「表紙」2014年11月20日[No.1545]号
力だけでは勝てない面白味
筋骨隆々、腕自慢の男性たちに混じって、黙々と組み合い、練習を繰り返す小柄な女性がいる。大城瑞季(みずき)さん(19)=南風原町=は、毎週火曜日に練習をしているアームレスリングチーム「イーストブルー」の、数少ない女性メンバーの一人。職場の友人の紹介で、数カ月前から練習に参加するようになり、素質を認められている期待の新星だ。
アームレスリングは単なる力比べではなく、力を入れるタイミングや、腕の部分の筋肉の使い方、体重移動などさまざまな技術を必要とするスポーツ。奥が深いその魅力について、大城さんとメンバーのみなさんに話を聞いた。
夢は全国大会で活躍すること
与那原町コミュニティセンターの一室にアームレスリング公式台が準備され、続々とメンバーが集まってきた。「チーム名は東浜の“イースト”と海の“ブルー”を合わせたものです」と説明してくれたのは中心メンバーの一人、富濱寿幸(とみはまかずゆき)さん(36)。全国大会に出場経験もあるベテラン選手だ。
沖縄のアームレスリング人口は現在300人以上と言われ、『腕我最強(わんがさいきょう)』という定期的な大会イベントなどを中心として、県内で10チームほどがしのぎを削っている。「イーストブルー」はチームを立ち上げて約2年半。
「うちのチームは県内でも20位以内に入る実力者がそろっていますよ。組んでみると人の手は十人十色。より多くの人と、何度も組まないと強くなれない」と語るのはもう一人の中心メンバー前田亘(わたる)さん(38)。言葉通り、それぞれ相手を替えながら何度も、がっちりと手を組み合わせ、試合形式の練習が繰り返される。組み合う仲間を背後から見て、腕の返し方、手首の使い方などを研究するメンバーも。
それにしても、アームレスリング愛好家はやはり20代〜40代の男性、それも消防士や自衛隊、建築業など力自慢の職業のみなさんが多い様子。10代女子の大城さんはなぜ、このチームに参加したのだろう。
「格闘技が好きでボクシングもやっていたんですが、アームレスリングと出合って、シンプルなのに力だけではなく技術で戦う面白味を知りました。練習では強い男の人と組んで、思いっきり自分の力が出せるところもいいですね」
大城さんの素質について仲間たちは「スポーツ経験者で握力も強いので、技術を身につければ女子の全国大会を目指せると思います」と太鼓判を押す。
沖縄の女子選手の中には、同じ「イーストブルー」に所属し、全国3位の実績を持つ玉城めぐみさん(36)もいる。
「いつか玉城さんのように全国大会で戦える実力を身につけたいです」と大城さんは笑顔で夢を語った。
長嶺陽子/写真・大城 亘(camenokostudio)
公式の競技台を用いておこなう。相手方の手の甲を競技台のタッチ・パットにつけた方が勝ち。時間に制限はない。ファールが宣言され、勝敗が決まる場合もある。沖縄のイベントではPROクラス3階級(70kg以下、80kg以下、80kg超)、AMA(アマチュアレベル)クラス2階級(75kg以下、75kg超)があり、PROクラスへの昇格条件はAMAクラスでの2大会連続入賞。PROクラスの上位者が全国大会へ挑戦。大会は男子が中心だが、女子がチームを組んで参加するイベントが行われることも。
問い合わせは070-5812-1412(前田)
「腕我最強ホームページ」
http://okinawadb.com/