「表紙」2018年04月05日[No.1719]号
見よ!沖縄スタイル創作寿司 琉球回転寿司 海來
自由で大胆な創作寿司
新生レキオの第1回目となる今回の表紙。寿司(すし)の固定観念を覆す、 ユニークなビジュアルに度肝を抜かれた読者も多いのでは? これらの寿司は、那覇空港国内線旅客ターミナルビルの南側4階にある「琉球回転寿司 海來(みらい)」で提供されているメニューだ。見てビックリ、食べておいしい琉球創作寿司をレポートする。
まずはシャリの上に載った寿司ネタの数々をご覧あれ。
ナーベーラー、ゴーヤー、チキナー(カラシ菜)、ミミガー、島豆腐――。大胆にも、県産の野菜や食材がドンと載せられている。
寿司ネタもユニークなら、ネーミングや演出も個性的だ。
例えば「ドラゴンファンタジー」(420円)という寿司。横文字のネーミングを寿司に使うのも驚きだが、それにしてもドラゴン(竜)とは? じつはこれ、香ばしくあぶった大アナゴをドラゴンに見立て、ウニをトッピングしたファンタジー仕立てのオリジナル寿司なのだ。
赤いイクラで夕日に沈む海を表現した「サンセットロール」(510円)、脚を広げたヤリイカが竜宮の舞いを思わせる「乙姫ダンス」(420円)など、遊び心たっぷりの独創性豊かな寿司もある。
既成概念覆す店作り
それにしても、これらの創作寿司のアイデアは、どうやって生み出されたのだろうか。
「最初に千通りのアイデアを考案しました」と上地登志郎さん(44)は話す。上地さんは現在、同店を手掛ける空港ターミナルサービス株式会社の代表取締役社長だが、開店時からメニューの開発を手がけ、かつては店舗で寿司を握っていたこともあるそうだ。
千通りのアイデアから「これだ」というものを厳選し、さらにトッピングの組み合わせを調整しながら仕上げていくという。上地さんは「夢を見ながらでも考えていましたよ」と笑う。自由な発想は、地道な努力によって支えられているのだ。
「琉球回転寿司 海來」は2006年にオープンした。コンセプトは「ニューヨークスタイルの回転寿司」。寿司店といえば、割烹着をまとった寿司職人の姿が思い浮かぶが、同店ではスタッフが洋風のシャツにハットを着用しているのも特徴だ。
「あえて制服も洋風にしました。ハットは、スタッフに好きなものを選んでもらっています」と上地さん。女性スタッフも多く、カウンターの中で寿司を握る姿も見られる。
斬新な創作メニューや制服、女性スタッフの活用など、従来の寿司店のイメージを覆す店作りは、「最初はたたかれた」と上地さんは振り返る。怒って帰ってしまう客もいたが、今では創作寿司を目当てに訪れ、 うれしそうに携帯カメラで写真を撮っていく客の姿が目立つ。
スタッフの愛称も工夫
ふと寿司を握るスタッフの名札を見ると、「ケビン」と書かれていた。話してみると、やけに日本語が流ちょうだ。感心する記者に、「じつは本名は島田なんです」。聞けば、店内では、洋風のニックネームでお互いを呼び合っているそうだ。ニックネームが、客とのコミュニケーションのきっかけになる場合も多い。
ケビンこと島田泰輔さん(27)は、チーフを務めるベテラン。15歳の時にアルバイトで同店に勤務し、名桜大学に進学して一度は離れたものの、卒業後に「また働きたい」と社員になった。島田さんと同様、アルバイトから社員になるケースも多々あるそうだ。
「お客さんが寿司を見て喜んで、おいしそうに食べてくれるのがやりがい」と島田さんは笑顔で話す。
沖縄には、沖縄の寿司がある――。寿司を頬張りながら、誇らしい気持ちになった記者なのだった。
(日平勝也)
琉球回転寿司 海來
那覇空港国内線旅客ターミナルビル 飲食店街 南側4階
☎098(840)1636