稽古していきたいと思っています」と、穏やかな表情で話す。
子どもたちを指導する笠原さんは時に厳しく、時にやさしいお父さんのような存在だと与那原なぎなたスポーツ少年団の児童、生徒は話す。体育館の玄関に靴が片付けられていないと大きな声で注意する。礼儀にはとても厳しい。
「力には個人差がありますが、人としての心、礼儀などは徹底して指導していきたいと考えています」と、自身の指導方針を語った。
保護者は、「いつも子どもたちと楽しくなぎなたをしています。生活面に対しても、きちんと注意してくれるし、私たちもたくさん勉強させてもらっています。いい先生に出会えたなって思いますね」と信頼を寄せている。
稽古に入ると、笠原さんも子どもたちと一緒に汗を流す。「メーン」という勢いのある声はすごい迫力だ。一人一人にアドバイスしながら指導を行い、時には夢中になりすぎて子どもたちから「先生~」と叱られたりなど、和気あいあいとした場面もあり、みんなでなぎなたを楽しんでいるようにみえる。
「やっぱり、なぎなたをやっていると楽しいんですよね。僕は指導者ですが、教えるよりまず、なぎなたは楽しいんだよということを伝えたいんです。それが成長の一歩だと思うんですよ」
大会前は技術面を主に指導するが、普段はこうして楽しく子どもたちと稽古している。キラキラした汗をぬぐいながら、素敵な笑顔で語った。
普天間光/写真・照屋俊
来年は全国でも優勝したい
与那原町なぎなたスポーツ少年団
1983年創立。部員数 27人。 稽古日 火、水(18時45分~19時45分)。 大会成績 2011年5月 第28回沖縄県小・中学生なぎなた大会 演技競技1・2年生の部 優勝、準優勝。演技競技3・4年生の部 優勝、3位。2011年8月全日本少年武道なぎなた錬成大会 演技競技3・4年生の部 3位。演技競技5・6年生の部 3位。その他個人戦上位入賞者多数。