沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1433]

  • (金)

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「表紙」2012年09月13日[No.1433]号

輝くママHAPPYライフ 17

輝くママHAPPYライフ 17(2012年09月13日掲載)

金城 美穂さん

コールセンタースーパーバイザー 

笑顔で「声」に寄り添う

 県の誘致事業や地理的条件などから、コールセンターの進出が多い沖縄。那覇市おもろまちのトランスコスモスシー・アール・エム沖縄(株)で、西日本エリアの顧客に対応する金城美穂さん(34)は、いつも笑顔。「表情と正しい姿勢が大事。顔の見えない電話の向こうのお客さまに敏感に伝わるんです」と、接客に対する基本を語る。日々進化する商品ノウハウを学び、百人百通りの要望に対応。仕事を依頼される企業の、大切な顧客の個人情報保護やセキュリティー管理も重要な側面だ。インカムを頭につけ、机を並べるオペレーターたちを的確に指導する立場の金城さん。一期一会の現場で、誠実に、ひたむきに語りかける。

チームワークを大事に

 フロアにずらっと並んだ約150席のデスク。ひっきりなしに鳴るコールに、おのおのが対応している。金城美穂さんは、保険商品を扱うセクションで、スーパーバイザーとしてオペレーターのサポートを担当し、自らも上司として顧客対応を行う。

 「以前パソコン販売の営業担当者をフォローしていたので、コールセンターは、パソコンのスキルアップにもなると思って入社しました」と、笑顔で話す。

 電話を通じて、客と一対一。個別対応のイメージが強いコールセンターだが、意外にも大切なのは、「チームワーク」だと言う。

 「どんなに研修や経験を積み重ねても、マニュアルにないことに日々出合います。そんな時、お客さまにあいまいな知識、間違った答えを返してしまうことが、一番怖いんです」

 オペレーター同士知恵を出し合い、「こんな風に説明すると分かりやすいよ」など、経験を共有することはもちろん、報告・連絡・相談が基本だ。さらに確認が加わる。

 「例えば、保険の入会方法や支払い方法など、基本のお問い合わせでも、お客さまの状況によって千差万別です。思い込みで判断せず、必ず上司に確認します」

 そして、コールセンター独特のスキルが、「客の間」を読むことだ。

 「会話の最中にお客さまの言葉が途切れた時、これは考えている間なのか、お困りなのか、それともお怒りでいらっしゃるのか、など、空気を読んで対応しなければ、お客さまを傷つけてしまうことにもなりかねません。疑問・質問をうまく引き出す努力も欠かせません。機械対機械ではない、人間対人間だからこそですね」

 顔が見えない相手、そして、初めて話す客に対し、表情に気を遣い、背筋を伸ばして対応する。

 「笑顔か無表情かで、お客さまへの伝わり方が全然違うんです。ひじをついたりしても、誠意が伝わりません。先輩やお客さまの反応から学んだことですね」

 細やかに一人一人のニーズに合わせ、コツコツまじめに対応する一方で、自己研さんも欠かせない。社会情勢によって日々変化する商品を、自ら好きになることも大事なスキルだ。
 日々の事例が、商品開発・改良の重要な情報ともなり、オペレーターの経験から良い商品を生み出すきっかけとなるような情報を顧客に還元する役割も重要視されるからだ。

 「人間誰だって、失敗はあります。でも、同じ失敗は繰り返さないように、仲間と互いにサポートします。抱え込んでしまうと、自分のためにもお客さまのためにも良くないと思うんですよ」

 大阪出身の金城さん。医療事務をしていた時に知り合った夫・義昭さんと共に8年前に沖縄へ。結婚して10年になる。

 「沖縄は良い所。だって、水が冷たくないでしょう。私、関西弁も出ませんし、顔も沖縄の人みたいで、名字も金城でしょう。県外出身と思われたことはないですね」と、茶目っ気たっぷりに話す。すぐに地域にとけ込み、仕事に打ち込んでいる様子が伝わってくる。

 「今の職場は、休みもしっかり取れるのでありがたいですね。家庭との両立ができているのも、家族とチームのおかげだと思っています」と、周囲への感謝を欠かさない。

 電話で対応後、「お大事になさってください」。最後にそう言って、インカムを外した金城さん。

 「例えば結婚や出産など、保険のご説明を通して、私はお客さまの人生にかかわっているんですよね。涙を流して感謝を伝えてくれるお客さまがいる。私は、この仕事が好きです」

 今日も目の前の電話が鳴る。笑顔の金城さんが気持ちを受け取る。


島 知子/写真・桜井哲也



兼城剛さん
オペレーターの間を行き来し、指示する金城美穂さん=那覇市おもろまちのトランスコスモスシー・アール・エム沖縄(株)
金城 美穂さん
プロフィール
 きんじょう みほ 1977年大阪市出身。
私立相愛短期大学国文学部卒業後、医療事務、パソコン販売の事務を経て、医療機関に勤めていた時に知り合った沖縄出身で看護師の夫・義昭さん(45)の帰郷を機に沖縄へ。2004年、トランスコスモスシー・アール・エム沖縄(株)に入社し、現在、保険商品のスーパーバイザーとして、顧客の気持ちにより添い業務に当たる。陽南(ひな)さん(10)と煌毅(こうき)さん(7)の4人家族。
写真・島 知子
金城 美穂さん
仕事紹介
 商品の操作方法や注文、入会・退会など、あらゆる分野を扱うコールセンター。顧客への対応はもちろん、個人情報保護とセキュリティー管理も大切な側面だ。「ハンカチと飲み物以外持ち込みません。信頼が第一ですから」と話す。
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