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[No.1505]

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「表紙」2014年02月13日[No.1505]号

情熱アチコーコー 42

情熱アチコーコー 42(2014年02月13日掲載)

スクエアダンスの「タイフーン トワラーズ」

指示に応えて優雅に

 米国のカントリーやウエスタン音楽に合わせて、8人一グループで踊るスクエアダンス。コーラーと呼ばれる指導者が、曲にのせて次の動作を指示するのが特徴だ。県内で唯一のサークル「TYPHOON TWIRLERS(タイフーン トワラーズ)」は毎週、うるま市の石川地区公民館で練習している。本島各地から集まるメンバー12人は「ステップは歩くだけで簡単だけど、コーラーの言うことをしっかり聞いて動かないといけない。頭を使うし、奥が深いです」と魅力を話す。

米国の伝統を楽しむ

 米国の郷土ダンス発祥で世界中で踊られているスクエアダンスは、ダンサーが男女でペアを組み、4組のペアで一つの四角形を作ることから「スクエア(正方形)」といわれる。コーラー(caller=呼び掛ける人)と呼ばれる指導者はマイクを持ってカントリー調の曲に合わせて歌うように、次の動作を説明し指示を出す。面白いのは、それが英語で行われることだ。

 「ターン・レフト(左に回って)」など簡単な指示から、向かい合うペアとパートナーを交代したり、男性4人が中央で手を取り回ったり、と複雑なものまである。次から次に出される指示に合わせて、四角形が回転して、崩れて円になり、また四角形に戻る—と美しい模様のように変わっていくのも面白い。

米軍統治下で普及

 沖縄では戦後の米軍統治下で広まった。「タイフーン トワラーズ」でコーラーを務める、代表の伊禮豊和さん(65)=うるま市=も、復帰前に米軍関係者からダンスを習った一人だ。伊禮さんは元大工。20歳のころ、今のうるま市石川にあった琉米親善センターで初めて踊った。「他にこれといった娯楽もないころだったので夢中になり、もっと究めたいと思いました」。それから嘉手納基地内のサークルに通って本格的に習った。

 基地内で踊りを続けていた伊禮さんだが、2000年の九州・沖縄サミットで断念を余儀なくされた。嘉手納基地の警備が厳しくなり、基地に入れなくなったのだ。それでも続けたいと、西原町でサークルを結成。それが「タイフーン—」だ。その後、何度か場所を変えて現在の石川地区公民館に落ち着いた。今では基地内でも踊られなくなり、伊禮さんのグループが県内で唯一の活動団体になった。

 「タイフーン—」は日本スクエアダンス協会に登録しているため、県外、国外からの旅行者がサークルにゲスト参加することもある。「踊り方は世界共通なので、どこの地域の人とも一緒に踊れますよ」と伊禮さん。伊禮さん自身も本場・米国や台湾に踊りに行ったことがある。

スカートは手作り

 服装は男性がウエスタンシャツにループタイなどを付け、カウボーイ風の格好。女性はパニエを着けてスカートを膨らます。始めて8年以上の小松裕子さん(68)=豊見城市=はワンピースも手作りだ。「最初はスカートが恥ずかしかったけど、だんだん丈も短くなって」と膝丈のスカートをひらめかす。夫の剛さん(74)と2人で参加。剛さんは「妻を送り迎えするうちに、ひっぱり込まれました」と笑う。「ステップは簡単。でもコーラーの言う通りに動くから頭を使って、健康維持にとてもいい」と話した。

 ステップは歩くだけだが、踊りの振りは48の基本動作を元に際限なく広がる。コーラーによって新しい振りも生み出される。

 一緒に踊ってみた。メンバーのほとんどが「英語に馴染みがないが、コーラーの言うことなら分かる」と言うようにコーラーの指示に耳が慣れてくると、踊れているような気がする。と思ったら、急に新しい動作を指示され、アタフタとしてしまう。これが面白い。

 始めて2年の比嘉佐代子さん(64)=北谷町=は「一人でも間違えると、全体の動きが止まってしまいます。そこが難しくて面白い」と話す。「サークルの雰囲気もよくて、気分が若返りますね」と、具志加代子さん=南城市=は加えた。

 過去には、8人集まらずに、空いているペアを想像して練習したこともあったという。現在は1グループできたが、あぶれた人は見学だ。「もう少し人数が増えて、2グループできれば華やかさが増しますよ」と伊禮さん。戦後に伝わった米国のダンスは、小さいけれどステキな花を咲かせている。

岩崎みどり/写真・照屋俊

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タイフーン トワラーズ
カントリー音楽に合わせて踊るスクエアダンス。コーラーの指示に合わせて、四角形になった8人がクルクルと舞う=うるま市の石川地区公民館
タイフーン トワラーズ
コーラーを務める伊禮豊和さん。一緒に踊っているかのように楽しそうに指示を出す。メンバーからは「分かりやすい」と好評だ
タイフーン トワラーズ
レコードで曲を流すこともある。伊禮さんは2000枚ものスクエアダンス用のレコード、CDを持っている
タイフーン トワラーズ
TYPHOON TWIRLERS(タイフーン トワラーズ)
 代表・伊禮豊和さん。メンバーは、60代を中心に12人。毎週土曜日19時〜21時、うるま市の石川地区公民館で練習。月会費500円。
問い合わせは、石川地区公民館☎098(964)3433
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