「表紙」2013年06月13日[No.1471]号
自分らしく生きる
アニメ「美少女戦士セーラームーン」の衣装がよく似合う大城レアさん。幼いころ自身の体と心の異変に気づき、徐々に性同一性障がいだと認識した。幼少時代は女の子向けのアニメなどのおもちゃが欲しくてたまらなかったが、買ってもらえなかったという。大人になり、20年かけて集めたアニメグッズのコレクションは数千個。約13年前から同じ趣味を持つ仲間とグループを組み「ストロベリーナプキン。」として活動。「今が一番幸せです」と話す。自分の人生を自分らしく生きることに誇りを持っている。
人生を笑顔で過ごす
大城さんが集めるアニメグッズの種類は幅広くさまざま。「美少女戦士セーラームーン」や「プリキュアシリーズ」、特撮ヒーローなど数多くそろっている。アニメで登場する武器などのコレクションはどれもほぼ新品。自宅はコレクションであふれ、撮影できるスペースがなかったため、取材は大城さんの友人宅で行った。
「ほんの少しだけ持ってきました」と言って広げたグッズは段ボール5箱分。同じグッズを2つ買うこともある。
「一つは観賞用。もう一つは電池を入れてキラキラさせて遊ぶんです」と使い道を話す。
グッズ以外にもフィギュアやDVD、ブルーレイBOXもあり最高4万円もする品もある。主に購入はインターネット。電器店なども回りできるだけ安いものを買う。
普段着や食費を節約してでも「集めたい」という気持ちが強い。
眺めて癒やされる
大城さんがコレクターになったのは高校生のころに借りたビデオ「美少女戦士セーラームーン」を見たことがきっかけだ。感動して今までに50回ほど涙を流したという。
現在もコレクションを集め続けるのは「好きなものに囲まれたい」という願望があるからだ。ある程度の数が集まれば満足するということではなく、自分を囲むコレクションが多ければ多いほど幸福感に満ちあふれる。つらいことがあってもコレクションを眺めることで癒やされるという。
「私のような行動は、普通に考えてあり得ないことですよね。幼少期に『ダメだ』と言われたことの反動かもしれませんが、今は本当に幸せです。コレクションがあるから生きることに全力で頑張れている気がします」と熱く語る。
大城さんは2004年から12年まで糸満市のコミュニティFM「FMたまん」でアニメに関するトーク番組も担当。リスナーやゲストからオススメのアニメを教えられることもあり、さらにアニメへの関心が高まっていった。
「ラジオを聴いてくれた方からDVDをいただいたり、話を聞いたりしてすごく楽しかったです」と笑顔。ラジオを通じて多くのアニメファンとつながることで大城さんも好きなアニメが増えた。「知識も豊富になり良い経験ができました」と振り返った。
大切な仲間に感謝
「ストロベリーナプキン。」は男性3人、女性4人で全員「18歳のアイドルグループ」として結成。オリジナルソングに合わせて、自分たちで考えた振り付けを踊る。セーラー服やナース服などを着て披露する独自のスタイルは独特の存在感を放っている。
多いときは月1回のライブ活動、インディーズのCD収録も行った。東京のライブに参加したり、海外からオファーを受けたことも。
これまで自身の趣味を隠すことはなかった。さまざまな経験をしたが、多くの仲間もできた。自分なりの生き方ができているのは仲間の存在も大きいという。
「批判されることもあります。でも私という人間は何に興味があって、どんな時が楽しいのかということにいつも正直でいたいと思っています。威張れる趣味ではなくても、私自身の選んだ道を真っ直ぐ進むことに誇りを持っています」と強いまなざしで話す。
大城さんの周りに自然と仲間が集まるのは、素直で正直な性格が魅力なのだろう。写真撮影中に、「私幸せです」とこぼれた言葉には、批判を受けた経験を乗り越えてきた大城さんの思いがあふれていた。
(普天間光)
「美少女戦士セーラームーン」をはじめとしたアニメグッズなどをコレクションしている。アイドルグループ「ストロベリーナプキン。」のメンバー。