「表紙」2020年10月15日[No.1849]号
自宅で運動不足解消
新型コロナウイルス感染症の拡大で多くの活動が自粛を余儀なくされた。人々の行き来が制限される中、習い事などでもオンライン化が進んでいる。本紙連載「大人の筋活」でおなじみのヨガセラピスト、比屋根優子さんも5カ月前にオンライン会議アプリ「Zoom」を使ったヨガレッスンを始めた。新たな形態での需要もあり、コロナ禍での運動不足解消に役立っているようだ。
9月下旬の午後8時半。浦添市のスタジオでヨガクラスのライブ配信が始まった。オンラインレッスンの参加者は県内の他、東京や福岡、北海道、兵庫、愛知から集まる。県外からは以前沖縄の教室に通っていた県外在住者、生徒の県外在住の親や友達などが参加。年齢層も40代を中心に70代までと幅広い。
教室閉鎖中に開設
「オンラインでヨガを教えることになるとは思ってもみなかった」という主宰の比屋根優子さん。パソコンが苦手だったものの、今ではオンラインレッスンを週8回こなしている。
運動量の多い「アシュタンガヨガ」をベースにした独自のヨガを浦添教室を中心に12年間教えている比屋根さんがオンライン指導を開始したのは今年5月。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い教室の閉鎖を余儀なくされていた時、2人の生徒から受けたリクエストがきっかけだった。「彼女たちはオンライン受講の経験があり、良さを分かっていた。『優子さん絶対できるよ』と背中を押され、新調したパソコンの設定からサポートしてもらった」と振り返る。
初めは生徒たちに声をかけ、無料のテストレッスンを開催。受講する方も発信する方も試行錯誤。「入れない」「パスワードって何」という質問が飛び交う中、互いに使い方を学んでいった。設定のサポートをしてくれた生徒からは、アングルや明るさなど、画面の見え方など細かいアドバイスを受け、レッスンの準備が整った。
オンラインレッスンは週6日、早朝と夜に開催。1カ月受け放題のプランも提供している。「ライブでのレッスンのよさは緊張感。一方通行の配信に比べ、分からないこともすぐに質問して理解できる。途中で気兼ねなく入退室ができることもメリット」という。また、通信アプリ「LINE」などで生徒とつながるようになったため、積極的に質問が届くようになり、「生徒の視点に立つことができ、指導にも深みが出てきた」と手応えを話す。
一方、デメリットについて聞くと「生徒の体に触って直接補助することができない点。自宅の環境によっては、他の家族がいて集中しにくいという人もいる」と挙げる。
兵庫から受講している井上須眞子さん(72)は沖縄で受講している娘に勧められて6月からヨガを始めた。「周囲の支えがあって受講できるようになった。丁寧に指導してくれてありがたい」と笑顔を見せる。井上さんは週8回のクラスをこなし、3カ月で三点倒立ができるまでに上達したといい、比屋根さんにとっても刺激になっているようだ。朝の通勤前に利用する社会人にも「朝のヨガで頭がすっきりし、仕事のパフォーマンスも上がる」と好評だ。
新たなスタイル定着させたい
最近は感染症対策を徹底した上で、スタジオレッスンも再開。スタジオとオンラインの生徒をつないでライブ発信もするようになった。
オンラインレッスンを機に比屋根さん自身の世界も広がった。「あんなにパソコンやオンライン系が苦手だったのに『変わったね』と夫にも言われた。今はオンライン英会話に挑戦中。動画の講座も受け、自分で撮影した動画を編集・配信できるまでになった。新しい一歩を踏み出したことで、二歩目もいけるのではという自信につながった」と話す。
今後もオンラインレッスンを続ける予定だという比屋根さん。「対面で直接教わりたいという人がいる一方、自宅で気軽に受けられるオンラインの方が良いという人もいる。定着させていけるように努力したい」と抱負を語る。物理的なボーダーを超えた、新しいスタイルとして広がっていきそうだ。
(坂本永通子)
HIYANE YOGA (オンライン)
(月)(木)(金)8:00〜9:00、
(土)(日)7:30〜9:00、
(月)(水)(金)20:30〜22:00
チケット1枚(60分クラス1回)1000円
マンスリーパス(1ヵ月受け放題)6000円
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