「表紙」2014年09月18日[No.1536]号
宝石のようにキラキラ光るシルバーのアクセサリー。よく見ると、ビーズ一つ一つを組み合わせた精巧な作品だ。ビーズインストラクターのタンボカナ(本名・田甫真由美)さん(38)は、2児の子育てをしながらビーズの講座を受講し、資格を取得。2013年、那覇市識名にビーズ教室「KANA Beads(カナ ビーズ)」をオープンした。「まだまだビーズを知らない人が多いので、もっと広がってほしいですね」と、多くの人にその魅力を伝えたいと活動している。
ビーズの魅力伝えたい
東京都出身のタンボさんは、幼少から手作りが好きだった。小学校高学年からミシンでナップザックを作り、中学生のころは「×」の刺しゅうを組み合わせて絵柄を完成させるクロスステッチに夢中になった。大妻女子大学では家政学部被服学科で服作りを学んだ。
ダイビングが好きで、慶良間諸島や宮古島などで潜っていたが27歳で結婚し、28歳で長女・瞳奈(ひな)ちゃん(10歳)を出産。沖縄の美しい海と気候に引かれ、2005年、瞳奈ちゃんが1歳のころに夫と3人で移り住んだ。
30歳で長男の駆琉(かける)君(8歳)を出産。ちょうどビーズのネックレス付きの服が流行し、気になっていたという。たまたま美容室で見た雑誌で手作りできることを知った。「私も作れるかも」と、県内で教室を探した。
子育て中に資格取得
駆琉君が1歳になったのを機に週1回、預かり保育を利用してレッスンに通った。約10カ月通い、「ビーズスキル認定証」を取得。年に2〜3回、「KANA Beads」として講座を開き始めた。その後も、針と糸でビーズをつなげていく「ビーズアートステッチ技能認定」、同ステッチの上級編「同教授特別認定証」も取得。さらに、レース糸にビーズを通してレース針で編んでいく「ジュエリークロッシェ技能認定証」など日本生涯学習協議会監修・認定の講座を修了し、インストラクターのコミュニティー「楽習フォーラム」に所属した。
夫のダイビングショップの経理を手伝いながら、店内で講座を開いた。「教え始めてから、一人でやっていた時より自分の技術も良くなっていったんです。特にスピードがアップしました」
しかし、ダイビングショップは塩気が強く、ビーズが変色してしまうことから13年1月、那覇市識名に自身の教室を開いた。作家名の「カナ」は、駆琉君と瞳奈ちゃんの名前から一文字ずつ取った。
オリジナルの作品も
ビーズにはさまざまな技法があり、アクセサリーを作るだけでなく、バッグやストールに刺しゅうをして素材を華やかに彩ることもできる。材料がそろったキットも豊富で、初心者でも気軽に始められるそうだ。
タンボさんは現在、予約制で4つの講座を開く他、出張教室、10月からあがり浜カルチャーセンターでも教えることが決まった。育児と両立しながら活動の幅を広げている。ビーズの魅力について、「見て楽しく、アクセサリーで使うとキレイになれます。いろいろな技法があり、バリエーションも楽しめます。でも一番はキレイなことかな」と生き生きと語る。
今後は、オリジナル作品にも力を入れていく予定だ。形が決まったキットとは違い、オリジナルはデザインから考案。タンボさんは下描きはせず、作品の雰囲気をイメージして作り、バランスが悪いとやり直し。気に入ったパーツができるとイメージが膨らみ、全体を作っていく。気が遠くなるような作業だが、時間を忘れて夢中になるそうだ。
昨年、「AJCクリエイターズコンテスト2013」にオリジナル作品を初めて出品。全国から1009点の応募の中、197点が一次審査を通過。タンボさんの作品は佳作に選ばれた。今年は「メルレット」と題した作品を出品し、佳作に輝いた。
「今まではオリジナル作品が少なく、自分が作りたいと思うほど作れませんでした。オリジナルを増やしながらやっていきたいですね。また、ビーズをもっと広げていきたいです」と抱負を語る。ビーズの美しさ、楽しさを一人でも多くの人に伝えられるよう、作品に魂を吹き込み、自分らしく輝かせる。
(豊浜由紀子)
〔KANA Beads〕