「表紙」2014年03月13日[No.1509]号
4人で行うカードゲーム「コントラクトブリッジ」。向かい合う同士がペアとなり、得点を競う。最初に切り札にするマークとトランプの数字の合計点「トリック数」を宣言する「コントラクト」を行い、手札を出していく。獲得数の合計がトリックを上回れば勝ちだ。日本コントラクトブリッジ連盟会員で、インストラクターの親泊信雄さん(57)は、「ブリッジは賭博性が高いと思われがちですが、健全な頭脳戦。何より、みんなとのコミュニケーションが楽しい」と話す。年齢や経験を問わず参加できるのも魅力だ。
ブリッジを架け橋に
1950年代にイギリスで発祥し、世界に一億人以上の愛好家がいるといわれる「コントラクトブリッジ」。4年に一度世界大会が開かれるほか、国内でも全国大会が行われるなど競技色も強い。
特徴は、プレーが始まる前に「切り札をどのマークにするか、マークなしにするか、何組以上札を取るか」を「宣言」=「コントラクト」すること。その後、それぞれ出したトランプの数字の大小(Aが最も大きく、2が最も小さい)で札を獲得していき、その合計点で勝敗が決まる。コントラクトをクリアするとボーナスポイントが付く仕組みだ。
県内にも愛好者
沖縄コントラクトブリッジ同好会の世話人を務める親泊信雄さんは、高校生の時にブリッジに出合った。全国組織の存在を知り、インストラクターの資格を取得。会の設立のきっかけは、2003年11月に、那覇市と宜野湾市で行われた「まなびピア沖縄2003」へ出展したことだ。「ブースに県内の愛好者が大勢集まりました。子どもから大人まで、初めて見る人も興味を持ってくれたんです。想像以上でした。うれしかったですね」と振り返る。
その後、愛好者同士を結びつけようと、04年4月に会を結成。現在、会員数は約20人で、毎月2回、西原中央公民館で定例練習会を開いている。
「トランプは子どもの遊びか大人の賭け事と思われがちですが、そうじゃない。楽しくできる頭脳ゲームなんです」。ブリッジを通してコミュニケーションの輪が広がることを期待している。
駆け引きを競う
この日参加した下門和政さん(63)は、ブリッジを始めたばかり。少し右手が不自由なため、トランプを見やすく並べる木製の立てを持参した。「パートナーと気持ちが通じ合うとうれしいです。頭を使うからね、何よりもぼけ防止にいいですよ」と笑う。下門さんとペアを組んだ仲尾清和さん(66)は、ブリッジ歴4年。日々「自主練習」にも取り組む。「ブリッジは取り決めがたくさんあって、勉強のしがいがあります。そしてそれを実践で試すと違う発見がありますね」と話す。
二人と対戦した石井広一さん(36)は、千葉県から転勤してきた。沖縄での参加のきっかけを聞くと、「地元でもプレーしていたので、沖縄でもできないかとインターネットで調べて同好会の存在を知りました。自分の考えややり方だけではだめ。パートナーシップが大事なんです」と答えた。石井さんのパートナーを務めた高田哲良さん(54)は、出された札から推測される相手の持ち札を記憶し、判断する。「同じ手が一度も来ないところが奥深いんですよね。想像力をフルに働かせて、全体の持つ雰囲気を読むようにしていますね」と言う。
「私たちの会は、とにかくブリッジの楽しさを伝えること。一度体験してみると伝わると思います」と話す親泊さん。小さな子どもとシニアが向かい合ってペアを組み、互いの良さを引き出しながら時間を過ごす。そんな風景が浮かぶ。
「熱中できるものがあって、それを共有する仲間がいるって幸せですよ」という仲尾さんの言葉に、みんなが笑顔になる。年齢も出身も違う人同士が、ブリッジを介してつながっている。ブリッジが世代間、地域の架け橋になる日が、きっと来るはずだ。
島 知子/写真・桜井哲也(Sakuracolor)
沖縄コントラクトブリッジ同好会
2003年、那覇市と宜野湾市で開催された「まなびピア沖縄2003」への出展を機に、04年4月に発足。毎月第1、3土曜日14時から西原中央公民館で定例の練習会を開いている。参加費は1回500円(施設使用代)。見学や初心者の参加は無料。会員は常時募集中。イベントなどでの無料体験などの情報はホームページで配信。
http://www.geocities.jp/okinawa_bridge/
☎070(5816)1707〔親泊〕