「表紙」2013年04月04日[No.1461]号
笑顔求め 技磨く
工夫と演技力で勝負するマジックの世界。マジシャンたちは客の裏をかき、驚きの後にあふれる笑顔と歓声に喜びを感じる。マジックの種類はトランプを使ったものだけでも100種類を超える。「マジシャンズクラブ沖縄」のメンバーは17人。中学生から80代まで幅広い年齢のマジシャンが月に2回集まり、練習に励む。「お客さんの笑顔と拍手が最高にうれしい」と話す会長の上運天研成さん(82)。色あせることのないマジックの魅力にメンバーはすっかりはまっているようだ。
楽しむこと一番に
会長の上運天さんがマジックを始めたのは、今から30年以上前。
「当時はお酒の場など、集団で遊ぶ際には歌をうたったり三線を弾いたりしていました。僕はそのどちらもできなくてね。手先が器用だったのでマジックを始めてみたんです。すると友人達はとても喜んでくれました。あの日からすっかりマジックにはまりましたよ」と照れ笑い。
メンバーを集め、1983年に「マジシャンズクラブ沖縄」を結成。那覇市久茂地にあった個人病院の定休日に場所を提供してもらい練習していた。現在は那覇市樋川にある神原小学校学童クラブの教室を借りて集まっている。
メンバーには元小学校教諭や元警察学校の教員など退職した人の他、、建築関係や電気屋などで働いている人がいる。業種の異なる人たちが楽しそうにマジックの話で盛り上がる。ふざけ合ったりして和気あいあいとした良い雰囲気が流れている。
仕事を終え新たな趣味を見つけて入会する人もいる。初心者からベテランまでさまざまだが、「マジックを楽しむ」ことを目標に活動している。
披露中は「平常心」
月2回集まり、それぞれ練習したマジックをメンバーに披露する。メンバーが披露したマジックを覚え、レパートリーも増えていくという。「専門のジャンルはありますが、メンバーが披露するマジックは大体みんなできますね」と上運天さん。
マジシャンのステージ衣装や道具は県内では購入できないため、ネットや通販のカタログなどを見て買うのだという。自身で手作りしている人は約100個のアイテムを作ったそう。上運天さんはハトやニワトリを使うマジックをするため、自分で飼育している。「いつも一緒に練習しているので、信頼関係は抜群です」と笑顔。時々、演技中にふんをされるアクシデントはあるが、それもまた客の笑いを誘うのだとか。
ハトやニワトリはパーティーなどのステージのみで使う。対照的にトランプなどは大きなステージでは見えにくいため、テーブルマジックとして小さな会場で披露する。発表会は随時行っている。浦添市のてだこホールでの発表会や病院で入院している患者の前などでマジックを披露する。場所に合わせてマジックの内容を考える。
マジックには失敗がつきもの。たくさんの失敗を経験することで精神力と共に演技力も増す。緊張したりハプニングが起きても披露中は常に平常心が大切だ。
メンバー共に成長
「プロではないので、楽しむことが一番です。若いころは『どうせやるなら一番を目指す!』なんて意気込んでいた時期もありましたね。今は失敗もOK! 成長はもっとOKです!」と上運天さんは話す。
新メンバーの屋良由美さん(41)は、メンバーからの誘いで入会。2〜3カ月目になる新米マジシャンだ。「まだ始めたばかりで分からないことだらけです。でもマジックは見ていても楽しいので、これから上達してお客さんに披露できるように頑張りたいです」と話した。
取材後も練習に励むメンバー。今後もマジシャンズクラブ沖縄の活動に目が離せない。
(普天間光)
共通の趣味に情熱を燃やす人たちやユニークなコレクションをしているアチコーコーな人などを紹介します。
写真・桜井哲也
メンバー17人。パーティーなどのイベントや、発表会などでマジックを披露。毎月第2・4火曜日の19時〜21時に集まり情報交換や技を見せ合う。会費は月1000円。メンバー募集中。
電話/090—2719—6247
担当者名/宮里政和