沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1566]

  • (金)

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「表紙」2015年4月23日[No.1566]号

母娘燦燦

母娘燦燦 — おやこ さんさん — 4

玉城 明子さん 玉城 美香さん(パーソナリティー)

「頑張る心」 受け継ぐ

 「みーかー」の愛称で親しまれるラジオのパーソナリティー、玉城美香さん(40)。美香さんのトレードマークは、何といってもその明るく弾む笑い声。軽妙なトークとあいまって、県民の間で絶大な支持を得ている。現在は3児の親として、忙しくも充実した日々を送る美香さんの支えであり、心のよりどころでもあるのが母・玉城明子さん(72)の存在だ。美香さんは「母がこれだけ頑張ったから、今の私がいるんです」とほほ笑む。女手一つで5人の子どもを育てあげ、休日に通信制の高校に通い勉学に打ち込んだ母の姿は、美香さんの大きな励みになっている。



女手一つで5人育てる

 玉城明子さんと娘・美香さんは、どこか仲のよい姉妹のような雰囲気がある親子だ。明子さんの若々しさもさることながら、二人の間のサラリとした自然な距離感がそう感じさせるのだろう。依存したり甘えたりといった関係ではなく、自立した一人の人間としてお互いを気遣っているという印象だ。

 母・明子さんは、糸満で生まれ育った生粋の「糸満女」。やさしく穏やかな表情が印象的だが、女手一つで5人の子どもを育て上げた明子さんの内側には、糸満女ならではの芯の強さがひそんでいる。

 明子さんは、子どもたちを養うため、末っ子の美香さんが幼稚園に上がる36歳のころから老人介護施設で働き始めた。もともと実家は食堂を営んでおり、ずっと食堂を手伝っていた明子さんにとって、介護の仕事は全く未経験の領域だった。

 「申し込みの時は、厨房(ちゅうぼう)ということでお願いしていたの。でも行ってみたら『厨房がいっぱいだから空きが出るまでやってみて』と言われてね。それで介護の仕事を始めたんだけれど、入ったらもう出してくれないんですよ(笑)」

 続いて「介護の仕事は大変で、腰を痛めて動けなくなることもありました」と苦労を語るが、明子さんは介護の仕事にやりがいを見いだし、以後36年間、一貫して介護の仕事を続けてきた。72歳を迎えた現在も、老人介護施設の厨房で勤務を続けているというから驚きだ。「とにかく体を動かすのが楽しみなんです」



原点をくれた人

 「もうね、仕事も子育ても無我夢中でしたよ」と明子さん。しかし、そんな多忙の中にあっても、子どもたちとの時間は大切にしていた。「毎月の給料日にはご飯を一緒に食べに行ったり、小学生のころ習っていた琉球舞踊教室の送り迎えをしてくれたり。母との交流は、普通の親子の倍くらいあったと思います」と美香さんは言う。

 自身、芸能好きだという明子さんは、子どもたちの習い事を積極的に応援した。「母が習わせてくれた琉球舞踊で舞台に立ち、人を喜ばせる快感を覚えたことが、パーソナリティーとしての原点」と美香さんは振り返る。美香さんがラジオの仕事を志した時も、「この子は話がうまいし、人前でおしゃべりするのも得意だから」と応援してくれたという。



母の姿に励まされ

 美香さんは、20歳でラジオ沖縄のオーディションに合格し、レギュラー番組を持ったのを皮切りに、着実にパーソナリティーとしての実績を積み重ねる。美香さんの人気を不動のものにしたのが、ラジオ沖縄の午後の看板番組「チャットステーションL」だ。2002年、27歳の時から司会進行役を続けているが、「最初の2年はプレッシャーが強く、やめたいと思ったこともありました」と打ち明ける。

 気持ちが切り替わったのは、美香さんが29歳で結婚し、その翌年に女児を出産してから。「結婚してから、母のように『くんぱる(頑張る)』という気持ちが目覚めてきたんです」と話す。

 実は、戦後の混乱期に育った明子さんは、高校に通うという希望がかなわなかった。しかし、明子さんはその後もずっと勉学への志をあきらめず、1997年に県立泊高校の通信制課程に入学。夜勤明けや休日を利用して毎週日曜にコツコツと学校に通い、3年後、見事に卒業証書を手に入れた。「その時の母の姿が浮かんできて、自分も覚悟ができたんですよ」

 子どもたちのために新たに食の勉強も始め、この春には沖縄テレビ放送の新番組「ミミアリメアリー」への出演も開始した美香さん。新しい挑戦を続ける美香さんにとって、母・明子さんの存在は、これからもずっと励みになっていくに違いない。

日平勝也/写真・村山望



プロフィール

たましろ・あきこ
 1943年糸満市生まれ。36歳で介護の仕事を始め、途中ブランクを挟みながらも、以後36年間にわたって介護職に携わり、現在も老人介護施設の厨房で勤務を続ける。1997年、仕事をしながら県立泊高校通信制課程に入学し、2000年に卒業。

たましろ・みか
 1974年糸満市生まれ。高校卒業後ラジオ沖縄のオーディションに合格し、本格的にラジオパーソナリティーへの道を歩む。27歳の時にラジオ沖縄の午後の看板番組「チャットステーションL」の司会進行役に抜てきされ、明るい笑い声と軽妙なトークで幅広い人気を獲得する。現在は愛する夫と3人の子どもに囲まれ、仕事と育児に励む。

◇主なレギュラー番組
・ラジオ沖縄「チャットステーションL」(月曜〜木曜 14時〜16時担当)
「NANBUアワー」(日曜12時10分〜13時)
・沖縄テレビ放送「ミミアリメアリー 」
(土曜 10時25分〜10時55分)
・CS放送 旅チャンネル「沖縄ローカルニュース」


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玉城 明子さん玉城 美香さん
糸満市公設市場にある創業96年のカマボコ店「西南門小(にしへいじょうぐぁー)カマボコ屋」で買い物をする玉城明子さん・玉城美香さん親子。よく買い物をする同市場で明子さんから店を教わり、美香さんもよく足を運ぶという=糸満市糸満

玉城 明子さん玉城 美香さん
親子行きつけの市場内の「玉城精肉店」で。偶然にもラジオ沖縄アナウンサー・小橋川結子さんの祖母でした
玉城 明子さん玉城 美香さん
1歳のころ、明子さんと
玉城 明子さん玉城 美香さん
ラジオ沖縄の午後の看板番組「チャットステーションL」を受け持つ 
玉城 明子さん玉城 美香さん
美香さん24歳。初めて美香さんが明子さんを連れて旅行へ
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