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[No.1526]

  • (金)

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「表紙」2014年07月10日[No.1526]号

RED OKINAWAカラー 15

OKINAWAカラー 15

幸せ招く青い卵
上原養鶏場・上原肇さん

 青い鳥、花嫁が身に付ける「サムシングブルー」など、幸福な色とされる青。南米チリ原産のニワトリ・アローカナが産む卵は、淡いコバルトブルーで「幸せの青い卵」と呼ばれている。産卵率は一般的なニワトリの約半分で、栄養価が高いという。糸満市北波平の上原養鶏場では約10年前からアローカナを飼い始め、現在約200羽を飼育している。「ニワトリはやった分だけ応えてくれるんですよ」と代表の上原肇さん(49)。養鶏に熱い思いを寄せ、人工孵(ふ)化にも挑戦している。



心通わせ日々真剣に

 コッコッコッコー。上原養鶏場は、那覇市出身の上原肇さんの父・清二さんが50年以上前に創業した。上原さんが10歳の時に清二さんが亡くなった後は、母・好枝さん(79)が切り盛りしていた。上原さんは琉球大学の畜産学科で学んだ後、24歳で好枝さんから引き継いだ。

 アローカナの他、烏骨鶏(ウコッケイ)、地鶏、ニワトリなど5種、1万羽余りを飼育している。餌にこだわり、低脂肪・低カロリーで食物繊維が豊富な発酵飼料を開発。「安全でおいしい『はっこう卵』」として販売している。



珍しい種類探して

 アローカナは、南米チリの先住民「アローカナ族」が古来から飼育していたニワトリ。上原さんは約20年前に出合った。「烏骨鶏を飼っていたんですが、他にも珍しい種類がいないか探したら、趣味でアローカナを飼っている人がいたんです」。有精卵を分けてもらい、人工孵(ふ)化させた。しかし鳥インフルエンザが流行し、飼育を中断した。

 10年ほど前、県外の業者からアローカナのひなを取り寄せ、再び飼い始めた。アローカナは白と茶色の羽の2種類。生後半年で親と同じ大きさになる。頬にヒゲのような毛が生えているのが特徴だ。

 ニワトリは生後約4カ月で卵を産み始め、半年以降は産卵率がアップ。その後約1年は良い状態で卵を産む。一般的なニワトリの産卵率は約8割だが、アローカナはわずか4割ほどという。希少価値だけでなく、肌に良いとされているレシチンが一般的な卵の約2倍含まれるなど栄養価も注目されている。県外では1個150〜200円で販売。上原さんは「来てくれた人への特典」と、直売所で1個60円で提供している。

 また同養鶏場では、産卵率が低下したニワトリを鶏肉にする。食鳥処理の資格を持つ上原さんは週に1回、ニワトリを解剖し、おなかの中を見たり、臓器の状態をチェックしたりして、全体の体調管理に生かしている。今では羽のツヤなどから体調の微妙な違いが分かるそうだ。



人工孵化にも挑戦

 全国的に人気が高まっているアローカナは、専門業者にひなを注文すると半年待ち。そこで上原さんは人工孵化に挑戦している。アローカナと一緒に烏骨鶏、地鶏の3種の有精卵を孵卵(ふらん)器に入れ、孵化を待つ。湿度と温度、角度に気を配る。5、6日後にうっすらと卵の中に血管が見え始め、約3週間後に孵化するそうだ。6月にアローカナが3羽生まれた。

 上原さんは「アローカナは栄養価が高いので、卵だけでなく、肉も活用したいと考えています。つぶしたら肉質が違います」と話す。鶏汁にするとかみ応えがあり、味はさっぱりしているという。「烏骨鶏の肉は中国で薬膳に用いられています。アローカナとブレンドしたら良いものができると思います」と期待を込める。

 養鶏の魅力を尋ねたら、「ニワトリの意に沿うことをきちんとやったら応えてくれます。えさの管理で手をぬくと、すねるんですよ。1週間食欲が落ち、卵を産まなくなります。もとに戻るのに2週間かかります」と苦笑いする上原さん。日々、真剣にニワトリたちと向き合っている様子がうかがえる。

 直売所で購入した青い卵を自宅で食べてみた。上原さんのオススメは卵かけご飯。殻は少し硬い。割ってみると普通の卵のように見えるが、こだわりの餌を食べているだけあって、ふんわり盛り上がった黄身と臭みのないこくのある濃厚な味わい。ご飯が進み、食べる人を幸せな気分にしてくれる卵だった。

豊浜由紀子/写真・喜瀬守昭(サザンウェイブ)

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上原養鶏場・上原肇さん
アローカナの淡いコバルトブルーの卵を手に笑顔をみせる上原肇さん。深い愛情を注いで育てている=糸満市北波平の上原養鶏場
上原養鶏場・上原肇さん
頬のあたりにヒゲのような毛が生えたチリ原産のアローカナ
上原養鶏場・上原肇さん
アローカナの卵。殻が薄いコバルトブルー
上原養鶏場・上原肇さん
有精卵を孵化させる孵卵器。アローカナ、烏骨鶏、地鶏の3種の卵を入れている
上原養鶏場・上原肇さん
今年6月7日に生まれたアローカナのひな。つぶらな瞳がかわいらしい
上原養鶏場・上原肇さん
24時間、卵を販売している自動販売機の前で上原さん(左)と直売所のスタッフ・亀谷波澄(はすみ)さん。
アローカナの卵は予約すると確実に購入できる。
上原養鶏場
糸満市北波平876
☎098(994)9337
営業時間=9時〜18時
定休日=日曜
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