「表紙」2020年10月08日[No.1848]号
香りで癒やされ楽しむ空間
読谷村渡慶次で「アロマと手作り雑貨のお店 aolani(アオラニ)」を営む内原佳代さんは、アロマトリートメントやよもぎ蒸しなど心身ともにリラックスできる空間を提供している。その一方、手作りのアロマストーンも好評で、那覇市内のホテルからはフロントにディスプレーしたいというオファーもあった。沖縄に引かれ、県外から移住して23年の内原さんに話を聞いた。
店内に入ると、優しいアロマの香りとともに内原さんが笑顔で迎えてくれた。入り口の近くには、海の生き物や沖縄をモチーフにしたアロマストーンが置いてある。ウミガメのかめ吉、ヤンバルクイナのクイナ、アグー豚のアグーなど親しみのあるキャラクターたちが貝殻から顔を出していたり、釣りをしていたり、石敢當になっていたり…。どれもユニークでかわいらしく、見ているだけで楽しくなる。
「海の中でゆっくり泳いでいるウミガメを見ているのが大好きなんです。それでウミガメのアロマストーンを作り始めたんですが、最初のころは宇宙人みたいになってしまって」と笑いながら、その写真を見せてくれた。
手先が器用ではないという内原さんは、試行錯誤しながら形作った粘土を素焼きにし、アロマストーンを完成させた。
沖縄の海に魅了され
千葉県出身の内原さんは専門学校を卒業後、東京の銀行に就職した。そのころダイビングのライセンスを取得し、初めて潜ったのが沖縄の海だった。
「もう私、沖縄に住む!」
内原さんは沖縄の海とゆっくり流れる時間にすっかり魅了され、沖縄行きを決意。19 97年に来沖し、ダイビングショップやリゾートホテルのマリンスタッフとして10年余り働いた。
アロマトリートメントサロンを始めたのは、冬場に働いていた整骨院の先生の言葉がきっかけだった。
「受け付けで、おじーやおばーの„ゆんたく係“をしていました。話の中で、『痛い。しんどい』といった声を聞き、もともと好きで使っていたアロマの香りを嗅いでもらって『いい匂いじゃない?』と言いながら、ちょっと肌に付けてあげたりしていると、先生が勉強しておいでと言ってくれたんです。それでアロマセラピストの資格を取得しました」
物語のある物づくり
その後、自宅でアロマトリートメントサロンをオープン。既成のアロマストーンに好みのものがなかったため、自分で作ることにした。
「物語のある物づくりがしたくて、一つずつ何か語りかけているように作っています」
かめ吉たちを見てみると、それぞれ顔の向きが違っていたり、上目使いだったりと表情もさまざま。確かに何かを語りかけているようだ。
「『あ、目が合った』と言って、かめ吉を連れて帰る(購入する)お客さんもいるんですよ」とうれしそうに話す内原さん。今一番の目標は、『かめ吉たちのつぶやき』という絵本を作ること。小さな子どもがいたり、断捨離したりして物を置きたくないという人にも、絵本なら手元に置いて、ときどき見て癒やされるかもしれないと思ったからだ。
内原さんは時間が空くと近くの海に出掛け、かめ吉の写真を撮りブログにアップ。これを絵本作りにつなげようと考えをめぐらせているという。
一方、ハロウィーンやクリスマスにはかめ吉たちに仮装させるとのことで、そのほほ笑ましい姿を想像すると、今から楽しみで仕方がない。
ーー店名の「aolani」は、ハワイの言葉で„心地よく流れる雲“という意味。「aolani」は、そんな雲のようにおおらかな気持ちで過ごせる居心地のいい空間だった。
(﨑山裕子)