「表紙」2014年11月13日[No.1544]号
円盤追って 走る、跳ぶ
勢いよく投げられたフリスビー(円盤)を追い、チームのメンバーが全力で走り、跳ぶ―。100×37㍍の広大なフィールドを駆け回るのは、沖縄国際大学の学生サークル「ブルーレイズ」のメンバーたち。毎週火曜と金曜、1960年代に米国で生まれた競技「アルティメット」の練習に励む。各7人のチームで円盤をパスし、敵陣へのゴールを目指す新スポーツだ。
今年4月に入部した総合文化学部1年の安河山可優(あかやま・かゆう)さん(18)は、「ただフリスビーをキャッチするだけではなく、チームで戦う奥行きのある競技。相手の行動を見て動かなければならないので、すごく頭を使いますね。体力も消耗しますが、得点した時は爽快です」と魅力を語る。
心を合わせ 勝利つかむ
アルティメットは、ボールの代わりに「ディスク」と呼ばれるフリスビーを使う新スポーツ。各7人のチームでディスクをパスしあい、敵陣にゴールさせると点数が入る。ディスクは地面に落としてはならず、キャッチして10秒以内にパスしなければならない。
勝利の決め手は息の合ったチームプレー。メンバーの動き、風の流れを読みとり、ディスクを次々とパスしてゴールへと導く姿は、スピード感たっぷりで実に見事だ。複雑なカーブを描くディスクを、高く飛び跳ねて捕まえる「ダイビングキャッチ」が決まった時には、思わず歓声を上げたくなる。
沖縄国際大学の「ブルーレイズ」は、2003年に設立された県内初のアルティメットサークル。21人の学生メンバーが、毎週火曜と金曜の午後6時半〜9時半、キャンパス内の多目的グラウンドで練習を行う。
キャプテンを務めるのは、法学部3年の金城翼(たすく)さん(20)。1年の時、友人の紹介で入部した。最初はフリスビーを投げ合って楽しむ軽いスポーツと思っていたが、やってみると頭脳と体力を駆使する高度なチームプレーが求められることに驚いた。そこに面白さを感じ、魅了されていったという。
ディスクは風向きや投げ方により複雑な動きを示す。そのため、ビギナーが思い通りに飛ばすのは難しい。だが、練習すればするだけ確実に上達する。「センスよりも練習量。最初は5㍍でも、50㍍投げられるようになります。ロングシュートがうまく決まった時は最高」と金城さんは力を込める。
女性も活躍
男女が同じチームで戦えるのもアルティメットの魅力だ。「ブルーレイズ」の21人のメンバーのうち、5人は女性。その一人、総合文化学部2年の武内香歩(かほ)さん(22)は、元ブラスバンド部。運動部に入るのは初めてで、他のメンバーとの運動能力に差を感じていたが、「うまい人がカバーしてくれたので、最初から楽しくプレーできました。体を動かしてメンバーと息を合わせるのが面白いです」と笑顔を見せる。
現在、県内には他大学とOBの団体を含め5つのサークルが存在するが、競技人口は約120人とまだまだ少ない。だがその分、プレーヤー同士のつながりは濃密だ。「練習には40代までのOBや社会人も顔を出します。競技を通して、県外の人とも仲良くなれるのもいいですね」と金城さん。
2008年からは県大会「沖縄オープン」も年に1回開催されており、アルティメットの輪はゆっくりと広がりを見せている。今年の開催日は12月21日㈰。練習の成果を生かしたダイナミックなチームプレーに期待したい。
日平勝也/写真・喜瀬守昭(サザンウェイブ)
フリスビー(競技内ではディスクと呼ぶ)を使用する1チーム7人のスポーツ。攻撃側が100×37㍍のフィールド両端にあるゴールエリア内にディスクを投げ、味方がキャッチすれば得点が入る。ディスクを持って動くことはできず、10秒以内にパスする必要がある。パスがつながらない時、ディスクを落とした時には攻守交代。試合時間は40〜45分、17点先取での勝利が基本だが、メンバー構成により変化する場合もある。
県フライングディスク協会
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