「表紙」2017年02月23日[No.1661]号
花のように娘を見守る
名護市大浦で花木の卸売りを手がける「宮里グリーンサービス」。代表取締役の宮里文夫さん(53)は一級園芸装飾技能士の資格を持ち、空間の中で植物を美しく見せる提案やアドバイスを行うのも仕事だ。沖縄尚学高校で寮生活を送りつつ柔道に打ち込む長女の朱香(あやか)さん(17)、好奇心おう盛で植物と動物が大好きな次女の珠梨(じゅり)さん(12)とは冗談を言い合う仲。「2人とも休みのたびに畑に連れてきて、水まきなんかを手伝ってもらっていたよ」と笑う。
優しい父のもと 真っすぐ成長
豊かな海と山に囲まれた名護市大浦で、今年で創業21年目を迎える「宮里グリーンサービス」。敷地内には、大きな温室や畑が広がる。
温室内は色鮮やかなコチョウランやシンビジウムが咲き誇り、かぐわしい香りがふわりと漂う。隣には、観葉植物のつややかな葉が美しい姿をのぞかせている。
宮里グリーンサービスは、約500種類の植物を取り扱い、ホームセンターなどに卸売販売を行っている。
昔から植物が好きだったという宮里文夫さんは、学校を卒業後、園芸関連の会社で約10年間勤務。結婚を機に「自分の力でやっていこう」と32歳の時に独立を果たした。
一級園芸装飾技能士の資格を持つ文夫さんにとっては、ホテルのロビーなどの空間の中で、花や植物をいかに美しくディスプレーするかを提案するのも大切な仕事だ。
文夫さんが率いる宮里グリーンサービスは、今年の沖縄国際洋蘭博覧会のディスプレイ審査で優良賞・沖縄県知事賞を受賞。過去にも6回の受賞歴があり、その実力は折り紙つきだ。
冗談いい合う仲
文夫さんの2人の娘は、「父はとても優しい。母とけんかしている姿も見た記憶がありません」と口をそろえる。
「娘とは、冗談を言い合う仲。あっと驚くようないたずらもよく仕掛けられます。2人ともクッキーを作るのが好きなんですが、1個だけ辛いクッキーを作って、それを食べさせられたこともありますよ(笑)」。ほがらかで、ちょっぴりにぎやかな日常生活が垣間見えるエピソードだ。
「自宅は宜野座村松田にあるのですが、もっと小さいころは、休みのたびに畑につれてきて、水をまくのを手伝ってもらっていました。2人でじゃれあいながらも、よくやってくれましたね」と文夫さんは目尻を下げる。
しっかり者の姉妹
妻・香織さん(43)との間に、男3人・女2人の子どもに恵まれた文夫さん。長女の朱香さんは優しく妹思い、次女の珠梨さんは好奇心おう盛で、何にでもチャレンジしてみる性格なのだそう。
朱香さんは現在高校2年生。柔道のため名門・沖縄尚学高校に進学し、寮生活を送りつつ練習に打ち込む生活を送る。「寮生活は厳しいところもあるけど、他の寮生とずっと一緒なので楽しい」とほほ笑む。
松田小学校6年生の珠梨さんは、父と同様、植物や動物が大好き。父母が育てているのを見て多肉植物の栽培方法を身に付け、学校で他の生徒たちにもノウハウを教えている。自ら育てた多肉植物に、海岸で拾った貝殻を組み合わせ、ジオラマのような風景を作り上げた寄せ植えは、宜野座村のコンクールで2位を受賞したこともある。
「父は、休みの日でもずっと仕事をしているので、すごいと思う」と朱香さん。暇さえあれば植物を触ったり、動物の世話をしたりしているという。文夫さんは「好きだからできている」と笑う。
「娘2人はものおじせず、はっきり意見を言える性格。自分は言えない性格なので頼もしいですね(笑)」と文夫さん。
珠梨さんは、「植物や動物に関わる仕事や、人のためになることがしたい」という夢を持ち、朱香さんは「将来は考え中。両親に恩返しできるよう頑張りたいです」と話す。
太陽のような父の愛情を受け、まっすぐ育った娘たち。未来にはきっと、それぞれの大輪の花を美しく咲かせてくれるに違いない。
(日平勝也)
プロフィール
みやざと・ふみお1963年、名護市大浦生まれ。観葉植物、花物全般、芝生の卸売り、ディスプレー提案をなどを行う「宮里グリーンサービス」の代表取締役。一級園芸装飾技能士。卒業後、県内の園芸業者で約10年間勤務しながら、花や植物のディスプレーを学ぶ。31歳で妻の香織さんと結婚したのを機に、自力でやっていこうと翌年32歳で独立。宮里グリーンサービスは、今年の沖縄国際洋蘭博覧会のディスプレイ部門で優良賞を受賞したほか、過去6回の受賞歴を誇る。プライベートでは、男3人、女2人の5人の父親
みやざと・あやか
沖縄尚学高校2年生。小学1年生の時から柔道を続け、沖縄尚学高校に入学。寮生活を送りながら、練習に打ち込む日々を送る
みやざと・じゅり
松田小学校6年生。動物や植物が大好きで、多肉植物の栽培が趣味。昨年、多肉植物と海岸で拾った貝殻を組み合わせた寄せ植えを宜野座村のコンクールに出品し、2位を受賞
写真・村山 望